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地域に開いた安心できる居場所、見附市の「とまり木カフェ輪来」。

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地域に開いた安心できる居場所、見附市の「とまり木カフェ輪来」。

見附市の今町商店街にある福祉施設「合同会社りんくる〜」が、事業所の向かいにコミュニティスペースをオープンしました。その名も「とまり木カフェ輪来(りんくる)」。店名の通りカフェスペースが併設されていて、訪れる人がホッとひと息つける「とまり木」のような場所になるようにという願いが込められています。今回は「りんくる〜」の一員で「輪来」の運営を担当している小林さんにお話を聞いてきました。

とまり木カフェ輪来

小林 友梨 Yuri Kobayashi

1989年見附市生まれ。長岡市の子育て支援センターで保育士として働く。2022年より「合同会社りんくる〜」に参加し、立ち上げメンバーとして活動。現在は保育士として放課後等デイサービスの子どもたちと関わる傍ら、今年1月にオープンした「とまり木カフェ輪来」の運営にも携わる。マルシェの企画運営や、子育て中のお母さんの居場所づくりにも取り組む。

グレーゾーンの人を受け入れる、新しいかたちの福祉施設。

――こちらを運営している「合同会社りんくる〜」さんはどういう会社なんでしょうか。

小林さん:福祉事業をいくつかやっている会社で、放課後等デイサービス、就労継続支援B型事業所、あとは相談支援事業所とフリースクールをしています。2022年の4月にスタートして、私もオープンスタッフのひとりです。代表ご自身も不登校や中退の経験がありますし、他の職員も、お子さんに障害があって本人もADHDの診断を受けている方とか、シングルマザーの保育士の方がいらっしゃいます。私は子ども3人が全員不登校だったんですけど、そういう自分たちの辛かった経験とかしんどかった経験があるから、相談に来られる方の気持ちがよく分かるんです。

――「りんくる〜」さんのサービスを利用している方は、どういう方が多いんでしょう?

小林さん:私たちの会社は大人の方も子どもたちも、グレーゾーンの方が特に多くて。

――「グレーゾーン」というのは?

小林さん:明確な定義がないのでお伝えするのがとても難しい分野なのですが、ADHDとか感覚過敏とか、見た目では分かりづらいような何かしらの凸凹だったり生きづらさだったり、ハンデを抱えている方のことです。大人の発達障害の方や精神疾患の方とか、あとは一般企業にお勤めだったけどうまくいかずに辞められた方とか。そういうご自分の特性を初めて知った方が来る、新しいかたちの施設なんです。

――よく想像される福祉施設とは、利用者さんの層がちょっと違うわけですね。

小林さん:従来の「就労継続支援B型事業所」っていうと、みんなで一緒に軽作業をしてっていうことが多いと思うんですけど、そうではなくて、ここではコワーキングスペースみたいな空間でひとりひとりのペースに合わせた働き方や支援の仕方をしています。

――今までになかった福祉のかたちで活動されているんですね。いろいろな活動をされている中で、小林さんはどの分野を担当しているんですか?

小林さん:保育士として配置されていて、放課後等デイサービスの子どもたちと関わって、みんなで公園に行ったり水族館にいったりしていました。でも一般的な保育士の働き方とはぜんぜん違って、今はカフェもしているし、ここの他にもマルシェの企画運営とか、子育て中のお母さんの居場所づくりみたいなことをしています。

商店街で連携して盛り上げる、地域のコミュニティスペース。

――「りんくる〜」さんのメインの事業所は、この向かいにある建物ですよね。この「とまり木カフェ 輪来」をオープンすることになった経緯を教えてもらえますか?

