アニメ『うちの弟どもがすみません』第5話放送後:寺澤百花(成田類役)インタビュー|"やりたいことが溢れ出る"キャラクター、成田類の"かわいさ"と奥深さ
母親の再婚で、成田家に引っ越してきた糸が、いきなり4人兄弟の姉に! 無愛想だけど家族想いの長男・源。冷静沈着で爽やかな次男・洛。引きこもりでなかなか姿を見せない三男・柊。いつも元気で甘え上手な末っ子・類。新米長女と個性豊かな弟4人とのにぎやかな毎日が織りなす、スイートホームラブコメ、TVアニメ『うちの弟どもがすみません』。
アニメイトタイムでは、毎話後にインタビュー連載を掲載中。第5話後は成田類役の寺澤百花さんに、自由な発想で挑んだ役作りや類の魅力、大空直美さんら共演者から受けた刺激、そして今後の見どころについて語ってもらった。
【写真】『うちの弟どもがすみません』寺澤百花 第5話放送後インタビュー【連載】
自分の中で、やりたいことが溢れ出てくるキャラクターだった
──オーディション段階から、どのようなことを考えて成田類の役作りをしていったのでしょうか?
成田類役 寺澤百花さん(以下、寺澤):原作やオーディション原稿を読んでいるときから「こうしてみたい」というのが浮かびやすいキャラクターでした。
類くんって成田家のアイドルでマスコット的立ち位置なんですけど、それプラス、自分がかわいいとわかっているあざとさ、楽観的志向、子供らしさ、純粋さを持っているんです。それでも類くんの言動って、想像していないものがたくさん出てくるから、それを表現したいと思いました。自分の中でやりたいことが自然と溢れ出てくるようなキャラクターだったので、楽しみながら演じさせていただきました。
──オーディションのときから一貫したお芝居ができている感じですか?
寺澤:はい。これで私はやります!という気持ちでオーディションを受けていたし、アフレコが始まっても、それは変わっていないと思います。基本的には自分が持っていったものを受け入れてくれる現場だったので、アドリブも「一度やってみてください」と言ってくださるし、やったものもだいたい採用してくださったので、チャレンジすることに抵抗感がなくなってきて、あれもこれもやってみたい!と、みんなで作り上げていく雰囲気になる現場だったんです。
──これまで声優としてやってきたものが活かせる感じだったのですか?
寺澤:そうですね。この現場もそうですが、面白いことをされる役者さんって、たくさんいらっしゃるんですよ。それを見て経験を積み重ねてきたからこそ、自分もやってみたいと思ったし、皆さんに食いついていきたいと思ったので、挑戦させてもらえる現場であり類くんだったなと思います。すごく楽しかったです。
──いま過去形でしたけど、収録は終わっているんですよね。
寺澤:はい。だからすっごく寂しいんですよ。2クールで、1年通してアフレコはやってきたからこそ、愛着もすごく湧いたし、この先の成田家を見たいし、類くんももっと演じていたいんです。それに、皆さんのお芝居が見れなくなるのも寂しいんですよね……。
──ちなみに、仲良くはなれましたか?
