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演劇に触れたことがない方にも刺さる、笑って泣ける作品『Nana Produce Vol.25「青春、絶望を笑う」』インタビュー

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『Nana Produce Vol.25「青春、絶望を笑う」』

俳優・プロデューサーとして活動する田崎那奈が手掛けるNana Produce。第25弾は深井邦彦が作・演出を務め、若くして余命宣告を受けた青年と、彼を取り巻く人々の姿を描く『青春、絶望を笑う』を作り上げた。
2025年11月に東京公演を終え、深井が本作で「若手演出家コンクール2025」優秀賞を受賞。12月20日(土)・21日(日)の大阪公演に向け、依田啓嗣、岡元あつこ、田崎那奈にインタビューを行った。

Nana Produce Vol.25 「青春、絶望を笑う」

ーー東京公演の手応えはいかがですか?

田崎:評判はすごく良いです。最近のNana Produce(以下ナナプロ)はシリアスな作品が多かったので、笑って泣けるナナプロらしい作品は久しぶりでした。深井さんがこの作品で優秀賞を取ったこともあり、やってよかったと思います。キャストもスタッフも前向きに取り組んでくれて、ナナプロの代表作の一つになる気がします。

依田:毎回ダブルカーテンコールがあり、すごく拍手していただきました。お客様が本当に満足した様子でありがとうと言ってくれるのが嬉しかったです。あと、この作品に取り組む前、20年ぶりくらいに高校の友達と同窓会をして、みんなが見に来てくれたんです。初めて舞台を見た友達から、「俺、舞台を見て泣くと思わなかった」と言われました。これをきっかけに舞台を見てくれると思いますし、改めて頑張らなきゃと思いました。

岡元:お稽古の時の感覚と実際にお客様の前でやった時の感覚が本当に違う作品でした。お客様にどこが刺さるのか、上演してみてわかりましたね。ここに来る途中、久本雅美さんの妹さんである久本朋子さんにばったり会ったんですが、改めてこの作品の素晴らしさをひとしきり語ってくださったので、近所で話題になっていると思います(笑)。

ーーSNSなどの反響を見ると、自分に重ねて見たという方が多いです。演じた上で感じる、役の魅力を教えてください。

田崎:私が演じる祥子は、依田さん演じる隆之介の姉。居酒屋「おやぢ」でお父さんと一緒に働いています。弱音を吐かず前向きな強い役ですが、私はそんなに前向きではないので、切り替えに時間がかかりました。その分ハマった時にとても面白いです。母親が亡くなっている役で、二人(依田、岡元)のシーンでは母の偉大さを実感しました。

依田:僕が演じる隆之介は冒頭で余命宣告をされます。最初は死に対して悲観的に向き合いすぎてうまくいかなかったんですが、深井さんとお話しし、残りの時間を楽しむことに意識を向けたらちょっと変わってきました。死から逃げるように今を楽しみつつ、大事な人たちと直面するとやっぱり弱ってしまう。そのせめぎ合いが難しいです。演じる上で、台本に書かれていない思い出や人生を想像して挑みました。家族と親友、仲間たちに救われている隆之介を演じられて幸せですね。

依田啓嗣

岡元:私は隆之介の実母役。自分たちがやっていること以上に、お客様が想像して肉付けしてくれる部分が多い作品だと感じました。観客の皆さんに委ねてから育つ部分がすごく大きいと思いますね。私の役もそうですが、どの役に対しても、お客様が「この時、この人はきっとこう思っていたんだろう」と想像を膨らませていろいろなことを感じてくれていた。脚本の力の強さも感じました。

ーー深井さんの脚本や演出の魅力を教えてください。

岡元:今回初めてご一緒しましたが、すごく感覚的な演出をされます。意図を汲み取る作業が発生しますが、それがすごく効果的というか、面白いです。

依田:役者に寄り添ってくれますよね。役者の状態を常に見て、「言いづらかったら言わなくていい、僕が指示しても、気持ち悪かったらやらなくていい」と言ってくれる。

田崎:深井さんはご自身の同級生と過ごすのが好きだそうで、今回のように同年代が多い稽古場をすごく楽しんでいました。深井さんのご出身は神戸なので、「若手演出家コンクール2025」の凱旋公演になります。きっと深井さんの同級生の方も見に来てくださると思うと責任重大というか、ちゃんと届けなければという責任を感じます。

ーーお稽古や本番中の印象的なエピソードはありますか?

