手で触らずにラップで包んだおにぎりで食中毒に…具は「梅おかか」なのにどうして?専門家に聞いた
これから夏本番を迎える北海道内。そんな中、特に注意したいのが、お弁当などでの「食中毒」です。
連載「じぶんごとニュース」
まずは、おにぎりをつくった時…すぐにラップで包んでいませんか?
というより、ラップに包んで、おにぎりを握っていませんか?マチで聞いてみると…
30代女性
「ラップをはがすのも面倒なので、そのまま放置しちゃうかも…そのまま、お弁当箱に入れて持っていっちゃう」
30代女性
「むしろそのまま入れています!ラップの中に水滴がつきますよね。見て見ぬふりしていました」
皆さん「やってしまっていた」という人が多かったんですが、実はこれ、気を付けないと、これからの季節『食中毒のリスク』を高めてしまうかも知れないんです。
「ラップで握ることで、手に付いていた菌をおにぎりにつけないという対策はとられているんですけども、それで安心してしまうと危ないです」
そう話すのは、北海道立衛生研究所の大野祐太(おおの・ゆうた)さん。
どんな部分に”食中毒のリスク”が潜んでいるのでしょうか。
気温だけじゃなくて水分に注意
おにぎりのごはんをラップでくるむことで中の熱が逃げにくくなります。
そうすると、水蒸気がラップの内側で結露してびちゃびちゃに…。
北海道立衛生研究所の大野さんは、「そのまま食品を保存しておくと、たとえ気温が低くても菌が増えてしまう」と注意を呼びかけます。
温かいご飯でおにぎりを作る場合、菌などがつかないように、素手ではなく”ラップ”を使って握っても、ある程度はどうしても”菌”が入ってしまいます。
細菌は、37℃~42℃で爆発的に増える特性を持っています。
では増殖しないために「温度」だけに気をつければいいかというとそこに落とし穴が。
『温度』だけではなく、『水分』も大きく影響しているんです。
そのため、ラップを使って、おにぎりを作る時は、握った後にラップの両端を閉じないで開けておき、蒸気を逃がしてから包まないと食中毒のリスクが高まってしまうということなんです。
実際に、道の『食中毒警報の発令基準』を見てみると、「前の2日間の最低気温が20℃以上で、かつ、湿度が85%以上の場合」など、湿度も含んだ基準になっているんです。
「食中毒を起こす細菌は、たくさん菌が増えた時に起きる食中毒とちょっとの菌でも食中毒になるものもある」と大野さんは話します。
きょうは夏だけど、比較的涼しいから安心だというわけではなくて、日頃からの注意が大切になります。
”ちょっとの油断”から食中毒になってしまうと、どれだけ辛いのでしょうか?
まさか自分で握った「梅おかか」で
6月、自分で握ったおにぎりで「食中毒」になってしまったという札幌市のタクシー運転手・知美さん(40代)に、その時の様子を聞きました。
「一番辛い症状は、吐き気。あと、実際のおう吐…の繰り返しですね」
その日は、いつもと変わらず、朝炊いたご飯の残りで、おにぎり2個を作ったという知美さん。
やはり食中毒が心配なので、素手ではなくラップを使い、具も比較的傷みにくい「梅おかか」をチョイスしました。
タクシーのトランクに入れたバッグの中でおにぎりを保管し、ドライバー業務をするいつもの日常。
おにぎりを食べたときも、「全く違和感はなく、臭いも、味の変化もなかった」といいます。
さらにその日は最高気温が20℃未満の涼しい日。
知美さんは安心していました。
しかし、おにぎりを食べたおよそ4時間後…
吐き気がひどく仕事は早退。その後も、具合は悪くなる一方だったと言います。
「具合が悪くてベッドに横になっていても寝れなくて、常にムカムカしている状態。救急車を呼ぼうかなと思うくらい本当に動けなかった」
「たとえ気温が低くても、保冷剤、保冷バッグを使えば食中毒になることはなかった」
夏の暑さが続きます。食中毒警報なども出てきていますので、
お弁当づくりには改めて細心の注意をしていきましょう。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年7月9日)の情報に基づきます。