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段田安則が演劇の金字塔に挑む!『セールスマンの死』開幕レポート

エンタステージ

段田安則が演劇の金字塔に挑む!『セールスマンの死』開幕レポート

パルコ・プロデュース 2022『セールスマンの死』が、2022年4月4日(月)に東京・PARCO劇場にて開幕した。初日前にはフォトコールが行われ、会見には段田安則、鈴木保奈美、福士誠治、林遣都、鶴見辰吾、高橋克実が登壇し開幕への思いを語った。

レポート

『セールスマンの死』は、過酷な競争社会や若者の挫折や家庭の崩壊を描き、トニー賞、ニューヨーク劇評価賞、ピューリッツア賞を受賞した“演劇界の金字塔”とも呼ばれる作品。1950年前後のアメリカ・ニューヨークを舞台に、かつては敏腕セールスマンとして鳴らしたものの、今では会社の厄介者として扱われるようになった主人公ウィリー・ローマンが、行き詰まった末に、家族のため、自分のために下した決断を描く。

フォトコールで公開されたのは、ウィリーと彼の家族の関係が浮き彫りになる3つのシーン。まず、ローマン家のキッチンで、ウィリー(段田)を心配してやってきたチャーリー(鶴見)とウィリーがカードゲームをしているシーンからスタート。

死んだはずのウィリーの兄ベン(高橋)が上手から登場し、ウィリーはアラスカに行かないかと誘われたことを回想する。次第に、現実と回想が混乱したウィリーがゲームを投げ出してしまう。ウィリーに問題が起きていることを強く印象づける場面であった。

そして、過去の回想であるローマン家の庭でのシーンへと続く。ウィリーと妻リンダ(鈴木)のもとに、ベンが現れ、黄金を掘り当てたという土産話を聞かせる。ウィリーはビフ(福士)とハッピー(林)を呼び、ベンの話を聞かせようとするが、話はどんどんおかしな方向に進んでいく。

その後、再び現実のシーンへと戻り、庭で独り言をつぶやくウィリーと、ウィリーの精神が不安定なことを話し合う様子が描かれた。ウィリーが周りにバカにされている話をしていたタイミングでウィリーが帰宅し、空気が悪化する。

舞台上に大きなセットは設置されておらず、それぞれのシーンのための小さなセットが出入りして場面を構築。キッチンのシーンではキッチンの一角のみを模した部屋が登場し、続く庭のシーンではキッチンがステージ横にはけると同時に庭のセットが登場してくるという具合だ。

シンプルなセットは、現実と回想が混在するウィリーの頭の中を具現化したような印象を与えた。その世界観は幻想的で、どこか陰鬱的。現実と回想の垣根を感じさせない段田の演技も素晴らしく、観客を物語に強く引きこむ強い力を感じた。

会見では、まずウィリー役の段田が「1週間くらい前までは不安でいっぱいだったんですが、劇場に来て、これはいけるんじゃないかという手応えを感じています。暗いお芝居ではございますが、今、人生が順風満帆でバラ色の人生を歩んでいる方も、今人生辛いなと思っている方も楽しんでいただけると思います」と挨拶。

続いて、リンダ役の鈴木が「左に同じです(笑)。どうぞお楽しみください」と簡潔に述べると、ビフ役の福士は「ビフはキャスト内でも『やりたかった役ランキング』が高いみたいなので、キャストからダメ出しをもらわないように日々精進していきたいと思います」と軽やかに話した。

そして、次男のハッピー役の林は「世の中大変な状況ですが、皆さんと一緒にこの作品ができて嬉しいです。今日から毎日千秋楽まで大切に過ごしていきたいと思います」とコメント。

チャーリー役の鶴見は「新しいPARCO劇場、渋谷という大都会で、この芝居を見たお客さんがどう感じるんだろうと思うと演技のしがいがあります。家族の話ですが、ある国家の元首の話のようにも思える深さを感じます。1度見た人は2度3度と戯曲を味わってもらえればと思います」、兄ベン役の高橋は「セットも非常に斬新で、私も色々なところから出はけしますんで、ベンがどこから出るのかご期待ください」とそれぞれ語った。

本作の演出を手がけるのは、2020年に上演されたサイモン・スティーヴンスの新作戯曲『FORTUNE』でも注目されたショーン・ホームズ。段田は、ショーンの演出について「今までにない斬新な『セールスマンの死』になっていますが、奇をてらったわけではなく、本質をついた演出だと思います。頭の中の妄想や回想がうまい具合に演出されているなと思っています」と言及した。

また、福士は稽古を「本読みから始まって、通してお芝居をして、2週目になった時により深く演出が入り、3週目にさらに深くなり、完成したと思ったらさらに変化があり・・・一回も頭が休まらない状態でこの劇場に来ました。それだけ深い戯曲だと思っています。楽しい時間でした」と振り返る。

林も「1カ月間、毎日みっちり稽古をしてくださって、本当に部活のような日々でした」と回想。一方、本格的舞台への出演が25年ぶりで2回目という鈴木は「私は舞台用語も分からないので、分からないままやってます(笑)。皆さんが優しくしてくださるので、ただただついていっています」と笑顔を見せた。

さらに、主人公のウィリーについて聞かれると、段田は「自分の理想や希望と現実のギャップに苦しんでいる人。その理想を息子たちにも託してしまったので、そこでも挫折している生き方の下手なおっさんだなという感じがします」と分析。

鶴見は、「段田さんの演じているウィリーを見ていると、亡くなった自分の父を見ているような感じがしました。息子に対する愛情が深いゆえに空回りしたり、自分が望んでいる夢を追い続けていたり・・・。段田さんが克実さん演じるベンに言う『父さんはどこ?』という台詞聞くと、涙が出てきます」と明かした。

高橋はウィリーに共感するところも多いと言い、「自分が儚く見えたり、小さい自分を大きく見せたいというのは自分と重なって、感情が昂ります。自分が子どもの頃に親にこういう態度をとっていたなとも思う。観ているよりも演じていると余計にそう感じることが多いんだと思います」と語った。

会見の最後、改めて段田は「今日これから初めてお客さんの前でやるので、そのことで頭がいっぱいで阪神(段田は阪神タイガースの大ファンだが、会見の時点で9連敗中)があれだけ負けていてもそのことがどこかにいってしまうくらいです(笑)」と話して笑いを誘うと、「渾身の『セールスマンの死』です。観にきて失敗したということはないと思います。みんなでがんばっております」と呼びかけた。

パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』は、以下の日程で上演。上演時間は第一幕65分、休憩20分、第二幕75分の計2時間40分を予定。

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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パルコ・プロデュース2022『セールスマンの死』公演情報

上演スケジュール・チケット

【東京公演】2022年4月4日(月)~4月29日(金・祝) PARCO劇場
【松本公演】2022年5月3日(火) まつもと市民芸術館 主ホール
【京都公演】2022年5月7日(土)・5月8日(日) ロームシアター京都 メインホール
【豊橋公演】2022年5月13日(金)~5月15日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
【兵庫公演】2022年5月19日(木)~5月22日(日) 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
【福岡公演】2022年5月28日(土)~5月29日(日) 北九州芸術劇場大ホール

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スタッフ・キャスト

【作】アーサー・ミラー
【翻訳】広田敦郎
【演出】ショーン・ホームズ
【美術・衣裳】グレイス・スマート
【音楽】かみむら周平

【出演】
段田安則 鈴木保奈美 福士誠治 林遣都/前原滉 山岸門人 町田マリー 皆本麻帆 安宅陽子/鶴見辰吾 高橋克実

【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/salesman/

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