韓国ドラマ広がる格差‥低予算でも口コミ「アンダードッグ効果」最新作 4選
アジア圏からスタートし、いまや世界中で愛されている韓国ドラマ。
約20年の間にスタイルが徐々に変化し、映画のような壮大なスケールで描かれたものや、豪華役者陣の共演作などが、話題性と人気を思うままにしてきた。
こうして莫大な製作費が投入されたドラマの成功は、いつしか約束されたも同然という風潮に。
ところが最近、この方程式ともいえるパターンが崩れつつある。
低予算のドラマでも口コミで話題となり、”アンダードッグ効果”によって大作と大差ないほど愛される作品も。韓ドラ界には今、製作費格差が広がっている。
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韓ドラ界に広がる格差と変化
製作費格差が生まれているのは、2024年のドラマのラインナップをみても一目瞭然。
多くのファンが配信を心待ちにしている『京城クリーチャー』(Netflix/全7話)のシーズン2は約700億ウォン、『イカゲーム』(Netflix/全6話)の第2弾は、なんと本国最大となる1千憶ウォンが投入されているという。
また、韓流スターキム・スヒョンが主演の『涙の女王』(tvN/全16話)は約560億ウォン、CGなど視覚的なエンターテインメントが魅力の『支配種』(Disney+/全10話)は約240億ウォン、銀幕のスターソン・ガンホの初主演ドラマ『サムシクおじさん』(Disney+/全16話)は約400億ウォンだった。
16部作のドラマにかかる製作費が約200億ウォンと言われている点を勘案すると、いずれも大作の部類に入る。
しかし『支配種』や『サムシクおじさん』は、残念ながらヒットとは言えない結果に。他にも超大作と称される一部のドラマは、絶大なる支持を得たものの製作費を回収することはできなかったのだとか。
そんななか、トップスターの出演なしで低予算ながら好評を得た作品がある。いずれも海外ファンの間で、口コミで広がったものばかり。
”高額な製作費=成功”という従来の方程式を覆すドラマの登場は、韓ドラ界に新たな風を吹かせている。
ソンジェ背負って走れ (tvN/2024/全16話)
1作目は、『ソンジェ背負って走れ』。日本でも大きな話題となり、連日各メディアで取り上げられていた作品だ。
グローバルOTTであるRakuten Vikiでは、カナダをはじめ、フランス、ドイツ、イタリアなど133カ国でなんと1位を獲得。
主演にはピョン・ウソクとキム・へユンを迎え、製作費は約200億ウォンで一般的な予算だったが、胸キュンロマンスが多くのドラマファンを虜にし、配信開始以降徐々に支持されていった。
●キャスト:ピョン・ウソク、キム・ヘユン、ソン・ゴニ、イ・スンヒョプ、チョン・ヨンジュ 他
ピラミッドゲーム (TVING/2024/全10話)
2作目は、『ピラミッドゲーム』。日本ではABEMAで独占配信されており、ご覧になった人もいるのではないだろうか。女子高内で繰り広げられるサバイバル序列戦争を描いた作品だ。
物語を牽引する主要メンバーには、新人級の女優がキャスティングされ、海外ではまだあまり名の知られていない役者もいたが、しっかりとしたストーリーに加え、出演者の好演が好評を得て、完成度の高い学園ものとして評価されている。
また、フランスで毎年開催されている最高のシリーズを選定する『Series Mania』に招請された唯一のKコンテンツであり、低予算で成功した好例と言われている。
●キャスト:キム・ジヨン、チャン・ダア、リュ・ダイン、シン・スルギ、カン・ナオン 他
Your Honor (Genie TVENA/2024/全10話)
3作目は、『Your Honor』。イスラエルのドラマを原作にした韓国で放送中のサスペンススリラーだ。
いわゆる韓流スターは不在だが、韓ドラ界を長年支えてきた演技派俳優ソン・ヒョンジュとキム・ミョンミンが主演を務め、演技対決を繰り広げている。
存在感ある2人の活躍が大きな話題となっており、多くのユーザー数を誇るNetflixで配信されていれば大ヒットしていたに違いないとまで言わしめた作品だ。
●キャスト:ソン・ヒョンジュ、キム・ミョンミン、キム・ドフン、ホ・ナムジュン、チョン・ウンチェ 他
グッド・パートナー (SBS/2024/全16話)
最後は、『グッド・パートナー』。チャン・ナラとナム・ジヒョンがW主演を務める法廷ヒューマンドラマだ。
有名作家をはじめ、高額なギャランティーの発生するスターが不在の作品だが、アジア最大のOTTプラットフォームViuでは、第4話にしてインドネシアで4位、マレーシアで5位、香港で6位、シンガポールとミャンマーで7位、タイで8位を獲得するなど好成績を記録。
制作費は公表されていないものの、費用のかかるセットや海外ロケ、CG処理などが必要のない作品であることから、低予算で制作されたことが推測され注目を浴びている。
●キャスト:チャン・ナラ、ナム・ジヒョン、キム・ジュンハン、ピョ・ジフン、チ・スンヒョン 他
(ライター/西谷瀬里)