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【三島・おきちゃん】ひとりで注文を受けてから打つ十割そば 82歳店主の心意気がすごい!

テレしずWasabee

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静岡・三島市の住宅街にカウンターのみの小さなそば処「おきちゃん」があります。大きな看板もなく、車で走っていると見逃してしまいそうなお店ですが、82歳の店主がすごいおそばを提供しているのです。

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街道沿いですが見逃し注意!

おきちゃん流そばの「水回し」

おきちゃんがあるのは、三島静浦港線(140号)の街道沿いです。よしずで囲った小さな小屋が店なので、見逃さないよう注意を!

おきちゃんではお客さんの注文を受けてからそば粉を打ちます。

大きな鉢でそば粉に水を入れ生地を作り上げるこの過程を「水回し」と呼びます。

おきちゃんこと斉藤興子さん 注文を受けてからそば打ちスタート

注文を受けてからこの水回しの作業にとりかかるのは、店主の斉藤興子さん82歳です。

店名の「おきちゃん」は興子(おきこ)さんのニックネーム。常連客は皆さん、斉藤さんのことを親しみを込めてそう呼びます。

“そば粉一粒一粒に水分をコーティングする”イメージで行う水回し

おきちゃんのそばは石臼挽の北海道産特上そば粉のみで、他につなぎを一切使用しないこだわりの十割そばです。

十割そばというと風味や歯ごたえが特徴ですが、おきちゃんの十割そばは、麺にしなやかさがあり、のどごしも良く、どちらかと言うとつなぎの入った二八そばを思わせます。

その秘訣はそば打ちにありました。水を少しづつ加え“そば粉の粒、一粒一粒に水分をコーティングする”イメージでまとめていくのが秘訣だそうです。

全身の力でこねた生地がまとまってきます

少量の水を何度も投入し、生地をまとめていきます。

「出来上がりのサインは生地がツルツルの美肌になる時」とおきちゃんは言います。

まとまった生地は乾燥しないように、すぐにラップで包み保湿してねかせます。

そば粉は水分を抱えないため、すぐに乾燥してしまうので、一時も放置しない事が大事。だから生地は作り置きしないのがおきちゃんのモットーです。

生地をねかしている間に天ぷらを揚げます。

揚げたての天ぷらを提供

おきちゃんで使用している野菜は全て地元の無農薬野菜。旬の野菜を使用するので季節によってラインナップは変わります。

天ぷらが揚がるまで、良かったら食べてねと提供されたブロッコリーとマヨネーズ。

良かったら食べてねの一品

まるで実家に帰省した時の母親のような心遣いにホッコリします。

おきちゃんは全ての行程をワンオペでこなします。

小さな厨房でテキパキと作業するおきちゃん

調理をしながらも、おそばの話や野菜の話を聞かせてくれるおきちゃん。

提供までに時間がかかるため、待っているお客さんを退屈させないよう心配りもすてきでした。

揚げたてを即提供 全て地元の無農薬野菜

揚げたてのうちに食べてねと、次々提供される天ぷら。

まるで天ぷら専門店のようです。 

衣が薄くサクサクで、お腹にたまらないのが嬉しいヘルシー天ぷらです。

薬味もたくさん 嬉しいサービス

薬味もいろいろ並んでいます。天ぷらは、ミル付きのヒマラヤ岩塩をガリガリと削っていただきました。

天ぷらはかなりのボリュームです。

インゲン・アスパラ・ズッキーニ・ピーマン

2人で来店したこの日、天ぷらを2人前注文したら「とても食べきれないから1つで十分だよ」と商売っ気のないアドバイスをもらいました。

天ぷらはそばとのセット「旬菜天ぷらと十割り蕎麦・並(1500円)」などで注文できます。

いよいよそばを大鍋に投入!

そばマシン 生地を押し出してお鍋に直行 

天ぷらの後は、いよいよそばの調理です。

先ほどこねて、ねかしておいた生地。押し出すと麺の状態になる機械から直接大鍋に投入し、ゆでていきます。

ゆで加減はおきちゃんの長年の勘です!

店主おすすめの「ざるそば・並」(800円)
「旬菜天ぷらと十割り蕎麦・並」(1500円)

店主一番のおすすめは、そばの風味が存分に堪能できるシンプルな「ざるそば・並(800円)」です。

乗せられたのりは、磯の香りが高く、そばの甘味を引き立てていました。

北海道産のそば粉、地元の無農薬野菜など、コストがかかるのではと聞くと「お客さんにおいしいもの食べてもらいたいじゃない!」との答えが。

それがおきちゃんの心意気です。

メニューはいろいろ 季節によって変わります

メニューは何種類かありますが、「複数人の場合は同メニューでお願いします」とのことでした。おきちゃんが気まぐれで作るお総菜を肴に、缶ビールで昼のみも可能です。

天ぷらは単品でも注文可能です。

「おろしそば・並」は具だくさん(1200円)

おろしそば・並(1200円)」は、たっぷりの大根おろしとネギ、揚げ玉にのりが乗っています。

そのためおそばが少な目に盛られています。減らした分は別皿で提供してくれる親切さです。

「良かったらそばだけで味わってみて!」と勧められました。なるほどそばの風味を実感出来ます。

嬉しい気まぐれメニュー

「齋藤興子 (そば処おきちゃん)」のアカウントで日々フェイスブックを更新するおきちゃん。

最近は「蕎麦いなり作ってみました」や「カレーうどん始めました!」などの告知がありました。その日の天ぷらの野菜なども発信しています。

野菜は農家から直接買い付けています。なんとその方がメニューを手作りしてくれたそうです。

取引農家が作ってくれた手作りメニューは愛情たっぷり

18年前に東京から移住し、知人の勧めでそば処おきちゃんをオープン。

地域の方に受け入れてもらうのはなかなか苦労だったと語るおきちゃんですが、今では多くの常連さんに愛される店となりました。

おきちゃん 店主・斉藤興子さん:
そば打ちは重労働! 90歳になって辛くなったらお客さんにそば打ちしてもらう「セルフそば屋」にしようかしら。私が指導しながら自分で食べる分のそばを打つの。そうしたら100歳まで続けられるわね

100歳まで頑張ります

そば処おきちゃんは素材にこだわり、手間を惜しまず、いかにおいしく食べてもらうかに全力投球する店主の姿が、「お母さん」を思わせるすてきなお店でした。 

■店名 そば処おきちゃん
■住所 静岡県三島市御園469-1
■営業時間
水・木 11:00~15:00 
金・土 11:00~15:00 17:00~20:00
日 完全予約制
■定休 月・火
■問合せ 090-8475-5982
■駐車場 有(3台)

取材/髙橋麻子

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