寺澤:打ち入りとかもあったので、役者の皆さんとどんどん仲良くなっていった感じでした。でももう、宣伝稼働やイベントの機会がないとしばらく会えないんだと思うと、やっぱり残念です。
──本編の放送が第5話まで進んでいますが、ここまでの印象をお聞かせください。
寺澤:お父さんとお母さんが転勤で家を離れてしまう話が第1〜2話にかけてあるんですけど、類くんは両親が離れても意外とのほほんとしているんですよね。寂しいお年頃じゃないの?と思ったりもしたんですが、そうではなく、類くんって、心の内に寂しいという思いがあるけど、その感情に気づいてないのかもしれないなと思ったんです。だからこそ、第3話で赤ちゃん返りをしてしまうという。
──確かに。
寺澤:源くんが、お母さんがいないで育ったからこそ、たまにこういうふうになる時があると言っていましたけど、類くんってまだ子供だから、そこに気づけていないのかもしれないですよね。
なので一瞬、類くんって意外とサバサバしていて冷たい子なの?と思ったんですけど、第3話で、家族全員で一緒に暮らしたいという将来の夢が出てきたので、その考えはすぐになくなりました(笑)。なので実は奥深いキャラクターなんだなと、このあたりのエピソードで感じました。
──糸にお母さんの面影を感じているのかもしれないですね。
寺澤:確かに。類くんってずっと男兄弟の中で育ってきたし、一番近くにいる糸ちゃんがお母さん的ポジションなのかもしれないですね(笑)。
──だからこそ、糸を送り出そうとする源にキレるという。
寺澤:「ハゲて消え去れ!」とか言ってましたね(笑)。「糸ちゃんのご飯がないと生きていけないんだ!」とも言っていましたけど、ご飯の心配をしているのが面白かったです。
──よほど源の作るごはんと違ったのでしょう(笑)。
寺澤:ずっと茶色い食事で生きてきたからこそ、食事ってこういうものなんだと気づいたのかもしれない。
──でも、ここのお芝居は本当に最高でした。
寺澤:ありがとうございます。嬉しいです。
──あとは蛙を飼っているという。
寺澤:ゴメス! あんな大きい蛙、どこで見つけたの?と思いました。
──お騒がせ蛙ですけどね。もともとの4人兄弟の中では末っ子ですが、物語的にはどんな立ち位置だと思いましたか?
寺澤:恋愛をするようなキャラクターでもないので、時々成田家をかき回すムードメーカーではないけど、スパイス的なポジションのキャラクターなのかなと感じました。本人はあまり周りのことは気にせず、自分の世界の中で生きている感じなので、この物語の主軸の部分に入ってくるというよりは、別軸にあるキャラクターなのかもしれないですね。
類の一番好きな台詞は……
──第3話の赤ちゃん返りのエピソードでのお芝居について伺いたいのですが、これもまた絶妙で、素晴らしかったです。
寺澤:類くんを演じるにあたって、深く考えないようにはしているんです。だからこそ赤ちゃん返りをしている時は「なんか不機嫌」みたいな。それだけの気持ちで、そこに至るバックボーン的なものはあえて考えないようにしていました。なぜかというと、それを考えると、類くんの持っている楽観的な部分、子供らしい天真爛漫さに深みが出てしまうと思ったからで。だから小3で赤ちゃん返りをした類くんを、ただがむしゃらに演じようと思っていました。
──スーパーで寝そべって駄々をこねる姿って、たまに見かけますけど、もう少し小さい子ですからね(笑)。
寺澤:幼稚園くらいまでですかね(笑)。でも、かわいいですけどね。ただ、類くんがこういうことをしちゃうのは、愛されているからこそだと思うんですよ。末っ子として、甘やかしてくれるし、愛されているという表れなのかなと思っています。
──類の夢が、糸が成田家の誰かと結婚して、ずっと一緒にいることだそうですが、これについてはどう思いますか?
寺澤:これもめちゃくちゃ言ってるとは思うんですけど、類くんの終着点はそこなんですよね。第3話Aパートラストの作文のとこで出てくる、「お姉ちゃんができてとっても嬉しいから。ずっとずっと一緒にいたいから」は、私が一番好きな台詞なんです。
これって類くんの子供的志向で、うちの誰かと糸ちゃんが結婚したら、ずっと一緒にいられるじゃん!みたいな、本当に深いことまでは考えていないから出てくる言葉だと思うんです。でも、みんな大好きだから、みんなと一緒にいるために思いついたことがそれだったので、類くんらしくて本当にかわいいなと思いました。この回は、この台詞を言うためにあったのかなと思っています。
──間違いないですね。でも、その前段階で、類が糸にベール代わりにシーツを被せて、うちの誰かと結婚することを誓いますか?と言った時、源がそれに乗って「俺らが『結婚』して『夫婦』な」とか言うじゃないですか。源からしたら、いつものことで、こうすれば類も治まるっしょという感じですが、糸としてはドキドキしちゃいますよね?
