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トイレが共同 便座が上にあがったまま・・・『建設現場あるある』 働きにくさをあきらめない ”建設女子”たちの挑戦

SODANE

トイレが共同 便座が上にあがったまま・・・『建設現場あるある』 働きにくさをあきらめない ”建設女子”たちの挑戦

働きにくさを諦めない ひとりだけどひとりじゃない!異業種交流のススメ

とかく建設業は3Kと言われる職場。数百人いる現場なのに、女性はいまだにひとり、ということもある業界。

メディアもまだまだだがそれ以上に少ない職場でもある。そんな中、『建設女子』たちが奮闘している。HTB創世ミモザマルシェ・イベントでの本音トークをまとめる。

戸田建設株式会社

札幌支店管理部建築管理グループ 近藤郁子さん

建築工事部 技術課 山中くるみさん

聞き手:森さやかアナウンサー

とかく建設業は3Kと言われる職場

2016年入社の山中さんは北海道内各地の現場作業所での現場監督の経験があり、『かっこいいと思って入社した』と話す。

出身は道外。就職を機に初任配属で北海道勤務になり、かれこれ8年。それでもいらぬ声がかかることを変えたい、という。


建設業界では、女性の活動として建設小町という全国的な取り組みが2014年に始まっている。

女性建設業に関わる女性、例えば現場監督であったり、あるいは事務職、全て含めて女性。全ての女性が生き生きと働いていけるようにという取り組みで、希望者を増やす就職支援、働き続けられる働き方の実現を目指す活躍支援、女性が建設業界から離れることがないように定着支援、これらを3つの柱として活動、様々な推進活動を行っているという。

森アナ『建設業界で働く女性の方の悩みっていうのはどういうものが具体的にあるんですか?』

山中さん『実は戸田建設の札幌支店の方で初めての現場監督だったんです。女性の現場監督が初めてだったということでやっぱり先輩もいないですし、いざ作業所とかに行ってみると周りの人からやっぱりなんで建設業?みたいな・・・。

どうして、よりによってって言い方はあれですけど、わざわざ工事現場に選ぶってどういうことなの?みたいな反応をすごく受けることが多くて。自分は結構現場がかっこいいと思っていて現場女子ってかっこいいなと思ってやりたくて、この建設業に入ってきたんです。

でも建設業に女性がいるっていうだけで、すごい周りからは特別視というかなんか変な感じというか、疑問に思われるっていうことがすごく違和感がありました。』

山中さんはこう付け加える。

『能力とか適性とか1人1人、色々個性がある中で、現場じゃない方がいいんじゃないの?っていう風に言われるんではなくて、女性だからみたいな。

性別で区分けされて、なんで女の子が現場で仕事してるの?なんて言われる。それは女性の幸せじゃないんじゃない?って言われたことがあってそれが結構ショックだった。』

普通に女性が働いている現場だよねって思ってもらえるようにはどうしたらいいのか。

近藤さんと山中さんが会社で取り組みを始めた。『ぽろ小町』。建設小町の戸田建設札幌支店バージョンだ。

近藤さん『シンボルとして現場では必ずヘルメットを被らなくてはいけないので、ちょっと目立つようにピンクで作ってみました。』

近藤さんは英語教育や観光業などを経た中途入社組だ。

森アナ『建設現場だけじゃなくって、事務の中でも建設業というのはやっぱり一般企業とは違う場面っていうのはあるんですか?』

近藤さん『中でもやはり女性の数は極端に少ないですし、管理職の数で言うとほぼ男性。事務職であっても工事現場に行きますので、そうすると1日に数百人の人
が働く工事現場なんですけれども女性は自分1人しかいないということが少なくないんです。そもそも、女性がその中で働くことを想定されていない業界でしたので1つ1つ一生懸命改善している発展途上なところだと思います。』

