【横浜市】いじめ認知件数が大幅増 横浜市教育委員会は「早期対応の結果」
横浜市教育委員会は10月29日、2024年度の「いじめ・暴力」等の状況調査結果を公表した。いじめの認知件数は2万件超で過去最多を更新。市教委は「これまでの反省を踏まえ、『疑い』の段階から積極的にいじめと認知し、深刻化しないよう取り組んだ結果」と分析した。
市立学校509校を対象にした24年度のいじめ認知件数は、2万1955件で、前年度(1万6263件)から約5700件増加、20年度と比べると約4倍に増えた。また、いじめが原因で命や心身、財産に被害を及ぼしたり長期欠席を余儀なくされたりするような「重大事態」の発生件数も前年度の2件から59件と大幅に増加した。
件数の大幅増について市教委事務局不登校支援・いじめ対策担当課は「これまでの反省を踏まえ、『疑い』の段階でいじめと認知したことが件数増につながった」と対応の強化による結果と捉えている。
積極関与で解消率上昇
横浜市では昨年3月、20年にいじめが原因で自殺した中学生の事案について、学校が基本調査の段階でいじめを認知していなかったことなどを公表。これを受け市教委では「いじめ防止対策推進法」に則った対応を徹底すべく、いじめの未然防止から要調査までを速やかに振り分け、再発防止に取り組むよう各学校に指示。同年8月にはこれまでの対応を強化する再発防止策を策定した。
いじめの未然防止のため、例えば「ふざけあい」などから発展した「けんか」など、「いじめ」かは疑わしい初期段階の事案であっても積極的に「いじめ」と認知する方針を学校現場で徹底。今回の調査結果では、いじめ発見のきっかけは「当該児童生徒の保護者」および「本人から」の訴えが全体の6割以上を占めており、認知件数の増加は、これらの訴えを「いじめ」と捉え、より深刻化しないよう早期対応を強化した結果とみている。
実際、児童や保護者がいじめのような「困りごと」が「無くなった」とする解消件数は24年度内で1万3270件に上り、過去5年で最多を記録。解消率も60・4%と上昇している。