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“真剣に遊ぶ“を、学生がプロスポーツの現場で|佐賀バルーナーズ学生マーケティング部がつくる、地域の未来

Sports

Bリーグ・佐賀バルーナーズは、2026年8月から「学生マーケティング部」の第1期をスタートします。学生たちは約9か月間、チケット販売、グッズ企画、ホームゲームイベント、広報・プロモーションなどを学びながら、B.PREMIERの公式戦を自ら企画・運営していきます。
この取り組みに込められているのは、単なるスポーツビジネス体験にとどまらない、地域の未来を担う人材育成への想いです。

「一緒におもしろいことをやろうよ」

そう語る株式会社佐賀バルーナーズ代表取締役社長・田畠寿太郎さん(以下、田畠)に、学生マーケティング部を始める背景と、学生に託したい期待についてお話を伺いました。

“本物の興行”を学生がつくる、9か月間の挑戦

ーーまず、佐賀バルーナーズが学生マーケティング部を始めようと思ったきっかけを教えてください。

田畠)僕自身、バルーナーズに関わる前からまちづくりに関心がありました。地域の課題って何かというと、やっぱり「人」なんですよね。佐賀大学のような4年制大学があっても、卒業後に就職で県外へ出ていく学生も少なくありません。

そのような状況だからこそ、学生のうちにアントレプレナーシップ、つまり起業家の精神や考え方に触れてほしいと考えています。バルーナーズ版のPBL(Project Based Learning)として、実際の課題に向き合いながら企画し、実行し、振り返る。その過程を私たちと一緒に経験することで、将来「自分も地域の課題や町のために何かやってみよう」と思ってもらえたらというのが、今回の取り組みのきっかけです。

ーー学生マーケティング部では、実際にどのようなプログラムを想定しているのでしょうか。

田畠)参加していただく人数にもよりますが、チケット販売を考えるグループ、グッズ企画を考えるグループ、ホームゲームのイベントを考えるグループ、広報やプロモーションを考えるグループのような形でわかれてもらうイメージです。

各試合で担当を決めてローテーションしながら関わっていき、最後には「1日プロデュースデー」のような形で、学生たちが企画・運営する試合をつくっていけたらと考えています。

ーー単なる見学や補助ではなく、本当に公式戦の現場に学生が関わっていくのですね。

田畠)そうですね。スポーツの現場を学ぶ機会にもいろいろな形がありますが、せっかく佐賀バルーナーズが一緒にやる以上は、「このぐらい深くやった方がおもろいでしょ」と思っています。

僕らも本気なので、学生にも本気になってほしい。模擬的なことをやっても、あまりワクワクしないじゃないですか。実際にお金も動くし、たくさんの人が関わる。だからこそ、真剣になって“遊ぶ”ことが大事だと思っています。

地域を変えるために必要なのは、一過性のイベントではなく“人”

ーー田畠さんは、もともとまちづくりにも関わってこられたのでしょうか。

田畠)僕は佐賀の中心市街地の生まれなんです。大学を卒業して仕事をして、佐賀に戻ってきたときには、郊外に大型商業施設ができて、中心市街地が少しずつ空洞化していました。
当時は、行政と一緒に街に人を集めるイベントをたくさんやっていました。イベントの日は盛り上がる。でも、次の日になるとまた元通りになってしまう経験を繰り返していく中で、「これだけでは何かが足りない」と感じるようになったんです。

そんなときにバルーナーズと出会いました。スポーツには、オンコートでのワクワクや勝敗を競うおもしろさがあります。でも、それだけではありません。プロスポーツチームがあることで、いろいろな人とのつながりが生まれ、地域のハブになれる。そこに可能性を感じました。

ーーイベントで一時的に盛り上げるだけではなく、人を育て、つながりをつくることが地域の未来につながるということですね。

田畠)そうです。ホームゲームももちろん盛り上がりますが、僕らが大事にしているのは、その前後なんです。試合の前にも街を歩き、地域のお店や人に触れてもらう。試合後には熱狂のまま街に繰り出してもらう。そういう流れを、学生たちと一緒に考えたい。

どうすればもっと街が良くなるのか。バルーナーズと一緒に何かをすることで、街の課題を解決できるんじゃないか。そういうことを若い学生さんたちと考えることは、僕らにとっても大きな気づきになります。

年を重ねると、どうしても自分たちの経験や常識の中で考えてしまう部分があります。だからこそ、大人では思いつかないような大胆なアイデアを学生に持ってきてほしいんです。「そんなことまで考えるのか」と驚かされ るような発想を期待しています。

ーー学生と一緒に取り組むことで、クラブ側にも新しい視点が生まれるのですね。

田畠)出てきたアイデアに対して、僕らの経験や知見で「もっとこうすると上手くいくんじゃないか」と一緒に考えることができます。ただ、今回は成功だけを目指す場というより、失敗から学ぶ場でもあると思っています。

