いまが買いドキ!? ちょい旧ハーレー調査隊が、今月は「FXSBブレイクアウト」を調査!
どんなモデルを“ハーレーらしい”と感じるかは、人それぞれに違うだろうが、私の場合は“ロー&ロングなシルエット”にハーレーならではのカッコよさを感じる。しかしハーレーのラインアップには、ロー&ロングを強調したモデルは意外と少なく、
それを満たしているのは「FXSBブレイクアウト」以外にない気がする。人気モデルゆえに中古車の値段も高そうだが、「クラブハーレー調査隊」の諸君、ブレイクアウトがいま実際どうなのか調査してほしい。よろしく頼むぞ。
隊員A宮|ハーレーの歴史やカスタム系のネタが得意分野だという真性のバイクオタ。愛車は69カマロとXR1000
隊員N尾|ハーレーそのものより、実は周辺の文化やファッション系のネタに通じる隠れミーハー。愛車はXL883改1200
FXSBブレイクアウトの平均価格は? セールスポイントはいかに?
N尾:今月は「ブレイクアウト」を調査することに決まりました!!
A宮:フロントに21インチホイールを備えた「FX系ソフテイル」の中でも、近年最も人気の高いモデルだね。エンジンが「ミルウォーキーエイト(M8)」搭載の現行モデルと、旧い「ツインカム(TC)」エンジン搭載モデルの2種類があるけど、どちらだろう⁉
N尾:ボスはTC狙いですね。旧型と現行型でデザインが変わるので、“ブレイクアウトといえばTC派”も少なくないらしいッス。
A宮:何となくわかる気がするな。では、さっそく調査を始めよう。
―1週間経過
N尾:おなじみの「バイク王」さんによると、平均価格は【249万222円】とのことでした。
A宮:おぉ!! ついに新車超え! TC最終型の2017年モデルは新車価格が239万9000円(ビビッドブラック)だったんだ。
N尾:プレミア価格になるほどTCは人気があるってことッスね~。さらに調査したところ、リアルな市場平均価格もほぼ同じでした。最も安い個体でも170万円台、高い個体はフルカスタムを含めると際限がないので、ノーマルの面影がある個体に限定したところ350万円台って感じです。
A宮:なるほど。TC96と103で販売価格に差はあるのだろうか!?
N尾:TC96を搭載していた2015年までのモデルの平均は約220万円、16年モデルは約247万円、最終型の17年モデルが飛び抜けていて約282万円でした。17年モデルって何か違うんスか⁉
A宮:最終型だけに「CVO」と同じデザインのホイールが装備されているんだ。これがカッコいいからと、わざわざ交換する人も少なくなかった。そんなホイールが初めから付いているというワケ。
N尾:それは魅力的! それに加えて“最終モデル”という特別感で少し価格が高いんですかねぇ!?
A宮:どちらかといえば、以前所有していたオーナーが思い入れのある方だったのではないかな。大切にされていたことはもちろん、統一感あるカスタムだとか、それが価格に反映されている気がする。しかしブレイクアウトの中古車はほとんどがカスタム車といっても過言ではないね。ノーマル車を見つけることが難しいぐらいだった。
N尾:カスタムが自分好みか、そうじゃないかって車両を選ぶとき一番重要かも。まさに一期一会‼
A宮:そう。カスタム内容を含めて車両を探すのが賢明だね。
調査協力SHOP
Beat&C世田谷店
東京都世田谷区等々力2-6-2
価格:260万円
年式:2017年モデル
走行:1万4048km
FXSBの平均価格:249万222円※「バイク王」が2024年4月~2025年3月末までに販売した車両本体価格の平均値
【セールスポイント①】「ツインカム103」を搭載
排気量1689㏄のツインカム103エンジンを搭載。これは2016年以降のモデルから採用された排気量を拡大した後期型で、従来のモデルよりトルクフルな走りを実現している。パワフルな走りを求めるなら後期型に注目だ。
