【まさかのために! 物件購入前の必須チェック項目】100万円以下の物件を賢く購入するために注意点!
田舎の物件には、ときには100万円以下というものもあります。「なんて安い!」と思うかもしれませんが、買ったものの改修費が高くついたり、建物の基礎構造に問題があったりといったことも……。また、物件取得費以外にもかかる費用があります。ここでは、物件の改修費用の目安や見学時のチェックポイントなどを紹介します。
掲載:2025年6月・7月合併号
100万円以下などの安い家が売りに出る理由
100万円以下といった格安物件が増えているのは、空き家の存在が大きな社会問題になっているからです。令和5年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、その数は約900万戸と過去最多。特に農村部では、相続した家を使わないため放置したり、処分したりする人が急増しています。
空き家を放置すると老朽化が進み、景観の悪化や家の倒壊につながりかねません。使わない家でも固定資産税はかかります。また、建物を解体して更地にするには100万円以上の費用がかかるうえに、固定資産税が約3~4倍にも。こうした理由から、売り値が安くても少しでも早く手放したいと考える持ち主が増えているのです。空き家期間が短ければ家の傷みは少ないので、買い手にとっても好都合といえます。
物件購入前には必ず現地見学を
100万円以下などの安い物件は、自治体の空き家バンクから出てくるものがほとんどです。国土交通省が全国版空き家バンクという制度を設けており、委託された「LIFULL HOME'S空き家バンク」と「アットホーム空き家バンク」の2社のサイトから探せます。
●LIFULL HOME'S空き家バンク https://www.homes.co.jp/akiyabank/ ●アットホーム空き家バンク https://www.akiya-athome.jp/
また物件の購入前には、必ず現地見学してください。自治体の移住体験ツアーは物件見学を兼ねたものが多く、地域の環境や先輩移住者との交流、さまざまな体験などもできますのでぜひ活用しましょう。
100万円以下の物件はほぼ改修が必要。費用の目安は?
100万円以下となると、さすがに補修不要という物件はごくまれです。やはりトイレやキッチンなどの水回りは改修が必要になる場合が多い。建物の種類や大きさ、状態によっても大きく変わるが、改修費用の目安を以下の表にまとめました。
通常は状態のいい家でも改修費は100万円ほどかかります。水回りなどにも手を入れる場合なら300万円ほどは見ておいてほしいところです。表以外に、家の基礎や屋根の張り替えまで改修するとなるとさらにかかることになります。
自分たちでDIYする場合は、業者価格の半分ぐらいまで安くはなりますが、電気工事など資格がないとできない工事もありますので、無理のない範囲で挑戦を。
100万円以下の物件の見学時のチェックポイント
購入後の改修費を低く抑えるには、できるだけよい状態の物件を見つけることが重要です。そのためには見学時にしっかりチェックする必要があります。
特に重要なのが基礎部分。大きなひび割れや損傷が見えたら、地盤沈下の疑いもあります。屋根も瓦が壊れていたり、トタンが錆びていたりすると雨漏りの恐れが出てきます。この場合は、いずれも購入はオススメできません。
また水回りも傷みやすい部分なので、状態をしっかりチェックしましょう。歩くと床がたわむ家は、床下から補修する必要が出てきます。かなり状態のいい家でも、クロスの張り替えや畳の表替えくらいは必要になるのが普通です。購入前に、業者に見積もりを出してもらうと安心できます。
【母屋】
【付属建物】
避けて通れないトイレの話
田舎の物件は、昔ながらの汲み取り式トイレも珍しくありません。その臭いや使い勝手の悪さは我慢しにくいものです。
トイレを水洗化する場合、その地域に下水道がなければ合併浄化槽を設置するのが一般的です。合併浄化槽に補助金を出している自治体もありますので、活用すれば、自己負担は50万円ぐらいに抑えられます。
さらにコストを安く抑えたいのなら、少量の水で流す簡易水洗トイレという選択肢もあります。簡易水洗への改修費用は、便器を含めて施工費込みで12万円ぐらいからです。ただし、簡易水洗の見た目は水洗トイレと変わりませんが、下水管へはつながっていず、排せつ物はタンクに溜まる仕組みです。なので、定期的に汲み取りが必要になります。
物件以外にもあれこれ! 見落としがちな費用
物件を購入する際の手数料や税金のほか、移住後の自治会費や車の費用など、移住に際してはさまざまな費用がかかります。ついつい見落としがちな費用を紹介します。
■仲介手数料
空き家バンクでも契約に業者が介在する場合は、仲介手数料がかかります(売主と直接交渉する場合は不要)。100万円以下なら代金の5%+消費税です。
■税金や諸経費
細かな数字は現地で確認するしかないですが、印紙税、登録免許税、司法書士への手数料、不動産取得税、固定資産税(通常は課税評価額の1.4%)が必要となります。
■自治会費
通常は年に数千~1万円程度の区費のみですが、まれに集会所の費用負担などで数十万円かかるケースもあります。水道加入金が含まれる場合も。
■車の費用
田舎の日常生活でかかる費用は、これが最も大きいです。車両本体価格以外に車検代、自動車税、任意保険料などで最低でも年20万円ほどは必要となります。
文/山本一典 イラスト/関上絵美・晴香