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石原区長インタビュー 誇り持てるまちづくりを 「緑区の特性活かしたい」〈相模原市緑区〉

タウンニュース

2024年の展望を話す石原区長

2024年が幕を開け、本紙では前号の本村賢太郎市長につづき、石原朗区長にも新春インタビューを行った。昨年の振り返り、今年の抱負などについて話を聞いた。

■2023年の緑区を振り返って

「昨年はコロナ禍から地域の活気が戻った1年だった。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、休止していた事業やイベント、地域の会議、総会なども再開された。日常が戻り、『4年ぶり』という言葉がキーワードのようになっていた。特に印象深いのが8月の『橋本七夕まつり』。七夕飾りが4年ぶりに橋本に戻り、とても印象に残っている。また、『さがみ湖湖上祭花火大会』には約5万8千人が来場した。このように数年ぶりの開催となるイベントも多く、地域の皆様の意気込みを大いに感じることができた。さらに、昨年は中山間地域の振興についても前進した1年だった。昨年10月から『森のイノベーションラボFUJINO』に地域おこし協力隊が本市で初めて着任し、地域の暮らしや事業のデジタル化支援などを行っている。16のプロジェクトが進行しており、今後も拡げていきたい」

■橋本駅周辺のまちづくり

「リニア中央新幹線は緑区としても期待が大きい。橋本だけでなく中山間地域の可能性も広がる。新駅設置は、にぎわいの増加や利便性の向上で大きな集客が期待できると考えており、工事については橋本駅周辺だけでなく津久井地域でも車両基地の建設やトンネル工事が行われる。区としては、市と地域の橋渡しをすることが重要な仕事であると考えている。引き続き区役所は市民と一緒にまちづくりを進め、地域活動をサポートし、本庁とのつなぎ役となるべく、その役割を果たしていきたい」

■中山間地域の振興

「中山間地域は、少子化や人口減少などが進んでおり、地域の活性化や地域コミュニティの維持により安心して暮らせる環境を作っていく必要がある。『住んで良かった』『住んでみたい』と思えるまちづくりに貢献するために専用HPの運用、移住・定住に関する全般的な相談事業、中山間地域の住環境整備及び空き家対策等の事業を引き続き実施していく」

「『中山間地域振興モデル地区』になっている青根では具体的な話が進んでいる。旧青根中学校を有効活用するため、『観光』『産業』、または『教育』に関する地域振興策を展開していくための事業者が昨年決まった。今後は宿泊拠点となるように地域住民や団体の皆様と地域振興策について検討を進めていく」

「そして小原。県内で唯一の本陣が現存する小原宿本陣があり、拠点となる小原の郷がある。具体的な拠点があることが小原の強みで、周囲の古民家などと連携すればより地域全体を盛り上げることができると思う。小原の郷の有効活用方策については、民間事業者と幅広い意見・提案をしてもらうためのサウンディング型市場調査を実施したところ。今後はこの結果等を踏まえ、施設の機能向上や事業主体の整理・検討を進めていく」

■中山間地域の課題(交通、医療、買物支援)

「交通の問題は、地域住民の方からも声を頂いており、『日常の足を確保する』という視点で取り組みを進めている。そのような中、昨年の6月には城山地区の若葉台で『グリーンスローモビリティ』の実証運行を開始し、令和7年度の本格運行に向けて検討を進めている。乗合タクシーなども地域の交通手段として維持していきたいと考えている」

「医療については、中山間地域の持続可能な医療の在り方に係る基本方針の策定に向け、住民説明会やモバイルクリニック事業体験会等を実施してきた。地域住民にとって非常に重要な問題になるので、出向く医療の充実を図るなど、この先も住み慣れた地域で安心して医療サービスが受けられるよう、引き続き声を聞き、丁寧な説明を行いながら進めていきたい」

「また、買物支援の1つである移動販売については、ニーズを聞きながら拡げていきたいと考えている。昨年も区内では市営上九沢団地で移動販売が始まった。若葉台住宅や金丸団地などではすでに実施しており、引き続き地域のニーズを把握し、個店の配達とのバランスをとりながら支援していきたい」

石原区長インタビューコロナ明け「本来の緑区に戻った」

■鳥獣被害対策

「相模原市では、ツキノワグマやイノシシなどの野生鳥獣による被害を減らすため、地域や猟友会などと一体で取り組む地域ぐるみの被害対策を推進している。実際に農作物の被害の現場を見ると、『ひどい』の一言で営農意欲の減退にもつながると考えている。本年度、人里への出没が多発しているツキノワグマについては、市の対策マニュアルに基づいて、県や警察と連携して、注意喚起やパトロール、学習放獣を前提とした捕獲など、状況に応じた対策を行っている。目撃情報があった際には青パトやひばり放送を使って情報を周知している。今後も、関係機関と連携を図りながら、市民の安全確保に努めていきたい」

「また、ドローンを活用した野生鳥獣対策について、野生鳥獣による農業被害、生活被害対策の一環として、ドローンを活用した地域ぐるみの被害対策を推進するほか、既存ドローンを活用した追払い実証実験及び新たな利活用方法の検討、ドローン活用成果に基づく被害対策の検討を行っていく」

■スポーツ振興

「区内では、今年も『ツアーオブジャパン』が開催される予定なので、大いに盛り上げていき、『サイクルツーリズム』の士気を高めていきたい。昨年11月には、橋本駅を拠点としたサイクリングの交流人口を増やすため、橋本駅南口にロードバイクの組立てや整備等を行うことができるサイクルサポートステーションを前年度に続き期間限定で設置した。オリンピックレガシーとしてのにぎわい創出や消費活動を促進していく。一方で、市内は自転車事故が多く、緑区ではスケアード・ストレートの実施をはじめ、交通安全の啓発にも力を入れている。安全対策も含めたサイクルツーリズムの振興に引き続き力を入れていきたい」

「そして、スポーツに関しては市民に地元選手の活躍をもっと知ってもらいたい。ボクシングの中谷潤人選手、F1の角田裕毅選手などの世界的な選手、パリ五輪の出場を目指す選手も多くいる。選手の活躍を通じてスポーツへの関心を高めてほしい」

■2024年の緑区の展望

「都市と自然がベストミックスしている緑区の特性を生かし、更なる移住・定住の促進や関係人口の創出を進めたい。移住定住の多い藤野地区に注目が集まりがちだが、中山間地域における暮らし方・働き方を浸透させて市全体で取り組みを進めていきたい」

「さらに、防災力の強化、交通事故防止や防犯などにも継続して取り組み、誰もが安全に安心して、希望を持って暮らすことができるまちづくりを区民の皆様と一体となり着実に進め、緑区の更なる魅力の向上に努めたい。私が区長に就任した時はコロナの真っ只中だったが、いよいよ本来の緑区に戻ったと感じる。住む人が誇りを持っていただけるまちづくりを進めていきたい」

昨年の橋本七夕まつり
本格運行に向け検討中のグリーンスローモビリティ
昨年も区内を激走したツアーオブジャパン
昨年、市のホームタウンアスリートに認定された中谷選手(右)

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