見た目重視で何が悪い!?リールのハンドルノブを替えれば釣れなくても楽しい!
リールのチューニングはベアリング交換とかスプール交換とかいろいろあるなか、割と気軽にできるチューニングの1つに「ハンドルノブ交換」がある。今回は、私がたどってきた「ハンドルノブ交換」の歴史を振り返ってみたいと思う。といっても、読者のみなさんに語るには、自分でも“浅すぎる?”と思うくらいのものなのだが…。
ちなみに、とくに性能アップを目指しているわけではなく、完全に見た目の好みを追求した、チューニングというより「ドレスアップ」の類になることだけはお断りしておく…。
私の遍歴…それは夢屋の高級パーツ「花梨ノブ」から始まった
もう20数年前(?)の話になるだろうか…。私の記憶が確かならばシマノの初代アンタレスが発売されたあと、ファクトリーチューニングパーツのブランドとして「夢屋」が登場。アンタレスのハンドルやらノブやら(確かノブはステラにも対応?)をはじめ、さまざまなリールのチューニングパーツがラインナップされていた。そのなかでも、花梨の木材を使った「硬質のハンドルノブ」というのがあって、とてもキレイな見た目だというのと同時に、「…高ぇっ!!」というお値段だったというのを覚えている(1個数1000円(?)だったように思う)。
これはあくまでも私の記憶の中での話であって、もしかしたらほかのメーカーも、当時似たような商品を発売していたかもしれない。いずれにしてもその辺りから、ハンドルやノブも含めて「リールのチューニング」というのが一般的に認識され始めたような気がする。
庶民の私は1個数1000円のハンドルノブに手が出せるワケもなく、「こんなモノもあるのね、ふぅん…」と、しばらくは気にしないフリを決め込んでいた。が、再び私の琴線に触れるようなモノが登場する。それが「パワーハンドルノブ」だ。
そもそもはオフショア用の8000番とか10000番とか、ジギングなどに使用するパワーゲームが大前提の、“デカいスピニングリールに付いている”のがパワーハンドルノブである。バスやシーバスで使う小型~中型スピニングリールのノブの保持が「つまむ」という表現なのに対して、「握る」という表現がしっくりくる、かなり存在感が大きい代物だ。
写真はシマノの初代スフェロス6000に装着されている、純正のパワーハンドル。グリップ部分が大きいので、小型~中型スピニングリールのノブのように「つまむ」のではなく、ガッチリと握り込んでハンドルを回せるのでパワーファイトにも対応できる
そのパワーハンドルノブを小型~中型のスピニングリールにも、という意味で発売されたどうかは分からないが(おそらく、ソルトでオフショアのライトゲームが流行り出したことに関係しているのでは…と勝手に想像している)、何かカッコイイのである。存在感アリアリなのである。
ただ、やっぱりお値段は…ねぇ、高いんですよ、奥様。このころになるとダイワのファクトリーチューニングパーツブランド「SLPワークス」も始動しており、シマノの夢屋とともに同様のチューニングパーツをラインナップ。もちろんパワーハンドルノブもあり、モノによっては10000円を超えていたような気がする(もうリールが買える値段じゃん…)。
本来の使い方ではないが…
見た目はハマった富士工業の「BRC ソフトバットキャップ」
しかし当時の私は、このときばかりは「こんなモノもあるのね、ふぅん…」で終わるほど丸い人間ではなかったようで、何とかもう少しリーズナブルに存在感のあるノブにできないものか…と、釣具店やハ○ズ(かつての東急ハ○ズ)などで素材をイロイロ探し回った。そして、たどり着いたのが結局は釣具で、富士工業の「BRC ソフトバットキャップ」だった。
これが富士工業の「BRC ソフトバットキャップ」。さまざまな釣り竿の竿尻(バットエンド)に装着されているのを見たことある方も多いだろう。サイズを表している数値は「BRC19.0R」だが、開口部の直径はなぜか18mm。400円(税抜)という超リーズナブルな価格で、パワーハンドルノブ(もどき)が実現できる!
