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【80年代アニメソング総選挙】時代の扉を開いた松田聖子と六神合体ゴッドマーズの関係

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1982年12月18日 日本テレビ系アニメ「六神合体ゴッドマーズ」放送開始日

結果発表【80年代アニメソング総選挙】リレー総括 vol.6

アニソンが変化する口火を切った主題歌「宇宙の王者!ゴッドマーズ」


80年代は歌謡曲とニューミュージックが融合し、90年代以降のJ-ポップへと続く新たな音楽が生まれた時代であったと言われる。これはアニメソング(アニソン)も同様で、それまで歌謡界とは一線を画していたアニソンもヒットチャートにランクインし始め、シティポップやロックといった様々なジャンルの曲が増えていく。

先般発表された『80年代アニメソング総選挙!ザ☆ベスト100』の結果を見ても、TM NETWORK、飯島真理、杏里といった新進アーティストの曲が上位にランクインしており、音楽のトレンドが間違いなくアニソンにも影響している。

こうした変化の口火を切ったアニソンの1つが、1981年から翌年にかけて放送された『六神合体ゴッドマーズ』(以下:ゴッドマーズ)の主題歌である。オープニングテーマ「宇宙の王者!ゴッドマーズ」は総選挙で93位にランクインし、投票した私も嬉しかった。

小田裕一郎の疾走感あるロックサウンド


「宇宙の王者!ゴッドマーズ」の作曲は小田裕一郎。そう、さわやかなAOR(Adult Oriented Rock)サウンドを日本の歌謡界に吹き込み、松田聖子の初期ヒット曲を制作し、自らもアーティストとして活動した作曲家である。そんな小田のサウンドにスポットを当てて、ゴッドマーズが誘発したアニソンの変化について述べてみたい。

『ゴッドマーズ』は、その名のとおり6体のマシンが合体して1つの巨大ロボットとなり、地球を攻める外敵と戦う物語である。『ゲッターロボ』の系譜を受け継いだ合体ロボットアニメだが、6体もの合体は本作が初めて。壮大なストーリー、悲劇の主人公、女性ファン獲得などで人気を高め、1年以上放送が続いた後に映画化もされた。しかし私は、『ゴッドマーズ』が人気を博したのは、小田が手掛けた主題歌(オープニングとエンディングのテーマ)の影響も無視できないと推察する。

オープニングテーマ「宇宙の王者!ゴッドマーズ」は、小田裕一郎が得意とするロックテイストで疾走感あふれる曲。段階的に盛り上がる中盤のメロディラインは、聴いていると心がヒートアップしてくる。歌っているのは、作曲家の顔も持つアニソン歌手の樋浦一帆。力が込もり、たたみかけるようなボーカルは、外敵と戦うロボットアニメにふさわしい。

しかも曲のアレンジは、ストリングスに定評がある若草恵。電子音が随所に鳴り響き、縦横無尽に弦がうなる壮大なサウンドは、戦闘モードに入ったかのよう。間奏に入るギターソロも圧巻の演奏で、これがアニソンかと疑うくらい聴き惚れてしまう。

歌謡界のヒットメーカーが顔を揃えたアニソン


一方、同じく樋浦一帆が歌うエンディングテーマの「愛の金字塔」も心に残る名曲だ。残念ながら今回の総選挙ではノミネートから外れてしまったが、こちらはシティポップ風に味付けされたメランコリックなメロディ。

樋浦のボーカルからは、主人公や人々が抱える深い悲しみが伝わってくる。アウトロのギターソロ演奏も素晴らしい。聞きどころはサビ。マイナーからメジャーへと転調し、悲しみに立ち向かう感情がメロディで表現される。小田が得意とするAORサウンドの片鱗が聴けるのもポイントだ。

ちなみに、この2曲を作詞したのが三浦徳子。奇しくも松田聖子の初期作品を手掛けたコンビがアニソンで共演しているのだ。さすがに歌詞はアニメの内容に即しているが、歌謡曲とは別ジャンルだったアニソンに歌謡界のヒットメーカーが顔を揃えていて興味深い。

小田裕一郎、作風の変化がヒット曲を誘発


そして、『ゴッドマーズ』の主題歌は小田のこれまでの作風を変え、アニソンの歴史にも一石を投じた。実は小田は『ゴッドマーズ』以前にもアニソンを作曲している。1980年に封切られた竹宮恵子原作のアニメ映画『地球へ…』(テラへ)の主題歌だ。

フォークデュオのダ・カーポが歌ったこの曲はAORサウンドが特徴。小田にとって初のヒット曲「アメリカン・フィーリング」にも似た、アメリカ西海岸風のさわやかな曲である。また、同時期に小田が提供していた松田聖子の初期作品も、AORを基調にした南国風で明るいポップスが多かった。つまり、『ゴッドマーズ』以前の作風は、AORテイストのメジャー(長調)が主流だったのだ。

一方、『ゴッドマーズ』の主題歌は哀愁漂うマイナー(短調)な曲。まるで、松田聖子の曲をマイナーに焼き直したようだ。しかし、この変化がヒット曲を誘発する。1982年の角川映画『汚れた英雄』の同名主題歌を、小田は疾走感あるマイナー調の曲に仕上げ、ローズマリー・バトラーが歌い大ヒットしたのだ。

そして、今回の総選挙で見事4位にランクインした『キャッツ・アイ』の主題歌においても小田に白羽の矢が立つ。同じ制作会社(東京ムービー)で作られ人気を博した『ゴッドマーズ』の実績が小田へのオファーに影響したことは、想像に難くない。杏里が歌った「CAT'S EYE」はアニソンと歌謡界の垣根を越えて大ヒットを記録。アニソンのニューミュージック化を促し、総選挙1位の「GET WILD」などの名曲が次々と生まれたことは歴史が示すとおりである。

そう、小田裕一郎が作曲した『ゴッドマーズ』の主題歌は、80年代のアニソンが変化する口火を切ったエポックメイキングな作品として、もっと知られるべき存在である。

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