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「愛媛に、松山に音楽フェスを」ELLEGARDEN、10-FEETら豪華集結、ロックイベント『Diamond Dance 2023』の軌跡を辿る

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『Diamond Dance 2023』ELLEGARDEN

『Diamond Dance 2023』2023.12.9(SAT)-10(SUN)愛媛・松山市総合コミュニティセンター

2023年12月9日(土)、10日、愛媛県・松山市にある松山市総合コミュニティセンターにて、『Diamond Dance 2023』が開催された。松山市内にあるライブハウス・W studio REDが主催する本イベントは今年で2回目。ライブハウスの5周年を記念し、そして「愛媛に、松山に音楽フェスを」と2019年に企画されたものだったが、コロナ禍の紆余曲折を経て、3年越し、初年度となる昨年は今治市にある公会堂で約1000人のキャパで開催が実現。今年は念願だった同ライブハウスのお膝元である松山市内にある会場にて、2日間に渡って開催されることに。出演は初日にBRAHMAN、ELLEGARDEN、SiM、HEY-SMITH。2日目はcoldrain、04 Limited Sazabys、10-FEET、ヤバイTシャツ屋さんと、ロックフェスでトリを務める強者揃いのアーティストが顔をそろえた。昨年の盛り上がりを聞きつけたロックファンが四国を中心に、全国から2日間あわせて約3500人が集結。両日ともに最高気温が20度を超え、12月とは思えないほどご機嫌な気候のなか、ロックンロールで賑わう松山の街を大いに楽しんでいた。

PRAY FOR ME

PRAY FOR ME 撮影=Shingo tamai

初日のステージには、地元・松山を中心に活躍する3人組メロディックパンクバンド・PRAY FOR MEがオープニングアクトに登場。「Alright」からエッジー&メロウなメロで、ガツンとスタートダッシュをかけて会場を盛り上げていく。昨年のイベントでは運営の手伝いをしていたという彼ら。来年こそは地元を代表して出演できるようにと心に決めていたらしい。地元の大事なイベント、そしてイベント主催者である”アニキ”こと八木隆憲氏(W studio RED)のため、そして松山の人間として誇りが持てるようにと次曲「Settle down」からBPMを加速させつつ、フロアを沸かしていく。オープニングアクトながら地元の音楽ファンがたくさんフロアに駆け付け、拳を突き上げる姿があちこちに見える。「やっぱ今日もカッケーな」、そんな声もフロアから聞こえてくる。今回2日間あるイベントでオープニングアクトは初日の彼らのみ。八木氏いわく「地元のバンドが巣立っていくのを見ていきたい。ただ、2日目には該当するバンドがいなかった」というが、それだけ彼らが松山でズバ抜けた存在なのだろう。ラスト「Homies」まで、軽快なメロディックパンクをかき鳴らし、開演への大きな祝砲をブチかましてくれた。

HEY-SMITH

HEY-SMITH 撮影=HayachiN

待ちに待った本編はHEY-SMITHから。「おっはよーー! 暴れる準備できてるかー!『Diamond Dance』がついに始まるぞー!」、猪狩秀平(Gt.Vo)が声高々に挨拶を交わすと「Endless Sorrow」から早々にキラーチューンをぶつけていく。ホーン隊のフレーズが高揚を煽り、一気にフルスロットルで加速していく。フロアがカオス化するのはあっという間で、あまりの急展開&熱気についていけずに焦る観客の姿も見える。バンドが放つ音に比例するように歓声が大きく響くと、猪狩はニヤリと笑みを浮かべ「踊れー!」と次曲「2nd Youth」へと流れる。イントロからわっと観客が歓喜の声を上げ、スカダンスでフロアを大いに揺らしていく。YUJI(Ba.Vo)のハイなボーカル、そこに絡んでいくホーン隊の煽りやTask-n(Dr)のタイトなビート、バンドの攻撃的なサウンドをいかに受け止めるか。まだまだ1組目だというのに、バンドと観客の体力勝負がものすごいスピードで展開されていく。

HEY-SMITH 撮影=HayachiN

「こんな時間から大暴れできる場所を作ってくれたことに感謝して。全力で音楽鳴らして帰ります!」、「もっともっと自由に。自分らしく遊んでいけ!」、「踊り狂って!」、「やりたいこと、やりまくってくれよ」。楽曲を次々に展開していく中、猪狩はとにかく観客の心も体も開放する言葉を投げかける。そこに応えるように「Fellowship Anthem」「Say My Name」と観客はご機嫌な音に身を任せて、とにかく踊る踊る。いま何月でしたっけ?と思わず季節感がバグるほどに会場の熱気はぐんぐんと高まり、立っているだけでじわりと汗をかいてしまうほどだ。

