シャー猫ハウス ~ シャーって何?尾道市に保護猫カフェがオープン。月曜夜は「猫ヨガ」も開催/尾道市
2026年3月7日、尾道市美ノ郷町三成に新しい猫カフェがオープンしました。すてきな古民家風の建物で、名前はシャー猫ハウスです。
「シャー」というと、あの猫特有の威嚇の声でしょうか?どのような猫カフェなのか気になり、訪問してみました。
猫愛が随所にあふれるシャー猫ハウス
シャー猫ハウスは国道184号線を新尾道駅から3kmほど北上した木梨口交差点の西側にあります。
木の塀に書かれた「PETMANNER ONOMICHI MINARI」のロゴと、2階の窓の猫の目、おしゃれな暖簾(のれん)が目印です。
建物の前の砂利の部分が駐車場で、6台ほど停められます。
玄関の引き戸を開けるとすぐに受付です。ここで靴を脱ぎ、スリッパに履き替えます。
靴下の着用が必要。持っていない場合は店内でも購入可能
利用上の注意や、万が一、引っかかれた際などの説明を受けたら、同意書にサインをします。料金は帰るときに支払います。
やはり、「シャー猫とは怖がりで、すぐにシャーッと威嚇してしまう猫」とのこと。でも、オープン以来、多くの人たちに触ってもらって、とても人懐こくなったそうです。それを聞いて安心しました。
コーヒーや紅茶、お子さま向けのジュースなどから好きなものを選び、カフェマシンで飲み物を作ったら、いよいよ猫たちが待つカフェへ移動です。
入口の手前には脱走防止の二重扉があり、扉にあしらわれた肉球のデザインに、思わず顔がほころびます。入室前にはしっかりと手を洗いましょう。
なんと、ソープの泡まで肉球になるとは!猫愛が随所にあふれています。
廊下には、お出迎えしてくれる「接客メンバー」の写真と名前が掲示されています。今日はどの子に会えるのでしょうか。
接客するかどうかは「猫の気分しだい」
このハウスのユニークな点は、猫の居室(スタッフのみ入室可)とカフェ(接客用)が透明な通路でつながっていることです。
出勤するかどうかはすべて猫の気分次第。人と遊びたいときだけ、猫の好む細い通路やステップを渡って出てくる仕組みです。
無理をさせない、猫本位の優しさが感じられますね。
最初に出迎えてくれたのはフェザ君とフク君でした。
室内は落ち着く色合いで、ステップやふみふみできるクッションなど、猫好きなら自宅のインテリアの参考になりそうなアイテムが並んでいます。
フェザ君はとても人懐っこく、いきなりカウンターから膝に乗ってきたので、Mさんも驚いていました。
「猫が飲み物をこぼさないように」と渡されたカップホルダーに納得です。
また、床に置かれたガラステーブルは、下から猫のモフモフなおなかや肉球を撮影できる絶好のフォトスポット。
テーブルに置かれたプロフィール帳には、猫と仲良く過ごすためのポイントも書かれているので、ぜひチェックしてみてください。
出会いの場として、癒やしの場として
じつは、シャー猫ハウスは譲渡型保護猫カフェなので、ここで仲良くなった猫は、「トライアル(お試し飼育)期間」を経て家族に迎えることができます。
もちろん、譲渡目的ではなく「ただ猫と触れ合いたい」という人も大歓迎とのこと。猫に親しんでもらうのが最大の目的だそうです。
スタッフの皆さんも穏やかな優しいかたばかりで、一人でも家族連れでも猫とまったりとした時間を過ごせます。
月曜の夜は「猫ヨガ」で心身をリセット
さらにシャー猫ハウスでは、毎週月曜日の午後7時30分から、講師歴10年以上の杉原(すぎはら) ともみ先生による「猫ヨガ」も開催されています。
猫は夜行性のため、昼間よりも活発に動き回る姿が見られるかもしれません。
参加者の多くは初心者や一人での参加だそうですが、ヨガの最中に猫がじゃれてくるため、あちらこちらから笑い声が上がるのだとか。
ほんわかした空気のなかで、心身ともにストレッチできそうですね。
猫ヨガの開催日は、公式Instagramなどで確認できます。参加は予約制となっているため、希望する場合は公式InstagramのDM、または電話での申し込みが必要です。
猫と人が心地良く過ごせる工夫が凝らされたシャー猫ハウス。運営する「NPO法人ペットマナーおのみち」は、「わんにゃんマルシェおのみち」などの動物愛護活動のほか、毎週のように尾道市や福山市で保護猫の譲渡会などを開催しています。