一方で、女性が極端に少ないので、男性がいい意味でも悪い意味でも過剰に優遇してくださることがあるっていうのも悩みの1つだという。

女性だからこれはやらなくていいよとか、余計な配慮みたいなところ。うなづく人も多いのではないか。

山中さん『私は一応発足時のメンバー。発足したのは当時の上司で札幌支店でも建設小町の活動みたいなことをやっていきたいんだよねっていう話があり、ご指名で招集されました。当時、私ともう1人施工管理の女の子がいてあと事務系の女性の方5名、6名ぐらいですかね。

まずは何をしたらいいかわからず、本当に言われたままにみたいな企業PRにちょっと行ってきてとか。パンフレット配ったりだったりとか。受け身だったのです。
ぽろ小町っていう現場女子っていうマスコットキャラみたいな形で・・・迷走期みたいな時期がありました、当初は。』

近藤さん『私は中途入社である程度年齢もいってましたので、絶対にこんなことはしたくないと、マスコットキャラクターはやらないと宣言いたしまして。
ぽろ小町のメンバーは上司からの指名制でしたので入るんだったらちょっとある程度好きにやらせてくださいと言いました。

まずは自分たちで企画をどんなちっちゃいことでもいいので、自分たちで企画したことを自分たちで計画して自分たちで実行させてくださいと。

可愛い名前で『ぽろ小町大作戦』という名前をつけましてとにかく自分たちで全部やらせてくださいっていう転換を試みてみました。』

最初に手掛けたのが新こまちパトロールだ。

まずはチェックリストを作った。自分たちだからこそ、女性だからこそ、気づくトイレや更衣室などの設備、さらに現場で働いている若手社員に話を聞くなどして職場環境チェック、ハラスメントチェックなども行うことにした。男女問わずの職場のあれこれを点検するパトロールだ。

森アナ『具体的に設備で言うと更衣室とかトイレってどんなところが悩みで、どういうものを変えたんですか?』

山中さん『最初は結構些細な話かもしれないんですけど、トイレ。共同が多いんです。現場だと仮設トイレ。

(みんながいる)プレハブの中に水洗のトイレがあったり、あとは、仮設トイレ。やっぱり、まず男女分けられないのかなっていう話から始まって。

今度は分けられたら分けられたでその配置がどうなんだとか。』

森アナ『配置?』

山中さん『例えば女性のトイレの方が手前にあったら、男性から見えちゃったりとか。入り口が見えやすかったら、入っていくの入りづらいよねとか。

トイレをしてる音を聞かれたくもないし、男性がしてるのも聞きたくもない。消音のものをつけられないのかなっていう話が現場から話がありました。

実際その後からつけるもので、数百円で買えたりするものがあったのでそれをつけてみましょうっていう話から、少しずつ現場の環境を変えていくっていうところができてきたのかなっていう感じですね。』

チェックリストには現場のトイレで使用後電気の便座を毎回下ろしているかどうか?とかフタを下ろしてから水を流しているか?などもある。

森アナ『やっぱり現場で男女が一緒のトイレだったりした時に、あるあるの悩みだったりするのですか?』

山中さん『やっぱり閉めた方が飛沫防止とかっていう観点にからもいいですし、本当に男女共同のトイレだともうフタがあいてるとげんなりするんです。フタだけじゃないですから、便座までね。見たくないものがあったりしますので。』

森アナ『つい我慢しちゃうんですよね。訴える数が少ないから自分が我慢すればいいのかなって。でもそれがずっと不快で、生活しづらいな働きづらいなっていうところに結局積み重なっていくから。』

まずは、声を出す。そしてそれが職場改善改革の動きに発展していくわけだ。

さらに活動は踏み込んでいく。

職場交換パトロール

近藤さん『私がどうしてもやりたいなと思ったのが異業種間でお互いの職場を交換して訪問し合ってパトロールするという職場交換パトロールでした。

パトロールっていうとよく悪い点を見つけに行って指摘するっていうものだと思うんですけれども私がどうしてもこだわったのがお互いのいいところを見つけてはそれを自分の会社に持ち帰ってどんどん取り入れていこうっていうポジティブなパトロールっていうところにこだわりました。