スリリングなパンクサウンドが怒涛の勢いで駆け抜けていくなか、MCでは猪狩がイベント出演にかける思いをじっくりと語る。「デカイ企業でもなく、ライブハウスの人間がフェスをやる。そんな最高なことってない。地元民が地元のためにイベントをする、そんなイベントに出演できることがうれしい。HEY-SMITHとSiMで後ろのおっさん焦らせてやろうと思うんで」と、「Summer Breeze」で胸をキュンとさせるメロ、切ないリリックで観客を夢中にさせる。その後も一切の妥協なく、フルスイングのステージで全16曲を駆け抜けていった彼ら。この日は各ステージ50分と、音楽フェスの中ではかなり長い持ち時間となっていて、”フェス”というよりも”対バン”イベントのような濃密さがある。ショートチューンを連投する彼らのライブ、1ステージで16曲も聴けるのはかなり贅沢!

SiM

SiM 撮影=Shingo tamai

続くSiMも攻撃的なライブパフォーマンスでフロアを圧倒! SHOW-HATE(Gt)がかき鳴らす耳をつんざくギターがフロアに響くなか、MAH(Vo)がゆっくりとステージに姿を現し、この日の観客を品定めするようにジロリとフロアへ目線を送る。静かでいて高圧的な存在感がフロアに緊張感を持たせたところへ、1曲目「PLAYDEAD」へ。ここから始まる極悪で轟音鳴り響くライブへと誘うというか、じわじわと外堀を埋めていくような、重厚だけれどちょっぴり淫靡で艶のあるサウンドが身体に心地よく響く。

「今日は何ダンスでしたっけ?」、MAHの誘い文句から放たれたのは「DiAMOND」。イベントタイトルに共感しまくりの楽曲に、フロアが大きく跳ねる。GODRI(Dr)、SIN(Ba)の高波を押し寄せるような強固なビートに誰もが大喜びで、特大のコール&レスポンスで応える。最高のステージを目指すため、「TxHxC」「KiSS OF DEATH」と、MAHは自身のフラストレーションを屈強な歌声、パフォーマンスで返していく。ヤルかヤラれるか、ものすごくシンプルな構造のステージが目の前で展開されていく。

この日のイベントのラインナップは見ての通り、猛者たちの集まり。MAHもこの日の出演者を知って驚きつつ、昔は細美武士が嫌いだったことを告白。もちろん暴露するからには今ではちゃんと和解はしているけれど、これまでELLEGARDENと同じステージに立つことはなかったらしい。でもこの日、和解のキッカケとなったTOSHI-LOW、和解の場に同席していた猪狩秀平、そして話の経緯を知るアニキがいる松山でこの4バンドがそろうなんてと驚嘆しつつ、「みなさん運が良ろしい。今日はとことんヤろうぜ! みなさん…死ねーーー!」、相変わらずの飴と鞭で「KiLLiNG ME」へ突入! 音で刺す、殴るの豪快なサウンドだけれど、観客は狂喜乱舞でそれを受け止める。

2023年、念願だった海外ツアーを経験した彼ら。楽しさも悔しさも味わったことでもっと日本のロックを世界に広めたい、2024年は覚悟と決意をもって世界へ挑戦したいと語る。そして目の前に機会があるならば、必ずライブを観に来て、応援してほしいと熱い思いを語る。「The Rumbling」はその想いを昇華させるように激しくも美しく音が響き渡り、最終曲までらしさ全開のパフォーマンスで観客を魅了していった。

会場の「松山市総合コミュニティセンター」、通称”コミセン”はいわゆる市民ホールでこれまでにワンマンライブの会場に使われたことはあっても、ロックイベントでの使用は初めて。会場周辺には地元の人気ラーメン店やバーガー店も出店し、ステージの合間も大きな盛り上がりを見せていた。観客に話を聞くと、初めてフェスに参加した高校生、念願だった家族でのフェス参加を叶えたファミリーの姿も。なかには『AIR JAM』初年度から参加している根っからのライブ好きの姿も。みなが口をそろえて「愛媛で、松山でロックフェスが開催されることがうれしい」「地元が誇れるイベントになるはず」「普段は子どもと図書館に来ていた場所でライブを観られるなんて!」と嬉々とした表情で語ってくれた。