依田:それこそ、深井さんが一番楽しそうでしたよね。ずっと笑っていて、稽古場のムードメーカーでした。作中で男子校ノリみたいなことが結構あるので、深井さんから学んで吸収しました。

田崎:セリフの中に倒置法が多くて、ミスするとラッパーみたいになってしまうんです。私は千秋楽にやってしまいました。

依田:個人的には、キャッチボールが下手すぎて毎回すごく緊張していました。お父さん役の中原(和宏)さんと「今日はいけてましたね!」とか話すけど全然いけてないみたいな(笑)。

岡元:若い子達の話だけど、意外にキャストは若くないんですよ(笑)。いい大人なので、「血圧とか大事だよね」と話して、私が稽古場に血圧計を持ち込みました。

岡元あつこ

ーー大阪公演ではどんなことが楽しみでしょうか。

田崎:東京と大阪では同じことをしても笑いどころが違います。今回も「ここが刺さるんだ」という気付きがあると思うので楽しみですね。あと、ナナプロでは10年振りの大阪公演。大阪のお客様も私も10年の年を重ねているので、楽しみでもあり怖さでもあります。

依田:大阪には那奈さんを応援してくれている方がたくさんいて、ある意味ホーム。だからすごく楽しみです。個人的には感情の機微を増やしたいのと、役としてツッコミが多いので、大阪の方に認めていただけるようなツッコミをしたい。キャッチボールより緊張するかもしれないです(笑)。

岡元:深井さんが素晴らしい賞を取られた作品で関西に行くので、“深井邦彦ここにあり”という作品を体現しなければいけないという責任感とワクワクがあります。記念すべき作品の一員になれて幸せですし、賞を取った作品をまたできるのも恵まれていると思いますね。

ーー改めてお互いの印象をお伺いしたいです。役とリンクする部分もあれば教えてください。

依田:あつこさんはいつも差し入れなどを持ってきてくださって、座組の母のような感じです。本当にホスピタリティあふれる方ですし、支えていただきました。那奈さんとは8年ほどの付き合いがあり、関係性が姉弟のような感じ。自然に演じつつ、那奈さんを支えながら作品の真ん中にいられるように努めました。

岡元:那奈さんとはプライベートでの関係の方が強いんです。那奈さんはお子さんを出産した時もコロナ禍でも作品に向き合い続けていて、すごいバイタリティを持った方だなと。可愛らしい風貌から想像できないパワフルさに、みんなが引っ張られている感じがあります。依田くんとは彼の体調が悪い時にばかり会うので、元気だと安心します(笑)。

田崎:今回の企画について、深井さんには「依田メインで、大阪公演もしたい」と話しました。役としても私自身としても、「エネルギーとパワーにあふれた状況で包んであげたい」という思いが共通している気がします。あつこさんは何年もお世話になっている大好きな女優さん。今回の作品では仲の良いシーンが一切なくてちょっと辛いです。でも、役者同士バチバチ戦うことで、改めて距離を縮められた気がしています。作中に大好きなシーンがあって、その時はあつこさんを見る目がハートになってしまいますね(笑)。

田崎那奈

ーー最後に、大阪公演を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

岡元:東京の劇団が大阪で上演する機会が昔より減ってしまっている中で、この作品はまだ演劇を知らない方に確実に刺さると思うので、ぜひ見にきていただけたら嬉しいです。

依田:目の前でやっている舞台だからこその臨場感や厚さがありますよね。いろいろなことを感じてもらえたらすごく嬉しいです。

田崎:ナナプロでは来年も深井さんと大阪公演を行う企画があります。今回試しに来てもらい、「次は友達と一緒に見たい」とか「1年後が楽しみ」と思ってもらえるような作品作りをします。みなさんに元気とパワーをお届けできる作品になったら嬉しいです。

取材・文=吉田沙奈

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