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【福岡・居心地抜群の小バコの店】昔ながらの大名を思わせる大人のビストロ

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YODA_メイン

「大名」の地名は、江戸時代、福岡藩の家老格(大名)の屋敷が並んでいたことに由来することは良く知られるところ。福岡市ではそうした歴史にちなんで、大名地区の通りに「雁林町通り」「林毛町通り」といった旧町名を示す名称を付けて、表示板などを設置しています。その中の一本である「養巴町通り」にある古いアパートが「養巴コープ」。元々は居住用でしたが、現在では個性的な飲食店が集まるスポットとして知られています。

「YODA」の店主・與田正広さんがこのアパートの3階に店を出したのは、およそ10年前。「当時はまだ人が住んでいました」というから、かなりの古株です。與田さんは平成の初め頃、佐賀県から料理人を目指して福岡にやって来ました。最初に働いたのが大名の居酒屋で、聞けば筆者もよく通っていた店でした。その後ビストロやホテルのレストランでフランス料理を学び、洋食系居酒屋の店長などを経て、大名で独立。「やっぱり大名が好きなんですね」と笑います。

「養巴コープ」の店はどこも小バコですが、「YODA」もカウンター5席、テーブル10席のこぢんまりとした造り。客席側に食材用の冷蔵庫がドーンと置かれているのもご愛敬です。気さくな雰囲気の中で、この道35年になる與田さんが作るフレンチやイタリアンの洋メシとワインを気軽に楽しむことができます。

まずは、挨拶代わりに「YODA's定番キッシュ」(700円)と白ワインから始めるのが、この店のお約束。ふんわりと焼き上がったキッシュの中身は、ベーコン、キノコ、長ネギといった基本の具材に、サトイモやほうれん草など季節の野菜がアクセント。決して派手さはありませんが、安心感のある美味しさです。

2品目は黒板に書かれた限定メニューから、季節ものの「アサリとあおさのスパゲッティ」(1600円)を注文しました。アサリ、あおさともに春の訪れを告げる食材で、ぷぅんと漂う磯の香りが食欲をそそります。

メインには、赤ワインに合わせたガッツリ系の肉料理が気分です。「糸島豚ロースの厚切りロースト」(1800円)は、約250gもの豚ロースを3cmはあろうかという厚切りにカットした塊をじっくりと焼き上げ、赤ワインと蜂蜜のソースをかけたもの。マスタードとともに添えられているのは、自家製ジンジャエールを絞ったおろし生姜で、黒砂糖と蜂蜜の甘さが豚ロースによく合います。もちろん、赤ワインにも!

イタリア産のハウスワインは白・赤ともにグラス500円という破格の値段で、與田さんセレクトのおすすめワインはグラスで800円から、ボトルで3800円から。すべてワインに合わせた料理ばかりなので、グイグイとグラスが進み、ボトルが空になってしまいます。今やすっかり若者の街となった大名ですが、昔から大名をよく知る世代にとってはゆっくり落ち着いて食事ができる、大人のビストロです。

洋メシとワイン YODA
福岡市中央区大名1-8-5養巴コープ3F
092-781-6333

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