寺澤:「ホントにこいつは!」って言いましたね、私は(笑)。こういうことを軽く言っちゃうし、近づいちゃうし、恋人じゃないとありえない距離感だし、そりゃあ糸ちゃんだって意識しちゃうよ!!って思います。本当にそういうシーンが毎回あるから……。
──第2話のラストでも「おかえり、糸」で抱きしめていましたし。
寺澤:この間会ったばかりの2人でしょ!と(笑)。距離感がバグっているんですよ、源は。読んでいる人は、だいたいそう思っていると思います。ただ、源くんがそこに自覚がないのが、本当に不思議で……。別に好きにさせるためにこういうことをしているわけではなく、ただただ仲良くなりたくてという行動の表れで、その不器用さが彼にはあるので、それが面白く、魅力だなと思います。
──第3話も、結果、川の字で3人は寝ていますからね(笑)。
寺澤:一応男女だぞ!みたいな。
休憩時間をすべて使って大空さんに教わった技術
──他に、第5話までで印象的なエピソードはありますか?
寺澤:第5話だと柊くんがやっと顔を出してくれるので、そこは注目ですよね。第5話までは、「なんかもう1人いる?」みたいな感じだったんですけど、それがいつどんなふうに出てくるんだろうと思っていたところでの登場シーンなので、こういう子だったんだというのが結構、衝撃的でした。
──第1話でちらっと顔は見せているけど、あとはメモでのやり取りでしたし。
寺澤:柊くんは引きこもっていて、すごく臆病なところはあるけど、こんな優しさを持った子なんだというか。本人的には、熱中症で倒れた糸に対して、救急車も呼べなかったし、自分のことばかり考えて何も考えなかったと言っていたけど、無意識の優しさを持っているんですよね。家に運んであげて、冷たいタオルを乗せて、お水を用意してあげる。そこまでできているのに、その優しさに自覚がない! なんて健気な子なんだろうと思いました。
──そうですね。
寺澤:糸ちゃんも言っていましたけど、本当に天使みたいな子だと思いました。何でそこまで自己肯定感が低いんだろうというところを深掘りしているお話が5話以降にあると思うんですけど、柊が何でこうなってしまったのかが、すごく気になるところで終わる第5話でしたね。柊くんの登場は嬉しかったけど、彼の危うさもすごく感じる回でした。
──ゲーム内で友だち申請をして終わりましたからね。エンディングがゲームのBGMで終わるというこだわりも面白かったですが。
寺澤:そうでしたね! そのまま流れるんだ!と思いました(笑)。でも、一度拒絶されたからって諦めずに、ゲーム内ですけど、糸ちゃんが土足で踏み込んでいく感じはすごくいいなと思いました。
糸ちゃんに悪意はないけど、柊くんは結構怯えている。糸ちゃん自身も、距離感を掴むのが難しくて空回りするところがあるんだけど、ゲームが好きなんだったら私もゲームやろう! そしたら柊くんと仲良くなれる!という明るさは、結構救いだなと思いました。その無理矢理さって、糸ちゃんが持っている強みだし、良いお姉ちゃんですよね。
──みんなが距離を取ってくれていた印象もあったので、逆に出て行きづらさもあったのかな?と思ったんです。そこで糸がズカズカ入っていくのは良かったですよね。
寺澤:糸ちゃんはすごい力を持っているんですよ。完全に成田家を動かす歯車になっていますよね。
──では、お芝居の部分で、参考になったなと感じるところはありましたか?
寺澤:本当に皆さん素晴らしい方々なんですけど、テンションの高さでいうと、糸役の大空直美さんのお芝居にはすごく惹かれるものがありました。実は私、糸ちゃんのオーディションも受けていたんですけど、正解がわからなかったんです。だからこそ、糸ってどんな声で、どんな表現をする方に決まったんだろうと気になっていたんですけど、第1話から圧倒されてしまって!
