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犬の噛み癖を直す時にしてはいけない『絶対NGなしつけ』3選

わんちゃんホンポ

咬み、噛み、甘噛み

犬がかむ、という行動は、3つに分けて考える必要があります。まず「咬み」。これは攻撃です。咬むことにより相手にダメージを与える目的があります。そして「噛み」。これはガムを噛むだとか、ぬいぐるみをくわえるなどというホールドの意味で使われます。

最後に「甘噛み」。こちらは子犬期独特のものですが、間違えたしつけ方をすると「咬み」に発展する可能性もはらんでいます。今回は、この甘噛みにフォーカスしてお伝えしてまいります。

甘噛みで手が傷だらけ?

生後3~7カ月程度の子犬の歯はとがっていて痛いですね。甘噛みの相手をしているうちに手が傷だらけになってしまった、とお嘆きの飼主さんもチラホラ。甘噛みは乳歯が生えて抜け落ちるまでの歯がゆい期間、なにかモノを噛むことで歯茎のかゆみを逃す自然な行動です。

人の赤ちゃんでいうところの歯固めを噛む時期にあたります。この時期は、じゃれ合うとか、甘えるとか、なんでも口に入れて確かめるといった行動と甘噛みが相まって、結果として飼主さんの手を噛みすぎしてしまうことがあります。このとき、やってほしくない対処法があります。それがこちらです。

NGなしつけ方3つ

1.「いけない!」と叱り、口に手を突っ込む

昔のしつけ本によく書かれていた方法です。いけない、と強い口調で叱ること。また、犬の口奥に人の手を突っ込み、痛い思いをさせることで手への攻撃をあきらめさせる方法です。

う~ん…。と、思わず頭を抱えてしまうほどです。ハッキリ申し上げますが、これはどこをとってもNGしつけです。これに限らずマズルを強く持つ、鼻先を軽くはたくなども体罰ですから同様に大NGです。

中でも一番やってはいけないのが、手を使って犬に痛い思いをさせること。子犬期に最も大事に育みたいのは人を信頼する気持ちです。人の手は自分を攻撃してくるものだと犬に刷り込まれてしまえば、犬は人の手が嫌いになってしまうでしょう。

そうなれば、防御、攻撃のために咬みつくという行動に出ます。これでは甘噛みを直すどころか信頼関係も築けません。こうした悪循環の繰り返しでこじらせてしまうというケースは成犬になってからのリカバーが難しいのが実際のところです。

2.満足ゆくまで噛ませる

「手が傷だらけで…」とおっしゃる飼主さんのほとんどがこのパターンです。こうした飼主さんはすでにネットなどで情報を収集している勉強熱心な方が多いのです。

甘噛みを叱ったり体罰を与えることは良くない、というところまでは知っているけれど、実際のところどうやってやめさせたらいいのかがわからない。だから犬のねだるがままに手を噛ませ続けた結果、手が傷だらけというわけですね。

子犬は飼主さんの手が大好きです。まるで母犬のように暖かくていいにおいがするからです。大事にしたい気持ちですが、これと手を噛ませ放題にするのは別問題ですのでNGと言えます。

この解決法はシンプルで、子犬飼主さんの手に寄って来たら、飼主さんは噛んでも良いおもちゃを手に持ち、そちらを噛ませるように仕向けます。とはいえ、ただおもちゃを持っているだけでは犬はその魅力に気づかず、再び、手そのものにじゃれついてくるでしょう。そうしないために、飼主さんはおもちゃ選びと遊び方について少々研究の必要があるかもしれません。

3.手をすばやく引く

子犬はじゃれつきと甘噛みが同時ということがほとんどです。要は遊びたいし甘えたいのです。人の手にじゃれついてきた際、思い余って強く甘噛みをすることもあるでしょう。そうした瞬間に手をすばやく引いてやめさせようとすると、次に犬はどんな行動に出ると思いますか?

そう。手を追いかけるんですね。犬は動くものを追う習性があります。特に子犬の時期はそうした本能的な部分がまだまだ大きいため、大好きな飼主さんの手が動けば、それにつられて手を追います。何気ないことですが甘噛み対策において、このやめさせ方はNGです。なぜなら、動く手を追う癖が着き、執着が高まることにより、手を噛む行動がエスカレートする傾向があるからです。

さらに、これはラブラドールやゴールデン、フラットなどのレトリバーに多いのですが、ある程度年齢がいってもこの癖が抜けないため、興奮すると人の服の袖をくわえてしまう犬がいます。悪気はなくても事故につながる危険性がありますから、幼い頃からこのようなNGしつけを行わない方が良いでしょう。

では、どうしたらいいの?

私は訓練士としてたくさんの子犬に関わってまいりました。現場で見えてきたものに甘噛みの問題があります。みなさん甘噛みを「直す」または「やめさせたい」とおっしゃいますが、まず、この考えをアップデートする必要があります。新しくインストールしていただきたい知識は以下です。

✔甘噛みは成長に欠かせない子犬の仕事
✔手を噛ませない
✔おもちゃを介して遊ぶ
✔手を引いてやめさせない
✔叩くふりをしない
✔甘噛みは、やめさせる(直す)より、逃す
✔歯がゆさには、おやつを挟める固いおもちゃなどで対応
✔甘噛みは歯の生え代わりと共になくなる時期的なもの

まとめ

甘噛みの時期は、子犬まっさかり。トイレトレーニングもしなくちゃならないし、お散歩だってまだまだ理想どおりとはいきませんね。それから、避妊、去勢手術も考えなくてはならない時期です。とにかく山ほどやることがあって、子犬との生活ってこんなはずじゃなかった~!なんて、ちょっと育児疲れ気味の飼主さんもたくさんいらっしゃいます。

でも、安心してください。甘噛みは、いっときのもの。手は噛むものではなくて、あなたをなでるためのものなのだと教え、噛む対象はおもちゃなのだと導いてあげる。それだけのことです。一見、遠回りのように感じられるかもしれませんが、これが最短にして最良の甘噛み対策なのです。


(獣医師監修:平松育子)

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