本物の現場でやる以上、うまくいかないこともあるし、責任を感じる場面もあると思います。でも、学生のうちに社会と向き合いながら、そういう経験をしておくことが、将来の糧になるはずです。そこから「佐賀で何かやってみよう」と思ってくれたら、すごくありがたいですね。

「失敗していい」。学生に渡したい、挑戦できる場所

ーー田畠さんから見て、今の学生たちはどのように映っていますか。

田畠)わかりやすく言うと、みんなめちゃくちゃ”いい子”なんです。話すとちゃんとした考え方を持っているし、言われたことはきちんとやってくれるし、真面目に取り組んでくれる。

一方で、自分で枠を決めてしまっているように見えることがあります。「どうせ自分なんて」とまでは言わないかもしれませんが、勝手に自分のキャップを決めているように感じるんです。

だから、この経験を通じて「俺たちやれるんだよ」「俺がやるんだよ」ぐらいの感覚を持ってほしい。「自分が社会を変えるんだ」ぐらいの、少し前のめりな気持ちがあってもいいと思います。若さって一番の財産ですから。

ーー自分の中にある枠を外すきっかけになってほしいのですね。

田畠)そうですね。根拠のない自信を持ってほしいです。根拠のない自信が、実際に動く中で根拠のある自信に変わることもあります。もちろん、失敗することもあると思います。でも、それでいいんです。

失敗しないようにやるのではなく、失敗していい。そこから学んでいくことを経験してもらいたいです。

ーー本物の現場だからこそ責任もある。その一方で、田畠さんは「真剣になって遊ぶ」ことも大事だとおっしゃっていました。

田畠)たとえば今シーズン、マクドナルドを運営されている会社さんと提携して、ホームゲームで「勝ったら来場者全員にハンバーガープレゼント」という企画を実施しました。
会食のときに「おもしろいことをやりたいですね」という話になって、「NBAでもやっていたんですけど、勝ったら全員にハンバーガーをプレゼントするのはどうですか」と提案したら、「それはおもしろいですね」となったんです。

試合は第4クォーターまで勝つか負けるかわからない展開でした。そのタイミングで場内アナウンスが入り、会場が一気に盛り上がった。結果的に勝って終わったのですが、お客さんもハッピーだし、パートナーさんにもすごく反響があったそうです。

冷静に考えれば、負けたらどうするのかという話でもあります。でも、そういう遊び心があるから人はワクワクする。おもしろいことには「自分も関わりたい」と人が集まってくるじゃないですか。

ーーアイデアを出すだけではなく、それを多くの人と一緒に形にしていく経験でもありますね。

田畠)そうです。アイデアを形にするには、いろいろな人に協力してもらわなければいけません。そこには責任も伴いますし、多くの関係者や予算も関わります。そういったことを大学生のうちに経験してほしい。

座学だけではなく、人と力を合わせて大きなことをつくっていく。その経験は、社会に出てから必ず必要になると思います。

佐賀で得た経験が、いつか次の世代へつながっていく

ーースポーツチームだからこそ、地域で担える役割もあるのでしょうか。

田畠)僕らは、佐賀バルーナーズをいろいろなものをつなぐハブのような存在だと思っています。スポーツには、人や企業、地域をつなぐ力がありますし、プロスポーツチームは地域の名前を背負って戦うからこそ、一体感も生まれやすい。

バルーナーズは株式会社ですが、僕らだけのものではないんですよね。勝ったときには、社員ではない人たちも自分事のように喜んでくれる。負けたときには、一緒に悔しがってくれる。そういう意味で、スポーツチームは地域の財産なんだと思います。

ーー学生マーケティング部が第2期、第3期と続いていった先には、どのような未来を描いていますか。

田畠)今回参加してくれた学生が社会に出て、いつか講師として戻ってくるような循環ができたらおもしろいですよね。「自分も昔はいろいろあったんだよ」と話してくれる先輩がいる。そういうことが脈々と続いていくといいなと思います。

佐賀で就職してくれたらもちろん嬉しいです。でも、それだけがすべてではありません。佐賀でこういう経験をしたから、いつか佐賀に何か恩返しをしてくれる。それでもいいんです、貢献の仕方はいろいろありますから。

ーー最後に、応募を考えている学生へメッセージをお願いします。

田畠)「まず動いてみようよ」ということを、一番伝えたいですね。動かないと何も始まりません。一緒にチャレンジしようよ。一緒におもしろいことをやろうよ。このB.PREMIERという大きな舞台で、おもしろいことを一緒にやりませんか。ぜひ参加してもらえたら嬉しいです。

若いうちだからこそできる挑戦があります。プロスポーツの本物の現場で、誰かを巻き込み、誰かを喜ばせる経験は、きっと学生たちにとって大きな財産になるはずです。

佐賀バルーナーズ学生マーケティング部は、スポーツビジネスを学ぶ場であると同時に、自分の可能性を自分で決めないための挑戦の場でもあります。佐賀の街を舞台に、“真剣な遊び”を生み出していきましょう。

ーーありがとうございました。

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