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猫が『臆病な性格』になる4つの原因 注意すべきトラブルや接し方のコツも解説

ねこちゃんホンポ

猫が「臆病な性格」になる4つの原因

1.遺伝的要因・母猫の影響

猫の性格は、両親から受け継いだ遺伝子によって、大胆さや神経質さなど傾向がある程度決まっていると考えられています。

特に、神経質で臆病な母猫から生まれた子猫は、遺伝的傾向を受け継ぐことに加え、成長過程で母猫の不安な振る舞いや、隠れようとする行動を模倣して学習することがあるようです。

さらに、妊娠中の母猫が強いストレスを経験すると、胎児の発育に影響を与え、生まれてきた子猫がストレス耐性の低い、より臆病な気質を持つ可能性も指摘されています。

このように、遺伝だけでなく、母猫を通じた生後間もない環境の影響が、猫の基礎的な性格形成に深く関わっていると考えられています。

2.社会化期の失敗

猫の社会化期(生後2週齢頃から7週齢頃)は、新しい刺激や環境に慣れ、猫以外の生き物や人間との適切な関係を学ぶ上で非常に重要な期間です。

この時期に人との温かい接触が不足したり、様々な音や匂い、物などに触れる機会が極端に少なかったりすると、それらを「未知で危険なもの」として認識してしまい、成猫になっても強い警戒心や恐怖心を持ちやすくなります。

特に、この時期に人間との接触が全くない野良猫は、その後飼い猫になったとしても、人間を本能的に恐れる極度の臆病さを示すことが多く、新しい環境に適応することが極めて難しいです。

3.過去のトラウマや嫌な経験

臆病な性格は生まれつきや社会化期の経験だけでなく、成長過程でのネガティブな経験によっても形成・強化されます。

例えば、大きな物音や雷、地震などによる恐怖体験、他の動物や人間からの攻撃的な扱い(叩かれる、追い回されるなど)、または動物病院での強い痛みや拘束の経験などがトラウマとなることがあるようです。

これらの経験は特定の場所や音、あるいは特定のタイプの人間(例:男性、子ども等)に対して過剰な警戒心や恐怖反応を示す「特定恐怖症」のような形として表れることも。この場合、猫は自己防衛のために隠れたり、攻撃に転じたりする行動をとるようになります。

4.体調不良や病気の不安

猫は体調が悪い時や痛みを抱えている時に、自分の弱っている状態を隠そうとする本能があります。

この状態にある猫は、病気や不調が原因で神経質になったり、普段よりも臆病になったりすることがあるようです。

例えば、関節の痛みや消化器系の不調で触られるのを嫌がるようになったり、視力や聴力の衰えから周囲の状況を把握できず不安が増し、常に警戒して隠れるようになったりします。

単なる性格の変化と見過ごさず、急に臆病になったり、特定の動作を嫌がるようになったりした場合は、まず病気の可能性を疑い、獣医師に相談するようにしましょう。

「臆病な性格」が引き起こす注意すべきトラブル

臆病な猫は、日常生活の中で強い不安や恐怖を感じやすく、それが様々なトラブルを引き起こします。

最も多いのは、隠れて出てこない、威嚇する、手が出るといった問題行動です。これらの行動は、来客時や災害時など、猫を保護する必要がある場合に飼い主や救助者との接触を極度に困難にさせ、適切な処置を妨げます。

また、極度のストレスは、特発性膀胱炎や脱毛を伴う皮膚炎、食欲不振や嘔吐などの心身症的な病気を引き起こすリスクを高めます。

さらに、動物病院での診察時にも、パニックを起こして正確な検査や治療が難しくなるため、普段から猫が安心できる環境づくりと接し方を意識しましょう。

「臆病な性格」の猫と接するコツ

臆病な猫と信頼関係を築くには、猫のペースを尊重し、安心感を与える接し方が最も重要となります。

まず、猫がいつでも隠れることのできる安全な隠れ場所(クレート、キャットタワーの最上段など)を用意し、そこから無理に出そうとしないことが基本です。

接する際は、大きな音を立てず、低い姿勢で静かに近づき、目を合わさない(目を細めてゆっくり瞬きをする程度にする)ように意識しましょう。

慣れてきたら、少し離れた場所から静かに話しかける、または手の届かない距離でおやつを与えるなど、「人から良いことが起こる」という経験を積み重ねることで、徐々に安心感を育てていくことが重要です。

まとめ

猫の臆病な性格は、遺伝、社会化期の環境、過去のトラウマ、そして現在の健康状態が複雑に絡み合って形成されます。

臆病な性格は、問題行動やストレス由来の病気を引き起こす可能性があるため、飼い主には猫の不安の根源を理解し、そのペースに合わせた対応が求められます。

無理に慣れさせようとするのではなく、猫が物理的・精神的に安心できる環境を用意し、静かな接し方を継続することで、愛猫との信頼関係を深め、生活の質を向上させることが可能になるでしょう。


(獣医師監修:加藤桂子)

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