(北海道ミモザプロジェクトでご一緒している)サッポロビールさんが当社の工事現場に来ていただいたり、2月には国分北海道さんも職場に来ていただいたのです。』

まずお互いの会社職場で困っていることとか、改善したいと思ってることをどんどん上げていってもらう。

お互いに内容を確認しながら、紐解いていくそうだ。

近藤さん『意外と全然職場は違うんですけど、共通の悩みが出てきたりだとか、逆にこういう悩みがあるんだよねという話をしているとうちの会社はこういう風にやってるよっていう風に解決策というかアイデアが見つかるっていうこともあったりします。』

メンタルヘルスの部分もチェックリストがある。各社共通の部分があるという。

働きやすさって設備だけでは叶えきれないものもある。

例えば下ネタなど不愉快な言動はないか?とか男性社員にも気軽に業務を依頼できるか?とか。

森アナ『パトロールでお互いの交換、異業種交流とかもやってその活動を通してどんなことに気づくことができましたか?』

近藤さん『私たちは部署だったり働く職場で女性が1人しかいないっていう環境のことが大変多いです。職場に女性が自分1人しかいないっていうのはやっぱり寂しいですし、自ら何かをしようっていう勇気がちょっと出にくい場合が多いんです。戸田建設の中では社内でもそうですし、今回北海道ミモザプロジェクトっていう形でいろんな会社の方と繋がることによっていろんな方向で関係を持つことによってその場で自分は体はひとりでも気持ちはひとりぼっちじゃなくなったっていう風に私は思うんです。』

2023年度、ぽろ小町のメンバーは社長賞を2つも受賞した。

森アナ『こういう風に表彰されると一緒に働いている男性の社員の意識とかもきっと見方が女性への見方が変わってくるんじゃないかな?なんて思うんですけれども周りの方の反応っていうのは実際にどんな風に感じました?』

山中さん『意外と社内でこの活動のことを知ってる人がそんなにいない印象があるんですけど私は。そうではないんですか?』

とドライだ。

近藤さん『まだまだ女性が頑張ってる女性のやるものだっていう意識の方が強いので最近もらったばかりでもあるのでこれから皆さん注目いただいて男性もどんどん仲間に入って一緒に活動できるといいなと思ってます。』

これからの建設業界に望むこと

近藤さん『私はですね、やっぱり幸せな人、楽しく仕事をしている人が作るものは絶対にいいものになるっていう風に信じているんです。これは私たち建設業だけではなくて例えばビールを作っている製造業の方たちも携帯電話だったり冠婚葬祭だったりサービス業、もちろんテレビ局の皆さんもサービス業の皆さんも同じだと思ってるんです。

建設業だと安全面があるからまだまだハンディキャップがある方だったり女性だと力がないとか身長が足りないとかで働きにくい点があるんですけれどもAIだったりロボットだったりどんどん技術は発達してきているので。残っているのはやっぱりお互いを知って、お互いを理解し合って一緒に働く。

みんなが思いやりの心だったり、お互い様の心を持つことでそういうことができたら今よりもっとみんなが幸せに働ける環境になるんじゃないかなと思っています。そんな建設業界にしていきたいと思っています。』

山中さん『自分が働き始めた時になんで?みたいな形があったので、女性が特別な存在みたいに思われる、思われるというか、扱われないような業界になっていってほしいなとは思いますね。やっぱり建設業ってまだまだその3K、きつい、汚い、危険と言われがちなところがやっぱり多いとまだまだ思う。

それだけではないというか、そうではないっていうこと、魅力的な部分がもっと世の中に伝わっていってもらえればもっと女性もこの建設業に入ってきてくれるようになるんじゃないかなという風に思っています。』

森アナ『建設っていうのはやっぱり、街づくりとか人々の暮らしの安心安全、住の部分だったりとすごく大事な役割をしていると思うんですよね。

だから女性が暮らしやすいというのは当然男性も暮らしやすいですし、そこに女性の意見がもっともっと決定する場面に入ってくるといいな、なんていう風に本当に改めて感じさせていただいて。私もなんか元気をもらったところです。』

今後のおふたりの活動にエールを送りたい。

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