フットバッグ石田太志さん 20年越しの「世界一」 六角橋「ヤミ市」で毎月演技
お手玉のような約5cmのボール(バッグ)を両足で落とさずに蹴り、多彩な技を繰り出すストリートスポーツ「フットバッグ」。今夏にカナダで開かれた世界大会で、市内在住の石田太志さん(40)が世界一に輝いた。石田さんはプロプレーヤーになって間もないころから六角橋商店街の「ドッキリヤミ市場」で定期的にパフォーマンスをしており、次回9月21日(土)の出演は「凱旋公演」となる。
曲を変え、多彩な演技に
フットバッグは1970年代にアメリカで始まったとされ、現在は欧米に加えて南米やアジアで広がりを見せている。
石田さんが今回優勝したのは7月末から8月上旬に行われた「ワールドフットバッグチャンピオンシップス」のシングルルーティン部門。今年で43回目という歴史ある大会で、石田さんは2004年に中級者クラスに初出場すると、14年と18年に30秒間で高難度の技を積み上げる「シュレッド30」部門を制覇。18年は総合優勝も果たした。
シングルルーティンは音楽に合わせて1分30秒間で技を繰り出し、芸術性や技術を競う。世界大会のメインという部門で、石田さんの過去最高成績は2位。今回、初出場した04年から目指していたという目標を20年越しで達成した。
今大会のシングルルーティンは約50人が出場。石田さんは初制覇に向けて練習量を増やして高難度の技を演技に取り入れながら、選曲にも工夫を凝らした。予選・準決勝・決勝の各ラウンドで曲を変更して演技に変化を付けるとともに、決勝ではフィナーレに相応しい感動できる曲を選んだという。「観客の中には泣いている人もいました」と石田さん。減点となる球のドロップも1回に抑えて1位に輝いた。
殿堂入りも
小学生から高校生までサッカーに取り組んでいた石田さんは大学在学中の03年にフットバッグを始め、卒業後もアパレル関係の仕事に就きながら続けた。フットバッグで生活する夢を追いかけるため11年に退職。現在は世界でも稀なプロプレイヤーとして大会に加え、イベント出演や小学校での指導にも取り組む。
大会での活躍が評価され、18年には選手として世界の殿堂入り。今年6月には競技普及などの貢献で、フットバッグ業界全体での殿堂入りも果たした。21年には2つのバッグを1つの足でジャグリングした合計回数のギネス世界記録に挑戦し成功している。今後は日本やアジアでの更なる競技普及に力を入れていく予定だ。
21日に凱旋ステージ
六角橋商店街で毎月開催されるナイトイベント「ドッキリヤミ市場」には、プロとなって間もない頃から10年近くに渡り定期的に出演している。
大会とは異なる商店街でのパフォーマンス。トークの時から印象的な言葉を盛り込んだり、初めて見る人が驚くような技を入れたりと、観客に足を止めてもらえるよう意識しているという。
過去にはパフォーマンス後に観客から拝まれる経験もあったといい「『感動しました!』という言葉を直接いただいたり、観客同士で『後でフットバッグのパフォーマンスを観に行こう!』と話している様子を目にしたりすることができ、非常に心に残っています」と六角橋での思い出を振り返る。
21日は午後7時30分〜、8時25分〜の2回、ふれいあい通りの路地裏食堂Rokuでパフォーマンスを行う。
現世界チャンピオンとしての凱旋公演を前に、石田さんは「大会前のヤミ市場にて皆さんに応援やサポートをして頂き、6年ぶりに世界大会で優勝する事ができました。一生懸命パフォーマンスをしますので、ぜひ足を運んでフットバッグの魅力を知って頂ければ嬉しいです!」と語った。