就業者の7割が「静かな退職」状態、18歳~28歳のZ世代で顕著 退職・転職の意思は?
アデコ(東京都千代田区)は12月16日、就業者のおよそ7割が「静かな退職」の状態にあるという調査結果を発表した。
調査では「静かな退職」を「仕事への熱意や意欲はないが、必要最低限の業務はこなしている」状態と定義。特にZ世代(18歳~28歳)では7割以上に達しており、若年層ほどエンゲージメントの低下が顕著である実態が浮き彫りになった。
就業者の約7割が自ら「静かな退職」状態と認識
全回答者2050人のうち1387人(67.7%)が、自分が「静かな退職」状態にあると回答している(非常にあてはまっている、どちらかと言えばあてはまっているの合計)。
世代別に見ると、Z世代が71.4%と最も高く、Y世代(29歳~44歳)では69.9%、X世代(45歳~59歳)でも62.8%が、「静かな退職」が自身に当てはまると感じている。
今の仕事を続ける理由のトップ「次を見つけるのが難しそう」
また、「静かな退職」状態にあると感じている人のうち、8割以上が当面は、現在の勤務先での仕事を続ける考えを持っている(80.5%)。
理由を聞いたところ、約3割が「次の仕事を見つけるのが難しそうだから」と回答しており(30.3%)、全世代で最も多い。特にX世代では、その割合が4割近くに達する(38.9%)。
次に多いのは、Y世代とZ世代においては「ワークライフバランスが取れているから」、全体では「給与・報酬が良いから」の14.4%だった。
4割以上が「上司に本音を話せていない」、世代で異なる理想の上司像
全回答者の4割以上が「上司に本音を話せていない」と答えており、「上司には本音を話したくない」と答えた人が1割超というデータも出ている。そこで、理想の上司について聞いたところ、各世代で重視するポイントが異なる傾向が示された。
「理想の上司」に求めること(世代別、単一回答)
X世代
・公平・公正である 20.2%
・誠実・正直である 12.8%
・考え方が柔軟である 11.7%
・チームをリードする力がある 11.6%
・話しかけやすい 11.3%
Y世代
・話しかけやすい 19.6%
・考え方が柔軟である 11.0%
・公平・公正である 10.9%
・チームをリードする力がある 9.8%
・仕事ができる 9.5%
Z世代
・話しかけやすい 20.6%
・考え方が柔軟である 11.2%
・チームをリードする力がある 11.2%
・仕事ができる 10.6%
・優しい 10.2%
「静かな退職」に共感する理由の背景として、ワークライフバランスを重視する志向や、昇進への関心低下があるとするパーソルイノベーション(東京都港区)の調査結果もある。
リクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)の調査では、約4人に1人が職場で静かな退職者の存在を認識しており、過半数が不利益を感じる一方、約15%は「恩恵を感じる」と答えている。
調査は、日本全国の勤続1年以上の会社員および公務員・団体職員を対象に6月27日から30日の間、楽天インサイトがインターネット調査で実施。サンプル数は、20歳代から50歳代の男女2050人(各年齢男女25人ずつ)。発表の詳細は公式リリースで確認できる。