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イーサリアムのデベロッパーを支える監視・テストプラットフォーム セルビア発Tenderly

TECHBLITZ

Ethereum(イーサリアム)による分散型アプリケーション開発におけるスマートコントラクト監視・テストプラットフォームを手掛けるTenderly。セルビア・ベオグラードで創業し、2022年3月のシリーズBラウンドで4000万ドルを調達したのを機に、米国拠点を設け、事業を拡大させている。同社の共同創業者でCEOのAndrej Bencic氏に、事業の内容や展望を聞いた。

効率的なブロックチェーンアプリ開発の需要をとらえる

 Tenderlyは、2018年にセルビアのベオグラードで設立した企業。イーサリアムによる分散型アプリケーションのスマートコントラクトを監視・テストするためのダッシュボードやAPIといった開発者向けプラットフォームを提供している。Bencic氏をはじめ、4人の創業者はソフトウェア開発に長年取り組んできた技術者で、ブロックチェーンの可能性を見出し、Tenderlyを立ち上げた。

「ブロックチェーンはまだ比較的新しい技術です。私たちがブロックチェーンに関わるにつれて見えてきた課題の1つが、親しみやすいツールがたくさんあるわけではないことです。この分野にインパクトを与える可能性を感じました。多くのクラウドサービスは自由に使えるサービスがあり、素早く効率的に仕事ができます。ブロックチェーンやイーサリアムの世界に入り、スマートコントラクトのアプリケーション開発をする人たちに、同じような経験を提供したいと思ったのです」

Andrej BencicTenderlyCo-Founder & CEOセルビア出身。高校を卒業後、ソフトウェアエンジニアとして大規模な分散クラウドシステムの構築、スケーリングなどを手掛けながら大学でコンピューターサイエンスを学ぶ。在学中の2018年にTenderlyを共同創業し、CEOとなる。2018年〜2019年の間に、セルビアのブロックチェーン企業、MVP Workshopに在籍し、分散型融資プラットフォームやウォレットの実装、分散アフィリエイトなどのプロジェクトにも携わっていた。

 Tenderlyのユーザーは、ブロックチェーンアプリケーションの開発者だ。ダッシュボードとAPIを使用してスマートコントラクトを開発し、テストや監視もできるプラットフォームを提供している。主に「開発ツール」「モニタリングサービス」「スマートコントラクトとチェーン・データをやり取りするためのインフラ」の3つのカテゴリーで展開しており、基本的な機能は無料提供している。

 Bencic氏は、まるでウェブサイトをGoogle Analyticsで分析するように、開発者がチェーン上の活動をTenderlyで分析・観察できると指摘する。

「主となる5つのコントラクト(Ethereum、Avalanche、Fantom、Optimism、Arbitrum)とやり取りする効率的な方法を提供し、ブロックチェーンのパワーと分散化の側面をすべて活用できるようにします。その一方で、大規模分散システムに付随する多くのオーバーヘッドに対処する必要がないように支援します」と説明する。

Image: Tenderly

Web3の世界のより早い実現に貢献していきたい

 同社の収益は前年比500%まで拡大し、ビジネスは急成長している。ブロックチェーンを基盤とした次世代のインターネットのコンセプトである「Web3(Web3.0)」によって、世界的なブロックチェーンへの関心が高まり、利用者が急増しているのだ。

 Bencic氏は「私たちは、この領域に参入するすべての人々の側にいて、彼らの背中を追い、その旅の途中で彼らを助け、最終的にはブロックチェーンの未来を、もう少し早く実現させたいのです。私たちはやりたいことをすべてできるわけではなく、私たちが得意とする分野に集中し、隣接するサービスとの統合やコラボレーションを支援しています」と語った。

 Tenderlyは2021年7月、シリーズAラウンドでAccelをリードインベスターに1530万ドル(約19億円)、2022年3月にはBラウンドでSpark Capitalなどから4000万ドル(約51億円)を調達した。調達資金はチームやプラットフォームの成長に投資していく。すでにブロックチェーン領域で多くのユーザーに支持されているが、これから参入してくるユーザーにも選ばれ、少しでも多くのユーザーを支援していくことを目標としている。

 米国に拠点を構えたBencic氏は「現在のチームは14人で、私は初めてのリモート勤務になりました。私たちはベオグラードにある小さなチームから、国際的に成長するための大きな転換期を迎えており、グローバルな才能を持つ人材を増強して、最高の成果を上げられるようにしたいと考えています。米国とセルビアの良いところを取り入れたいと思っています」と新たなステージへの抱負を語った。

Image: Tenderly

変化の激しいWeb3領域に参入するには、核となる知識を身につけること

 ブロックチェーンは非中央集権的であり、グローバルなエコシステムが醸成されている。Tenderlyのユーザーも世界中に存在する。Web3に興味を持ち、参入する人は増えているが、成熟していない分野であるため、状況は目まぐるしく変化し、多くの企業は何から始めたらいいか分からないという状況だ。Tenderlyのメンバーはインフラ提供によってコミュニティにコミットしながらエコシステムの成長を支えていきたいとしている。

 Web3の未来をBencic氏に聞くと「このシステムは、半年先に何が起こるか分からない、とてもクレイジーで面白い空間です。とても興味深い革新と変化がほぼ連続的に起こっているのです。将来像を予測するのはかなり難しいので、私はそこまではしません。ただ、テクノロジーがオンライン、ネット社会に与える影響をより効果的にすることができる可能性を感じています。目の前にあるテクノロジーを最大限に活用し、それを前進させたいのです」と語った。Tenderlyのビジョンは、Web3の成功と共にあるのだ。

 これからWeb3に参入する人へのアドバイスについて、Bencic氏は次のように話した。

「まず伝えたいのは、『慎重になること』です。第2は、がっかりしないでくださいね、残念ながら、ブロックチェーンアプリケーションを開発するためには、少なくとも私たちがその助けとなるような良い製品を開発するまでは、たくさんの努力が必要です。暗号通貨、NFT、プログラミング、ツールなど、たくさんのことを学ばなければなりません」

「私たちが見てきたリスクの1つは、すべてを一度に吸収しようとすることです。オープンマインドで、一歩ずつ、いろいろなことを試してみることをおすすめします。1つひとつを少しずつ掘り下げながら、この分野を探求し続けるために不可欠な核となる知識を蓄えていくといいでしょう」

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