なぜ、シャー猫カフェを開設したのか、代表理事の向井純子(むかい じゅんこ)さんと、理事の高橋弘美(たかはし ひろみ)さんに話を聞きました。
代表理事の向井純子さんと、理事の高橋弘美さんへのインタビュー
代表理事の向井純子さんと、理事の高橋弘美さんに、シャー猫ハウスが誕生した背景や、困っていること、今後の展望などを聞きました。
「譲渡会に行けない猫たち」に出会いの場所を
──シャー猫ハウスを作ろうと思った理由を教えてください
高橋(敬称略):
保護した猫は私たちやボランティアスタッフが自宅で世話をしています。譲渡会には多くのかたが足を運んでくださり、2025年度には63匹の保護猫を新しい家族の元へつなぐことができました。
しかし、保護された猫の半数以上は、キャリーバッグに入れることさえ難しい、人馴れしていない「シャー猫」たちです。譲渡会に連れて行くのが困難なシャー猫ばかりが残り、新しい保護猫を受け入れられない心苦しい状況が続いていました。
「猫を外へ連れ出すのが難しいのなら、みんなに会いに来てもらえる『家』を作ろう!」
そう考えたのが「シャー猫ハウス」開設の理由です。
家探しから始まって、2年がかりでようやくオープンすることができました。
猫たちが穏やかに過ごすための工夫
──今回会った猫たちは、シャー猫とは思えないくらいフレンドリーですが、何か穏やかに過ごせるような工夫をされているのでしょうか?
高橋:
どの子もとても怖がりなので、ハウスが完成してからも、猫たちが環境に慣れるのをじっくり待ちました。とはいうものの、1か月経ってもなかなかカフェに行こうとしないので、本当にオープンできるのかハラハラしたんですよ。
でも、いざオープンしてみたら、意外なほど人懐っこい姿を見せてくれたので、これなら新しい家族が見つかるかもしれないと安心しました。
ただ、大人の猫はまだ慎重で、なかなかカフェには移動しないですね。
そういう子にも新しい家族と出会う機会を作ってあげたいので、予約をしてくだされば居室にもご案内しています。この居室での出会いから譲渡につながった猫もいるんですよ。
多くの「猫愛」が結集して生まれた家
──運営していくうえで、大変なことはありますか?
向井(敬称略):
やはり運営費ですね。医療費やエサ代、そして電気代です。猫は温度差に弱いため、1年中エアコンをフル稼働させています。このハウスの利用料もすべて運営費に回しますが厳しい状況です。
2階にも部屋があるので、スタッフが自宅で保護している猫もここに集めたいのですが、電気代がかかりすぎるので、今は1階だけを使っています。
──このハウスはとてもすてきなデザインで設備も整っていますが、建築費も相当かかったのでは?
向井:
それがありがたいことに、長年の活動で猫好きの友人や知人に恵まれ、不動産屋さんや設計士さん、デザイナーさん、そして元の持ち主のかたまでもが「猫のためなら」と協力してくださったんです。おかげで費用をかなり抑えることができました。
まさに「すべての猫に幸せになってほしい」という、みんなの想いが結集してできた家なんです。
一家に1匹猫のいる社会が理想
──今後の展望を教えてください
向井:
一家に1匹、猫がいるような社会になればいいなと思っています。
ぜひ、譲渡会やシャー猫ハウスに遊びに来て、猫と触れ合ってみてください。
ただ、お待たせするのは申し訳ないので、予約していただけると助かります。
高橋:
すべての猫に幸せになってほしいですし、猫との暮らしは本当に楽しいものです。
将来的には、猫を飼いたくても年齢的にためらってしまう高齢のかたも、安心して猫と暮らせるような仕組みを作れたらいいですね。
猫本位の保護猫カフェで心安らぐひとときを
猫を愛する大勢の人の協力で完成したシャー猫ハウスは、接客をするのも居室で過ごすのも猫の気分しだいという猫最優先の運営や、記事には載せきれないほど設備も細部まで猫愛があふれていました。
威嚇の「シャー!」は、自分を守るための精一杯の強がり。猫も人もくつろげる空間で一緒に過ごすことで、その裏側にある、猫たちの本当の優しさや甘えん坊な素顔に出会えるかもしれません。
シャー猫ハウスで、猫たちとの心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?