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「自分の中にないものは、書けない」三谷幸喜さんの頭の中〈ほぼ日の學校〉

ほぼ日

『THE 有頂天ホテル』や『ステキな金縛り』などの映画作品で、日本中を笑いと感動の渦にしてきた劇作家の三谷幸喜さん。喜劇だけでなく、現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を手がけるなど、ジャンルを超えて活躍されています。

日本を代表する劇作家は、いったい、どういうものごとを「おもしろい」と思ってきたのだろう——。そんな疑問を持ったことがある人も、少なくないのではないでしょうか。

7歳の頃に観たアメリカのテレビドラマ『十二人の怒れる男』がきっかけで物語の面白さを知り、大学在学中に劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成。劇団と並行して放送作家としても活動を開始してから、今日まで数々の名作を手がけてきた三谷さんの頭の中を、糸井重里がのぞいてみました。(動画サービス「ほぼ日の學校」での三谷幸喜さんの授業「おもしろいってなんだろうを、しつこく。」より)

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世間に「おもしろい」と言われる作品を手がけてきた三谷さんは、「世の中にまだ発見されていない“おもしろい物語”って、もうないような気がするんですよね」と語ります。

だからこそ、すでにある「おもしろい」作品を、どうアレンジしていくか、どう組み合わせていくかに、自分だけの「おもしろさ」を見出そうとしているのだそうです。

では、三谷さんはいったいどうやって、自分だけの「おもしろさ」をつくり出しているのでしょうか。例えば三谷さんがおもしろいと思うセリフには、ある特徴があるそうです。

◆ 三谷さん「自分が思ってることを素直にしゃべるセリフはおもしろくなくて。思ってることを絶対言わずに違う話をするんだけども、視聴者もしくはその相手が、こいつは本当は何を思ってるかが分かる、みたいなシーンが好きなんです。

今こうやってしゃべっていながら、心の中では「お腹すいたなぁ」と思っていたとして。お腹すいたとは口にせずに違う話をしてるんだけど、見てる人は「この人きっとお腹すいたと思ってるんだよな」と分かるようなセリフを思いついたときに、おもしろいと思うんですよね。なんか会話してるんだけど、本音を語り合っていないっていうのが好きなんです。」

自分が「おもしろい」と思うことを探し、貯めていくことが、三谷さんの「おもしろい」のつくり方の原点なのだそう。日常の何気ないワンシーンも、創作のタネにしているそうです。

◆ 三谷さん「僕はやっぱり、自分の中にないものって書けないですから。ヘタなんですよね、意地悪なことを言うとか、相手を傷つけるような言い方をするとか。頭で考えれば、それに近いことは思いつきますけども、すごく時間かかるし。僕の中には、あんまりそういう考えはないんですよ。たまに、ものすごい嫌なことを言う奴に会ったらすごいラッキーで、『この人が言っていること、全部書き留めたい!』みたいに思うぐらいです。本当は『新選組!』(2003年~2004年放送のNHK大河ドラマ)で、芹沢鴨という男を大河ドラマ史上一番悪い奴にしようと思ったんですけど、どうしてもなんかちょっと...お茶目になったりとかして。悪いこと言えないんですよ、思いつけなかったですね。」

◆糸井「すっごい悪いことしても、次に彼をおもしろくしてあげるとかで助けちゃいますよね。」

三谷さんはお酒を飲まないため、お酒を飲んだときのセリフが自分の中からは思いつかず、芹沢鴨のセリフはお酒をよく飲む知人を取材して書き上げたそうです。

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「ほぼ日の學校」で配信中の三谷幸喜さんと糸井重里の対談授業「おもしろいってなんだろうを、しつこく。」では、三谷さんが創作に目覚めた原点から今日に至るまでの歴史や、時代とともに変わっていく創作の難しさについてもお話を聞いています。

三谷さんのお話を聞いていると、物語を観るのが好きな人も、これから物語をつくりたいと考えている人も楽しめる、作家の本音が見えてきました。

全編は、「ほぼ日の學校」の動画でご覧いただけます。

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