【セールスポイント②】「タービンホイール」をノーマルで採用
最初に「CVO」としてデビューし、その後に通常ラインアップ版が発売されたブレイクアウトだが、CVOと異なっていたのがホイール。2017年モデルにのみCVOと同じタービンホイールが標準装備されている。
【セールスポイント③】迫力の極太リアタイヤを装備
ブレイクアウトの人気が高い理由のひとつが、ド迫力のリアビューを実現する240サイズの超極太リアタイヤ。あまりに太いため操縦性はややクセ強めだが、このルックスには欠かせない。
【調査報告①】FX系ソフテイルのカスタムモデルが求められていた。
そもそも1984年にファクトリーカスタムとして登場した「ソフテイル」シリーズ。当時は革新的だった「ソフテイルフレーム」も当たり前のものになってしまった2000年、さらなるインパクトを追求し、フロントに21インチホイールを備えたチョッパー的位置づけの“FX系モデル”をアレンジし、カスタム感を強調した「FXSTDソフテイル デュース」を市場に投入した。
その後、このモデルと入れ替わるカタチで2008年に「FXCWロッカー/FXCWCロッカーC」が登場。240㎜という超極太サイズのリアタイヤをはじめ、リアフェンダーをスイングアームに装備したほか、小ぶりなパッセンジャーシートを収納できるソロシートを採用するなど、カスタムイメージを強調した、メーカー製のカスタムモデルとして話題を呼んだものの、2011年を最後にラインアップから消滅。以降、FX系ソフテイルは「FXSブラックライン」のみという状況が続いたため、かつてのデュースやロッカーのようなカスタムモデルの復活を望むファンは少なくなかったのだ。
【2000〜2007】 FXSTDソフテイル デュース
カスタム感あふれるメーターダッシュを備えたストレッチタンクをはじめ、後輪は160㎜のワイドタイヤをオリジナルデザインのデッシュホイールに装備。さらにリアまわりをスッキリと見せるショートタイプのリアフェンダーなど、ドラッグレーサーのようなロー&ロングスタイルを強調。2007年までラインアップされた。
【2008〜2011】FXCWCロッカーC
240㎜の極太リアタイヤをはじめ、工具を使わずにパッセンジャーシートを出し入れできるソロシート、スイングアームマウントのリアフェンダーなどで個性的に仕上げた。デビュー当初は、クロムパーツを抑えた「FXCWロッカー」とクロムを多用した「FXCWCロッカーC」の2機種が販売されたが、2010年からはロッカーCのみに一本化されている。
FX系ソフテイル不遇の時代!?【2011〜2013】FXSブラックライン
ボバーの流行を受け、旧車のように細い後輪を採用して2011年に登場。ロッカーCが絶版になって以降、FX系ソフテイルのラインアップはこのモデルだけになった。2012〜13年は、ロー&ロングなシルエットのソフテイルは存在していなかったのだ。
【調査報告②】スペシャルカスタムとして登場した「ブレイクアウト」が世界的な人気に!
ハーレー社が自らプロデュースする限定生産のスペシャルカスタムモデルが「CVO」だが、2013年モデルとして登場したのが「FXSBSEブレイクアウト」だ。そもそもCVOは、市販モデルをベースに選ぶことが多いが、これはベースモデルが存在しないCVO独自のモデルであった。
当時のFX系ソフテイルのラインアップにないロー&ロングなシルエットに加えて、全体を黒くまとめたダークカスタムモデルが多い中、クロムパーツをふんだんにあしらったゴージャスさ、そして240㎜の極太リアタイヤでありながら、以前のロッカーCとはまったく異なるリアまわりの処理などが受け、世界的にも大ヒットモデルとなった。
【2013】 FXSBSEブレイクアウト
【調査報告③】CVO人気を受けて通常版モデルがデビュー!!
