親の一人暮らしをどう支える? | 親が元気なうちにやっておきたい準備についてFPが教えます
一人暮らしの親をどう支えるか。
家計相談歴30年のファイナンシャルプランナー(FP)、波多間 純子さんと共に考えました。
【高齢者の一人暮らし。そのリスクは?】
配偶者に先立たれた後、子どもに迷惑をかけたくないなどの理由から、子どもと同居はせずに一人暮らしを選ぶ高齢者が増えているそう。
しかし、高齢者の一人暮らしには、病気やけが、事故の発見が遅れるといったリスクがあります。小さな変化を感じ取れず、認知症などの病気の発症に気づくのが遅れる可能性もあります。
体力が衰えると、家事をするのがおっくうになり、生活の質が下がってしまう可能性も。
【親の一人暮らしをどう支えるか】
では、親の一人暮らしをどう支えれば良いのでしょうか。
波多間さんは「今後の親御さんの状況を3段階に分けて、見通しをイメージしてみてください」とアドバイスをします。
また、親が元気なうちに、希望を聞いておくことが大切なんだそう。
「こうした方がいいんじゃないか」という思いがあったとしても、まずは親の意思を尊重してあげることがポイントです。
「生活援助が必要になった場合は、民間や行政の生活支援を上手に使ってサポートをしましょう」と波多間さん。
広島市も「高齢者配食サービス」や、「あんしん電話」といったサポートサービスを提供しています。
民間では、郵便局の「みまもり訪問サービス」や、IoT技術を活用した「MaBeeeみまもり電池」といったサービスもあります。
必要に応じて活用していきましょう。
「介護が必要になったら、あらかじめ介護休業給付の確認や、地域包括センターへの連絡をしておくと良いと思います」
事前に準備をして、いざというときにスムーズに利用できるようにしておきましょう。
そして、気になるお金のこと。
波多間さんは、財産一覧表を親に作成してもらうことを勧めます。
「一覧表を作るにあたり、金融機関を明確にすること。金額は書かなくても良いです。金額を書くと抵抗があると思うので……」
「親が認知症になってしまう可能性も考えて、家族信託を検討しておいてほしい」
と波多間さんは話します。
「親御さんがもしも認知症になったら、それ以降の財産の管理や処分をお子さんに任せますよという契約。認知症などで判断能力がないと判断されたら、金融機関から預金の引き出しができなくなってしまう。マイホームなどの売却も困難になるので、資産を凍結されるリスクに備えるために有効です」
もしも、一人暮らしが難しくなり、同居もできない状況となったら、高齢者向け施設・住宅の利用も視野に入れましょう。
施設によって費用や入所要件も異なります。
気になる施設があれば見学をしてみるのもおすすめです。
「言葉は優しく、内容は現実的に」
親の一人暮らしをどう支えていくのか、互いに寄り添いながら話し合ってみてはいかがでしょうか。
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2024年9月10日放送)
ライター:神原知里