BRAHMAN

BRAHMAN 撮影=Tsukasa Miyoshi(Showcase)

昨年に続き、2年連続での出演となるBRAHMAN。1曲目に選んだ「Slow Dance」、KOHKI(Gt)が静寂のなかでエスニックなフレーズを奏でるなか、TOSHI-LOW(Vo)が拳を振りかざし、一瞬にしてドープな音世界へと没入させる。バンドの音に全身を浸らせ、腰を低く落とし踊るTOSHI-LOW、そこにMAKOTO(Ba)がさらにタフなリズムで追い込んでいく。タイトに攻め込むRONZI(Dr)のビート、ギターのうねりに魅せられ、血を滾らせ、ただ原始的にバンドの音をむさぼる観客たち。そこから「THE ONLY WAY」への流れも凄まじかった。猛進していくバンドの音に必死に喰らいつこうと、人の波が、拳の波がどんどん前へと進んでいく。存分に高まっていく音、感情のなか、告げた言葉は「『Diamond Dance』、BRAHMANはじめます!」

「賽の河原」「露命」「SEE OFF」「DEEP」と、しなやかで生命力漲るサウンドが届けられる。新旧組み合わせた最高の流れに体の震えが止まらない。誰もが酩酊するように音に没入しているのもわかる。20年以上も聴き続けてきた楽曲に、今日もまた心が震える。4人の表情は鬼気迫るけれど、ふとした瞬間に嬉々とした表情を見せ、いまこの瞬間をバンドも満喫しているのが伝わってくる。ライブは休むことなく突き進み、息遣いを間近に感じるようなパフォーマンスが続いていく。滾る熱を落ち着かせるような青の照明の下で歌われる「今夜」では細美武士も参加し、2人で丁寧に慈しみように言葉を紡ぐ。

BRAHMAN 撮影=Tsukasa Miyoshi(Showcase)

「真善美」の終わり、イベント参加に向け、旧知の仲である”アニキ”に感謝の気持ちを伝えつつ、「”当たり前”を噛みしまねー奴はバカだ。ライブがいつまでもあると思っているやつはバカだ。当たり前も永遠もない。だけど、今この瞬間を生きている」、TOSHI-LOWが言葉を重ねていく。そしてそのMCのなかで、イベント開催数日前に届いたチバユウスケの訃報に触れる。実は、『Diamond Dance 2023』2日目にThe Birthdayが出演予定だったという。「もう一杯だけ飲みたかった……」、チバとの思い出を語り、「オレたちは何も知らない、明日のことも一年後のことも。自分がどう終わっていくか、どう死んでいくのか誰もわからない。オレたちがいまわかっているのはこの瞬間、オレたちは生きている。出来ることはこの瞬間を楽しむだけ。幕が開くとは終わりがくることだ。一度きりの意味をお前らが問う番だ!」。ラスト「FOR ONE’S LIFE」、最善で最高、いまこの瞬間を詰め込んだ楽曲に大きな拍手が届けられた。

ELLEGARDEN

ELLEGARDEN 撮影=Tsukasa Miyoshi(Showcase)

初日のトリはELLEGARDEN。煌々と照らされる深紅の照明の下、「Fire Cracker」から生形真一(Gt)の刻むギターに誘われ、オーディエンスがこれ以上ないくらいに前方へと詰めかける。この場所に確かな軌跡を残す、その意志をひしと感じるような打撃力高い高橋宏貴(Dr)のビートが心地よい。細美武士(Vo.Gt)のハイでクリアだけどしっかりと真ん中に爪痕残す歌声がフロアによく響く。ギターリフだけで会場の熱気がブワっと高まったのは次曲「Space Sonic」。緩急と余韻を同時に楽しめるギターサウンドに誰もが歓喜の表情を見せながら音を楽しんでいる。ライブで汗だくになっているのに、多幸感と安心感がずっと寄り添ってくれている。全てを肯定して、隙間なくすべてを照らしてくれる陽のパワーが会場に充満していくのがわかる。

