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「究極の田んぼ」耕さず農薬を使わない命あふれる米作りとは【佐倉市】

ちいき新聞

「究極の田んぼ」耕さず農薬を使わない命あふれる米作りとは【佐倉市】

「耕さず農薬を使わない命あふれる米作り」で吉川英治文化賞を受賞した千葉県出身の故・岩澤信夫さん。

この環境保全型農業を引き継ぎ、佐倉市で「自然耕塾」を主宰している鳥井報恩(ほうおん)さんにその魅力を聞きました。

佐倉市和田実験田にて(中央・鳥井さんと自然耕塾のメンバー)

環境保全型農業の「不耕起栽培」とは

機械導入で省力化されたものの、高齢化や労力不足で荒廃農地が増えた日本。

その再生利用は年々困難となり、千葉県でも再生可能農地が5割を切りました。

ですが、機械が入れず放置されたそんな田を再生し、週末だけの農作業で米作りを楽しむ市民が増えています。

それを可能にしたのが、「国民皆農」を目指した岩澤さんの「不耕起(耕さない)栽培」です。

自然の力で出費や労力を省き、環境にも優しい「究極の田んぼ」!

耕さないことで、残されたわらが田の水に溶けてイトミミズなどの土壌生物が育ち、やがてその排泄物が厚いトロトロ層を成します。

それが稲の肥料となり、雑草の発芽を抑え、「肥料や農薬不要。除草いらずの命あふれる田んぼ」が実現しました。

土壌生物の排泄物が作るトロトロ層

苗は、葉が5枚半までしっかり育った「成苗」を、まだ寒い時期に植えます。

耕されず硬いままの土や低温にあらがい野性力を引き出された稲は、たくましく育ちました。

機械に都合の良い「稚苗植え」する「慣行農法」の稲が1993年の大冷害で被害を受ける中、「不耕起栽培」の稲は強さを実証し全国に知れ渡りました。

翌年には、宮城県旧田尻町でのマガン(カモ科の渡り鳥)を呼び込む観光事業に参加。

「冬も田に水を残す=冬期湛水」を導入した結果、生態系豊かな田がマガンの餌場になり、「蕪栗沼と周辺の田」として、ラムサール条約締結地となりました。

また、機械で耕され地中に埋められたわらが湛水時にメタンガスを発生するのに対し、「不耕起栽培」ではその発生を抑えて温暖化対策になることも分かりました。

不耕起で田植えする葉が5枚半の成苗
不耕起の田で見つけたニホンアカガエルの卵

耕作放棄地を市民と楽しむ田んぼへ再生

「農業は自然が相手。地域で土や気候も違い課題は尽きないが、基本は変わらない」と語る鳥井さん。

耕作放棄された田を市民と共に再生させながら、自分が初めて不耕起の田でいっぱいのメダカを見た時の感動を人々に伝え続けます。

実家の農地を再生した人、農地を借り週末に米作り教室を開く人、さまざまな人の手で、命あふれる田が全国に広がっています。(取材・執筆/F)

※参考文献:『究極の田んぼ』(岩澤信夫:著)

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