潮風香るピザ店の人気は…意外にも焼魚定食!? ピザ窯でふっくら焼いた魚と土鍋ごはん【pizza&bar 1723BASE】氷見の鮮魚店倉庫を改装
新米がおいしい季節がやってきました。
収穫されたばかりの米は水分量が多く、つや・風味・粘り・香りがどれも最高。米も生鮮食品なので、野菜などと同様、とれたてが一番おいしいものです。
ふっくらとした新米のごはんさえあれば、おかずが何だろうとご馳走だと思える秋。そんなごはんがメインの定食屋さんを探していると…ちょっと変わった店を見つけました。
なんでも、ピザを看板に掲げているのに焼魚定食が人気だというピザ屋さんです。
氷見漁港すぐそば 倉庫リノベのピザ店
向かったのは、石川県との県境、能登半島の付け根に位置する氷見市。富山湾に面した氷見漁港からすぐそばに店を構える「pizza&bar 1723BASE」です。
「1723」と書いて、「いなづみ」。
能越道 氷見北IC周辺の地名、稲積に由来します。
「私の出身が氷見の稲積なので、1723なんです。最初は稲積でお店を開く予定だったんですが、能登半島地震で被害が出てしまい、断念しました」と話すのは、明るい笑顔と声が印象的な店主の鏡内莉奈さんです。
コンセプトは“ツーリングで立ち寄れる店”
店に隣接する鮮魚の卸売店「吉崎屋」の倉庫をリノベーションしたという店内は、カウンターとテーブル席が合わせて10席足らず。決して広いとは言えませんが、レコードプレーヤーやヴィンテージのオブジェなどがさりげなく飾られ、“BASE”という言葉がしっくりくる店構えです。
「バイクや車でツーリングを楽しんだあと、気軽に立ち寄れる場所があったらいいなと思って始めたお店です」(鏡内さん)
実は、鏡内さん自身が、バイクをこよなく愛するライダーなんだそう。
「最近は忙しくてバイクに全然乗れてないんですが、バイクや車、サーフィン、スケートボード、音楽、ファッション好きの人が集まれるイベントも企画したりもしています」(鏡内さん)
そんなわけでアメカジやライダー趣味の店は好きなものがたくさん集まったガレージのようでもあり、こじんまりしていても居心地は抜群。絶景が楽しめる氷見の海岸線をツーリング中に立ち寄ってピザをほおばる、なんて、いかにも絵になりそうです。
ランチメニューはピザ、タコライス、そして、焼魚定食
そんな海辺の潮風香るロケーションのピザ屋さん、ランチの人気もピザかと思いきや、メニューにはタコライス、焼魚定食を加えた3種が並びます。
「ピザ屋なんですけど、私、おばんざいが大好きなんです」(鏡内さん)
一体、何の店なんだろう?と不思議そうにしていると、笑いながら教えてくれました。
実は鏡内さん、この店をオープンする前にはおばんざいの店を開こうという考えもあったんだとか。しかし、外食機会が激減したコロナ禍の経験もあって、テイクアウトもできるピザをメインに据えた飲食店にしたんだそう。
土鍋で炊いたふっくらごはん「焼魚定食」
というわけで、「焼魚定食」を注文してみました。
メインとなる魚は、隣の吉崎屋から仕入れている「サケ」か「塩サバ」で、これに小鉢が4種類、サラダ、漬けもの、味噌汁、お茶、そして、土鍋で炊いたごはんがセットになっています。
「土鍋で炊くと、お米の甘さがぜんぜん違いますよ」と、土鍋を持ち上げて見せてくれる鏡内さん。そうは言っても、炊飯器に慣れてしまったおうちで実践するにはなかなかハードルが高く…こうして味わえるのは、外食ならではの贅沢です。
お待ちかね、茶碗に盛られたつやつやのごはんのお味は…
確かに噛めば噛むほど米の甘みと香りをたのしめるおいしさで、すぐに飲み込んでしまうのはもったいないと思ってしまうほど。
能登の味噌を使っているという味噌汁は、野菜に味噌の甘さも加わって体に沁みわたるおいしさで、ごはんがすすみます。
メインの焼魚は、ピザ窯で焼いています。
一般的なオーブンよりも高温で熱が均等に回るため、身はふっくらとうま味もぎゅっと凝縮されています。
「魚も野菜もピザ釜で焼くとおいしさがぜんぜん違うんですよ」(鏡内さん)
選んだ塩麹漬けのサケは、サケの濃厚な脂に塩麹の甘みと塩味がいい塩梅に合わさって、ごはんのお供にバッチリです。
定食についてくる小鉢は4種類。
この日は、ピザ窯で焼いたナスの煮びたし、小エビときのこのマスタード合え、釜揚げしらすがたっぷりとのった冷や奴、甘さひかえめのだし巻き卵というラインナップでした。
「祖母や母が作ってくれるおばんざいが小さいころから大好きで、味を真似たり、教えてもらったりしています」(鏡内さん)
家庭的な味わいのなかにも、ひと手間加えた奥深いおいしさがあり、これまたごはんがすすみます。
「できたて・手作り・栄養バランスにこだわっています。二日酔いの次の日とかにも食べたくなるような定食ですよ」と、お酒は強くないけど大好きだという鏡内さんが微笑みます。
夕陽が沈む水平線を眺めながら 夜はバー営業も
夜の営業は17時からで、天気のいい日の夕暮れ時は能登半島の先に沈んでいく夕陽や茜色の水平線を眺めながら、お酒を楽しむ常連さんもいるんだそう。
クラフトビールやシャンパン、カクテルと一緒に味わうなら、鏡内さん手作りの本格ピザがおすすめですが…
「日本酒を飲まれるお客さんには、お好みでおばんざいも提供しています。メニューにはないんですが、気軽にたずねてみてください」(鏡内さん)
好きなレコードを聴きながら、お酒をたのしむ「レコードバー」などのイベントも開いているんだとか。
「子供の頃にドキドキとワクワクが止まらなかった秘密基地のような場所にしたいなって。私自身もたくさんの人とつながりたいですし、何かを始めたいと思っている人同士がつながれる場所になっていったらうれしいです」(鏡内さん)
ひとりでもふらっと立ち寄れば、鏡内さんが話し相手になってくれて元気がもらえる店です。
これからの過ごしやすくなる季節、景色のいい海岸線をドライブやツーリングしながら、土鍋のごはんと焼き魚やピザを楽しむのはとびきりのご馳走になりそうです。
【pizza&bar 1723BASE】
住所 富山県氷見市中央町6
営業時間 モーニング 平日9:00~、土・日曜 8:00~(L.O. 10:00)
ランチ 11:30~(L.O. 14:00)
ディナー 17:00~(L.O. 21:00)
定休日 月・水曜、不定休