「いっちょ派手にいこうぜ、今日は!」の掛け声から繰り出したのは「Red Hot」。高田雄一(Ba)のポジティブなリズムにフロアが一斉にわちゃわちゃのぐっちゃぐっちゃに。身体が自然と動いてしまうポジティブ&ハピネスなオーラに、不満を持つ人は誰ひとりいない。興奮冷めやらぬなか、ビートがより鋭利に突き刺さる「Missing」「Salamander」とノンストップで連投されていく。MCでは「松山にこんな場所あったんだ!」と驚きつつ、「昔から本音で付き合えてきた八木の人徳あってこそ」とイベントに参加できたことに喜びを伝える。「死ぬまでキレイごといわないでやっていきたい」と、「ジターバグ」へと繋いでいく。日本語で真っ直ぐに想いを紡いだ楽曲にはその言葉通り、嘘がひとつもない。聴く側もまっすぐに向き合わないと……、心のくすみが少し晴れた気がした。

ELLEGARDEN 撮影=Tsukasa Miyoshi(Showcase)

「心の底から尊敬できる先輩、そんなにたくさんいなかった」。生形が奏でるギターのメロを聴きつけ、一瞬で会場がすっと熱を落ち着かせる。聴こえてきたメロはThe Birthday「涙がこぼれそう」。「この曲をオレたちのレパートリーに加えることは絶対にしない。今日で(演奏は)最後。四十九日までその辺にいるっていうから、オレの下手くそな歌を聴いてチバさん笑ってくれるといいな。さよならチバさん、ありがとうございました」。ELLEGARDENからチバユウスケへの最後のラブコールに涙が止まらなかった。ラストは「Make A Wish」、心を前へ、晴れやかにしてくれる楽曲で本編は終了。

アンコールでは「あんなバカ正直な人は知らない。ずっと嘘をつかない。あんな風に残りの人生を生きたい」と、再びチバユウスケへの想いを語りつつ、本編最終曲で目の前で破顔の笑みを浮かべるオーディエンスの姿に心揺さぶられたという細美。「もう全部どうでもいいやと思いかけたんだけど、お前らの顔見てたら、おじさんもっと頑張らねえとな、と思ったよ」と「金星」へと繋いでいく。目の前の光景は至福でしかなくて、この景色が明日への一歩へと繋がっていく。そんな確かな想いに心が満たされたまま、初日の幕が閉じた。

イベント初日を終え、主催者である”アニキ”こと、八木隆憲氏(W studio RED)にイベントに掛ける思いを聞くことができた。「みんな、松山みたいな田舎で~と文句は言いつつも、出演してくれるのがうれしい。BRAHMANは20年以上の付き合いがありますしね。The Birthdayは2日目に出演をお願いしていたんですが、開催の発表直前、彼が病気治療で休養することが決まって。『SLUM DUNK』繋がりで10-FEET、The Birthdayと出演してもらえたらと思っていたんです。僕が遺影を掲げたり、これからガン治療をする人に向けた募金をするのは今のタイミングではない。だから、細美さんにライブ前日に「涙がこぼれそう」をやってほしいとお願いして。チバくんにはいつも「オメーはオレを(イベントに)誘わねー!」って怒られてて(笑)。実現したかったんですけどね……」。

さらに、松山での開催については「松山にしては、めちゃくちゃ贅沢なイベントになりましたね(笑)。今年は松山総合コミュニティセンターで開催したけれど、出演したバンドは誰もが普段はなかなかこういうところでやらないバンドばかり。お客さんからはもっと大きな会場でやってほしいという声もあるけれど、ここしかないというのが現状。市の事情などもあって、来年はまた会場が変わる可能性もあるかもしれないけれど、『Diamond Dance』は続けていきたいと思っています。地元ありき、それが大前提での『Diamond Dance』。岩手にあるライブハウス・Club Changeの黒沼店長と仲が良くて。お互い田舎のイベントを続けて、いつか東京で一緒にイベントをしようという思いもあって。バンドも東京なら出演を断り辛いでしょ?(笑)。バンドマンが”アニキ”と慕ってくれるのは嬉しいですが、これからもそう呼んでもらえるように頑張りたいです」と、イベント継続に向けての意気込みを語ってくれた。この思いは翌日のステージからも存分に感じとることができた。

