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【川崎市川崎区・幸区】老舗の思い 次代へ繋ぐ 川崎市支援で事業を譲渡

タウンニュース

グラスを重ねる奥社長(左)と窪田社長(右)、店舗運営する湯川社長(中央)

川崎で70年以上、酒類の小売などを営んできた(株)乾が市を介して(株)久保田酒店(川崎区池田)に事業譲渡を行った。店舗(同区東田町)は中小企業を支援するベンチャー企業・(株)ナエドコに貸し出し、食の交流・発信拠点「醸し座」としてスタートを切った。「思いを汲んでいただける方に引き継いでもらうことができた」と乾の奥茂樹社長(76)は喜ぶ。

後継者不在と高齢により、奥社長は「自分の代で商売は終わり」と覚悟を決めていた。ただ、取引先に辞めることを切り出せず、「ずるずる会社を続けてきた」。廃業かM&A(会社売却)しかないと思い詰める中、川崎市に相談した。

事業支援に取り組む同市は伴走支援コーディネーターと複数の専門家がチームとなり、課題整理など対話を重ねた。その結果、奥社長は「思いを受け継いでくれる企業に引き継いでもらいたい」との思いに至り、ライバル店でもあった久保田酒店に事業譲渡を決めた。引き継ぎに当たっては取引のある飲食店など約100社のうち、主要な取引先を一緒に回った。地域密着経営を掲げる久保田酒店の窪田隆太郎社長(54)は「残念な形にしたくない」と語る。これまで取引のなかった蔵元とのつながりができたことは会社の強みになったという。

店舗は、中小企業を支援する(株)ナエドコに貸し出した。バイオテクノロジーを活用した養殖業支援に取り組む同社は、生産者の思いや食材の良さを伝える場としての飲食店を構えたいと考えていた。湯川恭光社長(42)は酒屋が生産者と消費者をつなぐ役割を果たしている点と共通していたという。店舗は3階建て。1階は飲食店と厨房、2階が事務所、3階は会議室や交流スペースとして活用される。

今回の事例について市担当者は、事業を辞める前に考えていただけるきっかけにしていただきたいという。

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