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ヤングケアラーにも楽しんでほしい!ヒップホップ調の音楽レクで世代間交流

「みんなの介護」ニュース

今井 竜彦

目次
ヤングケアラー問題は福祉からのアプローチが必要
音楽とレクが世代間の溝を埋める
ヒップホップと介護レクの融合

ヤングケアラー問題は福祉からのアプローチが必要

今井:現在、馬場田先生は音楽健康指導士として、介護施設の利用者さんはもちろん、職員さんも一緒に楽しめる音楽レク動画を多数公開されています。

認知症や介護への関心を高め、より多くの方に早期予防に取り組んでほしい、さらに介護業界の活性化のため若い世代に向けた介護のイメージ改革を目指したいという、先生の想いが込められていました。

そしてこのたび、ヤングケアラーの皆さんも楽しめて役立つ、新しいレク動画プロジェクトが始まったとお伺いしました。まず、ヤングケアラーの現状について教えていただけますか?

馬場田先生:2021年3月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した『ヤングケアラーの実態に関する調査研究』によると、日本では中学2年生の17人に1人の割合でヤングケアラーがいるとされています。

私もケアマネージャーとして利用者さんのお宅に訪問すると、お孫さんが介護を手伝っているというケースをときどき見受けますが、近年はその数が多くなっていると感じています。

また、私の施設にも障がいを抱えるお子さんを持つ職員がいますが、日中は兄弟がその子の見守りを行うなど、兄弟姉妹同士で介護を行う場面もあると聞いています。

さらに先述の調査では、ヤングケアラー本人が介護に対するストレスや孤独感などを感じているというよりも、介護として認識せずに責務として割り切って考えている方が多いこともわかり、とても印象的でした。

少子高齢化や核家族化が進み、近所付き合いが少なくなっている昨今、ヤングケアラーは潜在化しやすくなっています。

まずは、ヤングケアラーの皆さんが一人で問題を抱え込まないよう、私たち福祉の専門家が積極的に介入していく努力が必要だと感じています。

そして、読者の皆さんには、この記事を通してヤングケアラーという存在を知り、興味と関心を抱いていただきたいと思います。

音楽とレクが世代間の溝を埋める

今井:今回の新しい取り組みは、どのような点でヤングケアラーの皆さんが楽しめて役立つのでしょうか?

馬場田先生:以前から、私はDJの経験を生かし、ヒップホップなどの新しい音楽を介護の現場に取り入れてきました。

そこで本プロジェクトでは、在宅介護をされている方、特にヤングケアラーの皆さんにも楽しんでいただける内容にしようと考えました。

新しい音楽に敏感な若い世代の皆さんが聞いていて楽しめる。そして疲れたときのストレッチなど、普段の生活で活用していただけます。

今井:馬場田先生の動画には若い世代に向けたものが多くあり、また若い方に向けたストレッチ動画はほかのチャンネルにも多くあると思いますが、この取り組みにおける動画は何が違うのでしょうか?

馬場田先生:最も重要な部分なのですが、音楽とレクの内容が、若い方から高齢の方までエイジフリーで楽しんでいただけるところです。

高齢だからといって新しい音楽をまったく受け付けないということはありません。私の施設でも普段からこの音楽を流しているのですが、日常とは違う雰囲気に対して新鮮さを感じているようで、好評を博しています。

今井:普段と同じ場所であっても、流れる音楽一つで雰囲気を変えることができるのも、音楽のチカラですね。

馬場田先生:まず、この動画をヤングケアラーの皆さんがご自身で楽しんでいただいたら、次は家族の皆さんと一緒に楽しんでみてください。

コミュニケーションのきっかけとなる共通の話題が生まれ、きっといつもより少し楽しい日常につながるはずです。

ヒップホップと介護レクの融合

今井:それでは、ここからは動画を紹介していきます。まず1つ目は、『チルでエモい ラバウル小唄 Lo-fi chill mix』です。

馬場田先生:ここで題材にした『ラバウル小唄』は、実は軍歌なんです。太平洋戦争時、日本海軍の拠点があったラバウル(現パプアニューギニア)という地名に由来します。

歌謡曲などにアレンジされて人気が出た経緯もあり、高齢の方の琴線に触れる一曲として、私の施設でも鉄板ネタの一つです。

そんなラバウル小唄を、現在流行しているローファイ風にアレンジ。勉強やリラックスタイムのBGMとして流していると、もしかしたらおじいさんやおばあさんが興味を持たれるかもしれませんね。

今井:2つ目は、『夜に振り手スイング♪』です。

馬場田先生:私が以前勤めていた通所リハビリテーション施設にて行われていた、「振り手体操」をアレンジしました。

両腕を前から後ろに振るというシンプルな体操ですが、なかなかハードなんです。私が製作したソウル風の楽曲に合わせて行うと、自然と身体が動いて楽しく取り組んでいただけると思います。

今井:慣れてきたら、ご自身の好きな音楽で挑戦するのもいいですね。

馬場田先生:勉強や介護で少し疲れた際に行えば、肩回りの血行が良くなります。また、単純な繰り返し動作は頭を空にできるので、気持ちの面でもリフレッシュできます。実施する際には次の3つのことに注意してください。

痛みがある場合は無理に行わない
体操中は息を止めない
水分補給を忘れない

今井:最後は、『アイ ダブ ストレッチ eYe dub stretch!』です。なんと「スマホ」に特化した体操なんですよね?

馬場田先生:若い世代の皆さんは、スマホを近くで見る機会が増えています。そのため、慢性的な眼精疲労や眼球運動、目の調整力の低下が懸念されています。

その予防のためにも、すき間時間に目の体操をすることがおすすめです。

この楽曲は、ダブステップというジャンルの曲からサンプリング(音楽の一部を流用して再構築し、新たな楽曲をつくること)しています。低音が特徴的な楽曲で、聞いているだけでも楽しんでいただけます。

テレビをよく見ている家族の皆さんとも、ぜひ楽しく目の体操に取り組んでみてください。

今井:それでは最後に、このプロジェクトを通して馬場田先生が一番伝えたい点を教えてください。

馬場田先生:介護とは結びつかない最新の音楽という文化を取り込むことで、介護のイメージが変わり、もっと自由で楽しくなる。そして間口が広がることで、ヤングケアラーや介護に対し、興味関心を示す人が増えてくる。

家族の介護は、幼少期からかかわらないといけないケースがあり、誰しもが経験し得る時代になっています。まずはこの問題に対して世間の関心を高めることが必要です。

このプロジェクトを通して、介護される方だけでなく介護をする方にも楽しんでいただき、そして介護職に就いていない人にも興味を持っていただくきっかけになってほしいと思います。

介護は中年から高齢の方が行うものというイメージから抜け出すだけでも、ヤングケアラー問題を解決する糸口になると思います。ぜひ今後も介護関連のニュースを含め、関心を持っていただけたら幸いです。

【馬場田先生のYoutubeチャンネル】

馬場田先生が執筆する「マイベストプロ山形」のコラムでは、各動画の詳しい解説や介護施設でも活用できるレクも紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。

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