ヤバイTシャツ屋さん

ヤバイTシャツ屋さん 撮影=Shingo tamai

2日目のトップバッターはヤバイTシャツ屋さん。いつものように「ヤバイTシャツ屋さん、はじまるよ~! 『Diamond Dance』2日目、テンション上げていこうぜ!」と、景気づけの1曲目に選んだのは「あつまれ!パーティーピーポー」。しばたありぼぼ(Ba.Vo)の高音域をさらりとぶっ飛ばした歌声が観客のテンションをグイグイ引っ張っていく。スタートダッシュが軽快すぎて、まだ頭と体がついていかない観客に「どんどんいくよ~ついてこれるかな~?」、こやまたくや(Vo.Gt)が「ちらばれ!サマーピーポー」で脳みその奥の奥のほうまで刺激していく。タイトルまんまの「メロコアバンドのアルバム3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」、観察眼の鋭さはもちろん、ライブの面白い&楽しい全部乗せみたいな楽曲にのせられ、ジャンプにヘドバンにと大満喫する観客たち。

楽しいもの全部詰め込んだ福袋みたいに、次から次にキラーチューンを連投していし、ハイスピードで突き進んでいくステージ。この日も12月とは思えないほどの暑さで、早くも汗だくになる観客が続出! MCでは新婚ホヤホヤのありぼぼに祝福の言葉がかけられ、会場は幸せオーラ満点。初めて彼らのライブを観たという人も多いなか、トークでも存分にバンドの魅力を伝えていく3人。「大きい音のバンドが多いから、このへんで落ち着いていきましょか」と「dabscription」へ。ヤバT流のオシャ曲はまさかの楽器を持たずに、打ち込みだけ! もりもりもと(Dr)はドラムどころかロボットダンスまで繰り出したりと、とにかくやりたい放題だ。

愛媛県人への癒着を求めた「癒着☆NIGHT」、「NO MONEY DANCE」とお得意の共感ソングを次々に投下するなか、「アカン! 楽しすぎる!」と初の『Diamond Dance』を大満喫する3人。「レジェンドバンドが続々出るからめっちゃ楽しい! ヤバTの記憶、薄れていくでしょ? 薄れさせたくないから、残り2曲一生懸命やるんで、全力でかかってきてください!」と、「ヤバみ」「ハッピーウェディング前ソング」とキラーチューンを連発。1番手から酸素薄めなハイテンションなステージで駆け抜けていった。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys 撮影=Shingo tamai

coldrainの機材車の到着遅れというアクシデントが発生したことから、急遽04 Limited Sazabysが2番手に登場。サウンドチェックから「Cycle」「days」など、存分にフロアの熱量を高めていく4人。本編ではGEN(Vo.Ba)が「松山、イケる~?」なんて声をかけるけれど、言わずもがな準備万端なオーディエンスは「swim」から音の中をすいすいと泳いでいく。音の海を泳ぎ切った先にはもっと楽しいことが待っている。HIROKAZ(Gt)の端麗なメロに誘われ、誰もが全力で手を掲げ、音を受けとめその先を目指していく。ドライでタイトなKOUHEI(Dr.Cho)のビート、RYU-TA(Gt.Vo)の剛毅なギター、音に塗れる幸せをまじまじと感じて、みんなしわくちゃの笑顔を見せている。

04 Limited Sazabys 撮影=Shingo tamai

この日の出演陣は京都出身のヤバいTシャツ屋さん、10-FEETと名古屋出身の04 Limited Sazabys、coldrainという、京都vs名古屋な組み合わせに。「今日は今日だけの組み合わせを! 身体いっぱい堪能して。オレたちを味わい尽くして帰って」と、「message」から正面にフルコンボでぶつけるようなアグレッシブなサウンドを鳴らしていく。ショートチューンで英詞だけど、生のライブの楽しさがぎゅっと詰まった楽曲に胸が熱くなる。その後もライブは強度を高めて「fade」「fiction」と、HIROKAZ、RYU-TAの2人の個性が際立つサウンドをぶつけていく。MCでは愛媛のミカンの美味しさを絶賛しつつ、今年1年を振り返るGEN。「終わり良ければ総て良し。最後の日を嚙みしめたら、今年は良い年になるはず、そのお手伝いができたら。みんなを幸せにすれば、ボクも幸せになる。みんなで幸せになりましょう」と、「Honey」で頼もしくも多幸感いっぱいのバンドサウンドでフロアを明るく照らしていく。続く「hello」、GENのハイトーンボイスとグッドメロディに心鷲づかみされて、この幸せが永久に続きますように、そう願ってやまない人はたくさんいただろう。