小林さん:もともとあちらの事業所の1階を地域のコミュニティスペースとして使えたらいいなと考えていました。商店街にあるしガラス張りなので、地域の方にコミュニティスペースとして出入りしてもらいたかったんですけど、やっぱりお子さんを預かっている面とか安全面で難しくて。あと以前はパン作り教室とかアート系のワークショップとか、プチイベントをやっていて、でもそれも利用する方が増えて管理しきれなくなってしまって。

――なるほど。

小林さん:それで、新しくこっちの建物を使って今までやっていたプチ教室とかを開いて、地域のコミュニティスペースとして継続していこうという話になりました。ここも就労継続支援B型事業所の福祉施設になっていまして、利用されるメンバーさんや職員が2階でお仕事をしているんです。

――もともとコミュニティスペースとして作られた場所だったんですね。カフェを併設されたのはどうしてですか?

小林さん:コミュニケーションを取りながら地域に開けた場所にしていきたいと思って、カフェを併設しました。最初は紙コップで飲むコーヒー、みたいな話もちらっと出たんですけど、それだと味気ないということで「メルヘンコーヒー」さんにお願いしてご協力いただいています。

――おしゃれな、でも親しみやすくて素敵なお店ですよね。店舗を作るときに、どんなコンセプトで作っていったんでしょうか。

小林さん:店名が「とまり木カフェ輪来」っていうんですけど、「とまり木」で雨宿りをしたり羽を休めたりして、自分のタイミングでまた飛び立つために休む場所、というのをコンセプトにしています。地域に開けた場とかワークショップとかもやっていくんですけど、楽しく安全に居心地よく過ごせることを大事にしています。

――いちばんは利用者さんが安心できることを大事にされているんですね。メニューは「メルヘンコーヒー」さんが監修されているんですか?

小林さん:そうですね、相談して作っていただいていて、「メルヘンコーヒー」さんのコーヒー豆を使わせていただいています。ワッフルも「メルヘンコーヒー」さんで作っているものを提供していて、小麦も卵も乳製品も使っていないのにとっても美味しいんですよ。

――フードメニューはどなたが作っているんでしょう?

小林さん:隣の隣にある「Photo & Cafe KUSANO」さんと提携させてもらっていて、デリバリーしたメニューをここで食べられるようになっています。地域の方たちと連携して、みんなでここを開けた場として盛り上げていきたいという気持ちでやっているんです。

福祉の敷居を下げることが、目的のひとつでもある。

――地域ぐるみで、ここをよりオープンな場にしていこうという動きがあるんですね。

小林さん:私たちがやっているような、こういう福祉事業を知らない方もけっこういらっしゃると思うんです。いろいろな経験をしていたり、当事者だったりする職員がいると知ってもらって、人によって必要であれば利用してもらうこともできますし、地域と交流していろいろなつながりや広がりができたらいいですね。

――「りんくる〜」の活動が気になるけど相談しにくいっていう方は、まずはコーヒーを飲みに来て、小林さんにちょっとお話ししてみるっていうこともできるわけですね。

小林さん:まさにそれで、従来の就労継続支援B型だと逆にハードルが高い方もたくさんいるんですよね。大人の発達障害とか、精神疾患っていうのが分かったばかりの方だと、それを受け入れたり認めたりするのが大きいハードルになっている場合もあります。なので、おしゃれで居心地のいいカフェを作って、そこを福祉の入り口にしたいっていう思いもあって。来てみて「こういう場所なんだ」って引っ掛かる方はもっと話をしていってもらうこともできるし、そういった意味で福祉の敷居を下げることがここの目的のひとつでもあるんです。

――今後こちらの場所を使った企画など、何か考えているんでしょうか。

小林さん:ここの利用者さんに、すごく絵が上手な方がいらっしゃって。ご自分の世界観で毎日のように絵や作品を作っている方がいるので、この空間を全部使ったその方の個展をやっていく予定です。そういう企画展が始まったら、ここに興味を持って来てくれる方もいるだろうし、利用者さんそれぞれのお仕事につながる可能性も生まれると思うんです。それにやっぱり本人がやりたいこととか、前向きにワクワクすることとかだと体も動くみたいで。楽しみですね。

とまり木カフェ 輪来

見附市今町1丁目6-11

TEL:0258-86-8227

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