話好きだったのに認知症で寡黙になってしまった時、どうやってコミュニケーションをとればよいのか?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】
14:会話の場面|話好きだったのに、急に寡黙になるとき
○エピソード
父は昔、地域の人や仕事関係の人などとよく話をする人でしたが、最近では口数も少なく、急に寡黙になってしまいました。
【対応1】言葉が出せないのか、会話がしづらいのかを確認する
まずは注意深く観察し、①判断ができず答えられないのか ②答えはあるが言葉が出せないのかを確認しましょう。
名前を呼びかけたときにスムーズに返答があれば、言葉は出せるが難しい会話の判断ができない①の可能性があります。返答がないようなら、うまく言葉を出せない②の可能性があります。
【対応2】一対一でゆっくりと声をかける
前述の①の場合、2つ以上のことを判断するのが難しくなり、複雑な話をすることが面倒に感じている可能性もあります。また、普通のスピードの会話でも早口に感じることもあり、注意が会話に向いていない可能性もあります。
「静かな環境」「ゆっくりとした口調」で、一つひとつ確認しながら話してみましょう。言葉が出てくるようなら、少しずつ会話を増やしましょう。本人が自信を取り戻せば、昔のように話好きが戻ってくるかもしれません。
【対応3】難しい言葉を使わずに、短い文で声をかける
②の場合、「はい」や「いいえ」など、少ない言葉で答えられるようなコミュニケーションをとりましょう。本人も困らず、周りの人も本人の意思が確認できます。長い答えが必要な質問をすると、本人は言葉が出せず混乱して、ますますコミュニケーションを避けるようになるかもしれません。
大事なのは、本人とコミュニケーションがとれること。コミュニケーションがとれれば、本人も話すことへの自信を取り戻すきっかけになるでしょう。
【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子