「人口知能が発達して、音楽も歌詞を作るロボットができても、ライブに来て暑くて臭い、そんな体験はロボットには無理。この空間で同じ体験をさせてもらえることが光栄。手つかずの未来へ一緒にいきましょう!」と、生のライブ、生身の人間が生み出す唯一無二の音楽の素晴らしさを語るGEN。そこから奏でられた「Horizon」はこびりついていたイヤなものが全部そぎ落とされるような爽快さに満ちていて、全12曲のステージが終わるころには誰もが晴れやかな顔を見せていた。

2日目も会場では”フェス飯”を食べたり、グッズ購入で盛り上がったりと思い思いの時間を過ごしていた観客たち。会場に集まった人の多くは四国在住。イベントスタッフも然り。『Diamond Dance』ではドリンク販売やチラシを配るスタッフに、地元ライブハウスに出演するバンドマンやアイドルが参加するなど、地元のイベントを、エンタメを盛り上げようとする人の姿にも目が奪われた。

coldrain

coldrain 撮影=Shingo tamai

2日目の折り返し、coldrainは「借りは全部爆音で返させてください!」と「THE REVELATION」からエモーショナル&ハイクオリティなステージングで観客を圧倒! 観客のひときわ大きな嘶きを引き金に、Y.K.C(Gt)、Sugi(Gt)の2人のアンサンブルが大きく鳴り響く。「ライブ好きな奴は手上げろ!」、MASATO(Vo)の雄たけびにも似たスクリームがフロアを引き裂くように響く。MASATOが大きく息を吸いこんで吼えた「FEED THE FIRE」ではタフさのなかに流麗さを見せるサウンドに、瞬時に会場の空気が変わったのを肌で感じる。あっという間にcoldrainの色に染め上がったフロアに、まだまだ物足りないとバンドはオーディエンスの反応を求めていき、それに比例するようにフロアが大きく揺れる。『Diamond Dance』初出演ながら、手慣れた様子でオーディエンスを操っていく5人。RxYxO(Ba)、Katsuma(Dr)が放つ重厚で鋭利なリズムが身体を真っ二つに裂くように体にぶつかってくる。

coldrain 撮影=Shingo tamai

「早めの曲、バンバンやっていくんで! 言うこときいてもらっていい? 初めて観る方、これがcoldrainです!」と「To Be Alive」へ。初めての挨拶にしては強すぎるし、洗礼としては強烈なインパクトな曲。忘れようにも忘れられない、クリアでタフでダイナミックなパフォーマンスが目に、耳に、脳の奥までしっかりと記憶に刻まれていく。しかもメロディが鮮烈なものだから、ファーストインパクトだけでなく、しっかりと余韻まで残っていく。その後も「知ってるか知らないかじゃない! 楽しめるか楽しめないか!」と「RABBIT HOLE」「MAYDAY」とMASATOのスクリーム&デスボイスが炸裂! 「もうちょっとバカになって!」なんていうけれど、観客は早々に頭を振り乱してバンドの音世界に陶酔しきり。観客のなかには興奮&大暴れで頭から湯気を出す人の姿もいる。

遅刻こそしたけれど、また来年も出演できたらと思いを語るMASATO。そして、「コロナ禍になってから濃い時間が過ごせていなかった。持ち時間がしっかりあるなかでライブができることはバンドとして幸せ」と、音楽イベントで50分の長い時間、バンドの姿を見せられることに喜びつつ、「時間があるからこそ、普段できない曲もできる。大人しい曲を」と「Deja vu」へ。MASATOの歌声の質感、輪郭、メロディの瑞々しさが際立つ楽曲に魅せられ、、ラストは「Final Destination」で轟音を轟かせ、きっちりとトドメを刺し、ステージを後にした。

10-FEET

10-FEET 、トーキョー・タナカ(MAN WITH A MISSION) 撮影=Shingo tamai

『Diamond Dance』2日目を締めるのは、昨年に続き2度目の出演となる10-FEET。バンドタオルがずらりと並ぶ、いつもの光景を目にしただけで自然と気分が高まっていく。「いくぜ-! ぶっ飛ばすぞ、ついてこい!」、TAKUMA(Vo.Gt)が声高々に叫び、「RIVER」へと流れていく。胸を締め付けるリリック、メロディに心がほぐされつつ、彼らのライブでおなじみ、歌詞にある”川”の名前を地方河川に変えるくだりに会場が大きく沸く。重信川と石手川と名前を変えた途端、愛媛県人がどれだけいるかが瞬時にわかってしまうのが最高に面白い。 「SHOES」ではKOUICHI(Dr)のご機嫌なビートに踊らされつつ、これまた胸がキュンとなるリリックを観客みんなで大合唱。