糸ちゃん特有の表情変化……変顔の部分ってどう表現するんだろうと思っていたんです。変顔だからって、ヒロイン感は失ってはいけないじゃないですか。そのバランスは難しいだろうなと思っていたら、直美さんは、そのすべてを汲み取ってお芝居をされるので、120%で糸を表現されているなと感じました。
その表情ひとつひとつが、私が予想していなかったものを持ってこられていたし、糸ちゃんって、急に自分の想いを吐露したりするんですよね。コミカルから急にシリアスへ変わるんですけど、流れを止めずにノンストップで糸ちゃんを演じていたので「今この方は糸ちゃんとして生きているんだな」と思いました。これは全部、本人に何度も伝えているんですけど(笑)。
──そうなんですね(笑)。
寺澤:類くんも表情豊かで、しゃべっていないところでも動いたりしているからアドリブを入れたりしていたんですけど、そのあたりは大空さんからインスパイアされているところもあります。
──自分も受けたからこそわかるすごさ、というのもあるかもしれないですね。
寺澤:これが正解だったか!と思いました。だから悔しさとかまったくなかったです。
──糸の包容力は、人生経験も必要なのかなとは思いましたが……。
寺澤:あと、直美さん自身、糸ちゃんに似ているんですよ。ムードメーカー的存在で、周りを動かしているのは直美さんだったので、本当に糸ちゃんをやるべくして選ばれた方なんだと思います。
──大空さんに、お芝居のことで質問することもあったのですか?
寺澤:それだと食べるお芝居ですかね。結構特殊なところなんですけど、食べているところをすごくコミカルかつリアルにやられていて、食べのお芝居のレクチャーは受けていました(笑)。本当にリアル過ぎて「どうやっているんですか?」って聞きながら、休憩時間いっぱい使って教えていただいていました。
──そこはテクニックの領域ですけど、それも含めて、いろんな方の技術を見て盗める、あるいは質問できるというのが制限されていたコロナ禍を経て、成長しやすい環境に戻りましたね。
寺澤:本当にそうだと思います。マイクワークをしながら、皆さんと一緒にお芝居をする機会が増えてからは、勉強することも増えたので、本当にありがたいです。リアルさも全然変わってきていて、この現場の中でも先輩方のお芝居を見て成長させていただいた部分が多かったので、本当に良い現場だなと思っています。
──寺澤さん自身、このきょうだいの誰が好きとかはありますか? 誰を見守りたい、みたいな視点でもいいですが。
寺澤:選ぶのは難しいですけど、見ていたいのは洛くんかなぁ。洛くんって、脇に徹しているからこそ、「あなたを見たい」欲が高まるんですよ。賢いし洞察力が鋭いからこそ、自分のことを二の次にしてしまう。だからこそ、洛くんのエピソードになると、ついに洛くんの気持ちが動き出すのか!と思ってしまうんです。
ここまでは相談役みたいな感じですけど、パーソナルな部分が見えてくるエピソードもあるので楽しみにしてほしいし、私としては応援したくなるキャラクターです。でも、みんなそれぞれ違った優しさを持っているんですよね。共通しているのは、自分以外を幸せにしたいというところなのかなと思っています。
──では最後に、今後観てほしい部分を教えてください。
寺澤:糸・源以外のキャラクターにスポットが当たるようになってきて、柊くんはここからすごく大きく成長していくんです。そこでの小野賢章さんの演技がものすごくて、声色もどんどん変わっていくんです。身体的にも精神的にも成長するんですけど、特に精神的な部分を小野さんが本当に繊細に演じられていたので、まだこの段階では外に出れていないですけど、ここからどうなっていくのか。そしてその時の小野さんのお芝居にも注目していただきたいです。
あとお話的には、糸と源の2人に関わってくるキャラクターも出てきて、2人にとって大きな刺激になるので、楽しみにしてほしいです。
──類的にはどうですか?
寺澤:類くんはずっと楽しい子です(笑)。このあとのお話も、作品のスパイス要員として私自身ハジけた気持ちで演じていたので、類くんワールドを楽しんでいただきたいです。
原作もそうですが存在感がすごくあるんですよ。目が離せないというところはずっと変わらないですし、私も目を離してほしくない!という気持ちで演じているので、ぜひ類くんにも着目してご覧ください。
[文&撮影・塚越淳一]