このソフトバットキャップ、本来は竿尻に装着して、地面に置いたときに傷が付くのを防ぐ&ショックを吸収するという役割があるのだが、この最小サイズ「BRC19.0R」が、当時私が使っていたシマノのスピニングリールのノブに見事にハマり(多少の隙間は水道用のシールテープを巻いて対処)、いともかんたんにパワーハンドルノブ(っぽい)見た目が実現できたのである。
’17アルテグラ3000に装着の図。合成ゴム製なのでグリップ力もしっかりとあり、つまんで軽く回すのはもちろん握り込んでパワフルに巻くこともできたので、当時の私はかなりの「自画自賛っぷり」だったのを覚えている…(ただのケチともいう)
さすが専用品!軽くてソフトなタッチの
「フィッシャーマン EVAパワーハンドル」
とはいえ、やはり本来ノブに使うパーツではないので、当然ながら問題点も出てくる。
私が一番気になったのはその「重さ」で、ハンドルの回転を止めた位置によっては自製パワーハンドルノブの重さで勝手にハンドルが回ってしまい、せっかくステイ状態にしていたルアーが動いてしまうという事態に陥っていた(エギングなどでは大問題!)。
右が富士工業のソフトバットキャップ、そして左が新たに見つけたフィッシャーマンの「EVAパワーハンドル」。サイズ的にはほぼほぼ同じなのだが、EVA素材を使っているために圧倒的に軽い。滑りにくさはそれほど大差ないと感じた
そんなときに見つけたのが、石垣島の老舗ソルトタックルメーカー・フィッシャーマンの「EVAソフトパワーハンドル」だ。名前からもお分かりの通り正真正銘ハンドル専用のパーツで、やはり純正のノブにかぶせるだけでパワーハンドルになってしまうというもの。形状はほぼソフトバットキャップと同様なのだが、一番の違いはその軽さ。EVA製なのでプラスした重量感はないに等しく、重さでハンドルが勝手に回るようなトラブルがなくなったのはもちろん、ソフトなタッチもお気に入りとなった。
’16ナスキーC2000Sに装着したEVAパワーハンドル。本来このサイズのリールならノーマルノブの方が細かいアタリも感じやすそうだが…ソコはホラ、見た目重視で。といってもリールそのものが小さいだけに、アンバランスにノブがデカい! (だが、それがイイ)
’97メタニウムXTに装着。グレーカラーが銀メタのボディカラーと調和していてナイス。ちなみに、ハンドルは初代アンタレス用のロングハンドル(ノブ軸間85mmは当時としてはロング)に交換。ノブの軸受けにベアリングが入っているので、当時のモデルとしては異様に回転性能が高い
抜群のコスパで日本の釣り業界に一石を投じた「ゴメクサス」
ところが…私が気付いたのは5年くらい前だろうか? “例の感染症”の最中であまり外出ができない時期にネットショッピングのアマゾンで見つけたのが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いであっという間に釣り人に浸透していった「ゴメクサス(GOMEXUS)」だ。
’17アルテグラC3000HGに装着したゴメクサスの「E38ハンドルノブ」。ノブ直径が38mmのEVA製で、握り込んだときのタッチはソフト。ノブ軸の付け根部分は細くなっているので、ここに指を当てて巻けば小さなアタリも感知できる。ベアリング2個付きなので回転性能は悪くない
’11エクスセンスBB4000HGMに装着したゴメクサスの「41mmパワーハンドル」。ソルトのバーチカルゲームにも使用しているので、直径が大きめのノブは力を込めて握りやすくパワフルに巻ける。ちなみに、スプールはアルテグラ4000の物に交換している
さまざまな意見はあるようだが、あのクオリティがあの価格で手に入るのならば、私のような庶民アングラーにはとてもありがたい存在だ。今では私が使っている1軍リールのほとんどにゴメクサスが装着されている有様で、ドレスアップとしてはもちろんだが、使い心地も申し分ない。それ以上に、リール市場を賑わせているという意味でも、ゴメクサスの存在はかなり大きいのではないだろうか(日本メーカー様もお願い致します!)。
現行バスライズに装着したゴメクサス「A30ハンドルノブ」。ほぼ全体のパーツがアルミで構成されているのでそれなりの重さがあるが、ハンドル回転時にはその重さが勢いを付ける形になるので、自分の力加減以上にスムーズに巻けているような気がする
テイルウォークのバサルCA73Rに装着したゴメクサスの「AS30ハンドルノブ」。A30よりも軽量で感度も高いのだが、ハンドルがノブ軸間70mmのショート仕様に交換されているので、ノブとノブの間が近過ぎて回すときに親指の外側に当たりそうになる。見た目はコンパクトにまとまってよいが、実戦向きではないかも…
バランスは崩れるかも…だけど!
好みの見た目になるのならソレも悪くない!!
気が付いたら使っているリールのほとんどが、ノブを交換されていた(ってか、自分で交換したんだろ!)。比較的かんたんに交換できて、見た目が大きく変わるのもハンドルノブ交換の魅力ではないだろうか
以上、私のハンドルノブ交換の…浅すぎる歴史を思うがままに語ってみた。純粋に性能だけを追求するのならば、メーカー純正品だけを使ったノーマル状態がベストだということは重々承知している。ただその一方で、釣りは個人の趣味でもあるので(むしろこちらの方が重要)、その個々人が周りに迷惑を掛けないのであれば、好きにやってイイとは思っている。
アナタのリールはどうですか? ガチの純正ですか? それともチューニングのテンコ盛りですか??
ちなみに、一番使用頻度が高い’16ストラディックCI4+C3000HGのノブは、ゴメクサス製にあらず。最近「Tailande 38 mm リールハンドルノブ」に交換してみたが、アルミ製ノブの握り具合はゴメクサス以上にフィットする。まだ実戦投入していないので、果たして鬼が出るか蛇が出るか…
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レポーター
プロフィール:くどぅちゃん
バイク雑誌→釣り雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライター&編集者に。個人的な趣味としてもバイク&釣りを楽しんでいるが、完全にヘタの横好きで費用対効果がひじょうに悪いのが悩みドコロ…。