「友達、1”匹”呼んでいいかなー?」とゲストで登場したのはMAN WITH A MISSIONのトーキョー・タナカ(Vo)! アニキの祭りを盛り上げたいと、この1曲のためだけに愛媛までやってきたという、まさかのサプライズに観客が大盛り上がり。イベントフラッグに描かれた、愛媛のマスコットキャラクター・みきゃんを獰猛に進化させたようなオレンジカラーの犬(オオカミ?)がそのままリアルに飛び出したようなトーキョー・タナカのパフォーマンスにフロアは沸きに沸き上がる。「飛んでこいよ!」とフロアを煽り、NAOKI(Ba)のリズムを高めるようにステージを右へ左へと駆け回り、あっという間にステージを後にする。「最高やな!」、ご満悦な表情を見せるTAKUMA。その後もライブでは定番のキラーチューン「ハローフィクサー」、10月20日にリリース配信されたばかりの「Re方程式」など、激しくも憂いを感じる叫喚を上げていく。

「寂しいな……」、TAKUMAはぽつりと呟き、彼もまたチバユウスケへの想いを語る。音楽を、ロックバンドをやっているとたくさんの喜怒哀楽があるという。「いろんなバンドに憧れて3人でバンドをはじめ、喜びや楽しみはもちろん、怒っているときも歌ったり叫んだりしてきた。チバさんが亡くなって、哀しい寂しいと思うけど、悲しいときも歌いたい、音楽を鳴らしたい気持ちが大きくなる。めちゃくちゃ辛いときに聞いた曲は自分のなかで名曲になっていたりする。悲しいときに歌いたい、演奏したい、そんな音楽への気持ちはいつか救いになる。音楽は悲しいときでも、より自分に向かって歌ってくれているような気持ちになる。力をくれる、救いになる。今日はベタベタせずに、チバさんの歌詞にあるように、誰かのためとか何かのためじゃなく、ただただ鳴らすだけ。そんな気持ちで今日はみんなとめいっぱい楽しくやりたい」と、チバが褒めてくれたという「その向こうへ」を、感情をきっちりと心の奥底から拾い上げるように丁寧に歌っていく。KOUICHIのビートは適格に心を打ち、内側から沸々と思いを高めていく。音楽に救われて、生かされて、活かされる。その嬉しさを噛みしめていると、次曲は「第ゼロ感」へ。感情をきっちりと上塗りしていく、3人の強さをひしと感じる楽曲にフロアが大いに沸き上がる。「永遠じゃない。オレたちもお前たちも、バンドも。大事な時間、大事なライブ」、そう叫び「蜃気楼」へと繋いでいく。感情を溢れさせ、泣き叫ぶように歌うTAKUMA。ラスト「ヒトリセカイ」、いまこの瞬間を最大限に楽しみ、思い出を重ねていく3人の姿はただただ強く美しかった。

アンコールではTAKUMAが「まだ歴史浅いから。これから作っていこな」と語ったように、『Diamond Dance』の歴史はまだ始まったばかり。ライブのMCでは「松山には何もない!」なんて、イジる出演者もいたけれど、そこにはしっかりライブハウスへの愛がこめられていたし、誰もがイベントを存分に楽しんでいた。それに、松山は案外都会。有名な観光地は道後温泉があるけれど、W studio REDのある松山市内周辺は大きな商店街があるし、鍋焼きうどんや鯛めしなどの美味しいグルメも充実。夜には繁華街で良い感じの飲食店やバーもたくさん見つけることができた。何より、街の人が温かい。偶然かもしれないが、夜な夜な訪れたバーでは誰もが『Diamond Dance』の存在を知っていたし、「松山で音楽フェスが誕生するのは驚き。町が盛り上がってほしい」と嬉しそうに語る人がほとんどだった。記者は大阪から松山へやってきたが、飛行機なら1時間もかからないし、新幹線+特急でも気軽に足を運ぶことができる。これまでにも何度か松山の地を訪れていたけれど、観光とは違う、より身近に感じる街の魅力にどっぷりとハマりこんでしまった。

アニキが語っていたように、2024年も『Diamond Dance』は続いていく。これから重ねていくイベントの歴史、街の自慢となるロックイベントの軌跡をこれからも見続けていきたい。

取材・文=黒田奈保子 写真=『Diamond Dance』提供

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