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映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!

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1998年10月31日 映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」公開日

“事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!” という名セリフ


『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』は、1998年に公開された『踊る大捜査線』シリーズ劇場版第1作であり、興行収入100億円を超えた大ヒット映画である。ちなみに、このもとになったテレビシリーズは1997年1月から3月の放送で、今から29年前の連続ドラマである。

“都知事と同じ名前の青島です” というセリフにピンとこない20代〜30代の方もいるだろう。そんな人でも、“事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!” という名セリフを一度は聴いたことがあるんじゃないかな? 社会現象にまでなった名セリフはテレビシリーズではなく、『踊る大捜査線 THE MOVIE』の終盤で主人公である青島刑事(織田裕二)が腹の底から咆哮した言葉である。

この劇場版第1作は、実に見事な脚本でテレビシリーズのテイストを残したまま、映画のダイナミックさを活かしている。映画好きにはたまらないであろう歴史的映画の名場面の数々やヒットしたドラマをオマージュした遊び心満載の脚本は、当時30代後半の君塚良一が担当した。監督は、まだ33歳だった本広克行。そして主演の織田裕二は30歳、室井慎次役の柳葉敏郎もまだ37歳という若さであった。

和久平八郎の名セリフ “正しいことをしたければ偉くなれ” が持つ意味は?


冒頭のアバンタイトルは、警視庁の吉田副総監(神山繁)を自宅から車でゴルフ場へ送り届けるシーンから始まる。そして、そのゴルフコンペで湾岸署の署長(北村総一郎)がブービー賞の景品である七色のスモークボールを貰うのだが、そのゴルフボールが事件の重要な役割を果たすことに…。ここから始まるストーリーと伏線の回収はさすがである。とにかく全てのシーンに意味があり、無くなった領収書の束にまでしっかり顛末が用意されている緻密な脚本に恐れ入る。

そして、テレビシリーズから一貫して変わらない “正しいことをしたければ偉くなれ” という、いかりや長介演じる和久平八郎の名言。この劇場版では特にフィーチャーされている。和久と吉田副総監が若い頃に交わした “俺は現場で頑張るから、あんたは偉くなって警察組織を変えてくれ” という約束を同じように青島と室井が交わすことで、その言葉がより一層深く印象付けられる。

テレビシリーズのなかで、和久が “正義なんて言葉、口に出すな。死ぬまでな。心に秘めておけ” と青島に静かに語るシーンがあった。そのドラマから時を経た、SNS時代真っ只中のいま、個人の思う正義の乱用で人を傷つけたり苦しめたりする事案が後を絶たない。

 俺たちは正しいことを言っている
 これが正義だ

 私は正しくないことをする人間を許せない
 罰せられるべき

そう、そんな巷に氾濫する正義とは、己の欲望を満たすためだけの負の感情に他ならない。正しいことと正義とは全くの別物なのである。 “正しいことしたければ偉くなれ” の ”偉くなれ” には、自分自身を乗り越えるという意識改革の意味が込められているのだろう。また本作は、ひとつひとつの現場力を積み重ねて事件を解決に導いてゆくのだが、その障壁として立ちはだかるのが本庁の上層部である。

最高に痺れるシーン、「青島!確保だ!」


クライマックに近づき、暗い会議室のなか、円形のテーブルに置かれたモニターを見ながら現場に茶々を入れるシーンがある。“捜査員を近づけろ” “いや、捜査員を遠ざけろ” など、現場を無視した命令で捜査を混乱させ、あげくに誘拐犯に目星をつけた青島に “逮捕は捜査一課にさせろ” と足止めする。一刻を争う緊迫した場面で一向に指示が出ないことに業を煮やした青島。そう、そこで出た言葉が、“事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!” である。この叫びでスイッチの入った室井が吠える。

「青島!確保だ!」

最高に痺れるシーンである。そう、この “事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!” という叫びは、全てのサラリーマンが会社の上層部に対して日々心に抱えている不満と怒りそのものである。『踊るシリーズ』を築いた脚本家の君塚良一、監督の本広克行、そしてプロデューサーの亀山千広が、この映画を通して伝えたいことは1にも2にも現場の持つ力なのだ。

最前線で踏ん張る人間を組織はもっと尊重すべきであり、時に暴走とも思える現場の判断においても、責任は取るから思い切ってやれと後押しする上司や、それを認める組織こそが本来の企業にあるべき憧れの姿なのだ。だからこそ、主人公の青島にそのアツい思いを代弁させたのである。このセリフが色褪せることなく、今もなお繰り返し話題になり続けているのは、そういった全てのサラリーマンが思い描く理想の企業像がそこにあるからに他ならない。

Previous article:2024/9/28

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