CVOブレイクアウトの世界的な人気を受け、2013年の後期導入モデルとして急遽発売されたのが「FXSBブレイクアウト」だ。CVOに搭載されていたツインカム110エンジンは、ほかのソフテイルと同様にツインカム96となり、各部のクロムパーツを割愛したほか、ホイールのデザインも変更されている。しかし当然ながら240㎜のワイドタイヤは装備。ハンドルはよりスパルタンなポジションになるドラッグバーに変更され、新たなFX系カスタムモデルとしてソフテイルのラインアップに加えられた。ちなみに2014年モデルでFXSブラックラインは絶版になり、FX系ソフテイルはブレイクアウトのみとなった。
【調査報告④】ツインカム搭載モデルの変更点は多くない
2013年後期に登場したFXSBブレイクアウト。ツインカム搭載モデルに限定すると、2015年にフロントブレーキが見直され、その翌年に排気量が1689㏄の103エンジンへと進化したものの、販売期間の長いモデルと比べると変更点は多くないので、車種選びで悩むことはないだろう。トルクフルな走りを考慮するなら103エンジンの2016年以降、見た目を考慮するならCVOと同じデザインのホイールを採用したツインカム最終型の2017年モデルがオススメといえるが、販売期間がわずか1年と短いことが難点。とはいえ、現在の中古市場のタマ数は潤沢で、いまがチャンスともいえる。
【2015】ブレーキを一新して制動性能が向上
マスターシリンダーとブレーキキャリパーを変更。ブレーキを最大にかけた状態でレバーを握るチカラを約40%軽減した。これによって繊細なコントロールがしやすくなっている。
【2016】103エンジンで排気量がUP
排気量1689㏄のツインカム103エンジンを搭載。これに伴い、すべて電気で制御する電子スロットルが採用され、昔ながらのワイヤーケーブルがハンドルまわりからなくなった。
【2017】ホイールデザインを変更
~2016
2017~
10本スポークからCVOブレイクアウトと同じ21本スポークの「タービンホイール」に変更。CVOと同じクロム仕様ではなくコントラスト仕様で足まわりを引き締めている。
【調査報告⑤】現行型ソフテイルで大きく進化!!
2018年モデルで大きく変わったソフテイル シリーズだが、人気車種のブレイクアウトもほかのモデルと同様に大胆にイメージが変更された。溶接箇所やパーツ数を減らすことで従来よりも大幅な軽量化を達成し、剛性も向上した新型フレームに、ミルウォーキーエイトエンジンを搭載したことはもちろん、走りの性能が飛躍的に向上。性能や操縦性ばかりではなく、専用のLEDライトをはじめ、スリムなタンクやスポーティなデザインのホイールなどでルックスも現代的に進化を果たした。240㎜の極太リアタイヤを備えた個性派モデルに変わりはないものの、ツインカムと比較してハンドリング性能が大幅に向上し、ワイドタイヤのクセが抑えられた点も要注目ポイントだろう。
新型フレームと足まわりで別次元の走りを実現!!
新設計されたフレームとスイングアームによって、大幅な軽量化と剛性アップを実現したほか、バンク角も増大した。車体下側に2本あったリアショックも、シート下に配置して1本化。フロントフォークも見直し、高性能サスに匹敵する減衰性能を実現している。
フレームと足まわり、さらにエンジンで すべてが変わった!
【 2016 ~ 2017】FXSE CVOプロストリートブレイクアウト
2種類の排気量を設定
登場当初は、排気量1745㏄の107と1868㏄の114が用意され、114にはハイフロータイプのエアクリーナーが装備されていたが、2020年モデルから114のみに。さらに2023年からは排気量1923㏄の117エンジンが搭載されている。
ミルウォーキーエイト107
ミルウォーキーエイト114
【調査報告⑥】さらに特化したCVOモデルも存在する
ブレイクアウトがもつドラッグレーサーの雰囲気をさらに強調したモデルも存在する。それが2016年後期にCVOファミリーに導入された「FXSE CVOプロストリートブレイクアウト」だ。ツインカム110エンジンを搭載したほか、倒立タイプのフロントフォークやダブルディスクブレーキ、さらにビキニカウルやアンダースポイラーを装備してスポーティに仕上げている。このモデルは好評で、2017年モデルにもラインアップされた。
調査結果
吸排気系やハンドルなどをカスタムした個体が市場のほとんどを占め、人気パーツの有無や全体の雰囲気など、カスタム内容が値付けと密接に関わっているので170~350万円台と価格帯が幅広い。プレミア価格になりつつあるが、TC96を搭載していた2015年までのモデルは約220万円、16年が約247万円、17年は約282万円と年式によって値段が変動する。
プレミア度:★★★★☆
お買い得度:★☆☆☆☆
審美眼必要度:★★★☆☆
![Dig-it[ディグ・イット]](https://s.yimg.jp/images/netallica/cobranding/dig-it.png) 
                 
      