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食中毒を防げ!あたらない牡蠣に、アニサキスを電気で殺虫!?

TBSラジオ

今日は「食中毒」の話題です。
今月、上野公園で開かれた牡蠣を味わうイベント「牡蠣フェス」で、35人が食中毒になったというニュースがありました。
ノロウイルスが検出されて、原因は牡蠣の加熱不足と考えられています。
今回は加熱用の牡蠣ということでしたが、生牡蠣が好きな方も「あたるんじゃないかな」と、心配で食べられない方もいるかもしれません。

安心して食べられる!「あたらない牡蠣」とは

そんななか「あたらない牡蠣」という夢のような牡蠣が近い将来、一般的になるかもしれないんです。
どんなものなのか、株式会社ゼネラル・オイスター 吉田琇則社長に伺いました。

株式会社ゼネラル・オイスター 吉田琇則社長

通常は、海で養殖を牡蠣はするんですけど、今回の「あたらない牡蠣」は陸上で完全養殖した牡蠣です。通常、海だとどうしても生活排水とかの影響で、その中に菌やウイルスが入っている可能性があって、それを養殖で育てているときに牡蠣がお腹に溜め込むので、それが「あたる」原因なんですが、今回お腹の中に汚れを、菌とかウイルスをいっさい溜め込まない仕組みでやっています。人間に害になる菌やウイルスがいない海洋深層水で、それをくみ上げてきて、陸上で稚貝から成貝までをその環境でずっと育てる。その間1回も汚れていない(仕組み)。

牡蠣は通常1時間に20リットルほどの海水を吸い込んでいて、その過程でウイルスを取り込んでしまいます。
それを防ぐため、海の中ではなく陸上で育てる、さらに、ウイルスがいない深さ200m以上の海洋深層水を使うことで、ウイルスに影響されない、いっさい取り込まない環境で養殖を完結させる仕組みなんです。
開発に取り組み始めてから、10年かけて、去年完成したそう。
まだ市販はされておらず、イベントなどに限定的に出している状況で、3年後を目処に、量産化を実現したいと話していました。

アニサキスを電気で死滅!?

牡蠣の食中毒は「ノロウイルス」が原因のことも多いですが、最近はお刺身など生魚を食べた際に「アニサキス」といった寄生虫による食中毒になるケースも多くあります。アニサキスは、長さ2、3センチ、太さが0.5ミリ~1ミリほどの細い糸くずのような寄生虫なんですが、「アニサキスを電気を使って死滅させる技術」を熊本大学の先生が確立させました。
熊本大学 浪平隆男准教授のお話です。

熊本大学 浪平隆男准教授

電気工学を専門としていて、電気エネルギーの新しい使い方として「パルスパワー」の研究をしています。パルスパワーは、短い時間なんですが生じる巨大な電力、自然界で言えば雷がその一つにあたります。今回実験をやっている中で、1つの処理層の中にアジを3枚おろしにした食べる部分のフィレ、アジフィレを300枚ほど入れて、そこに瞬間的ではあるんですけど1億ワットの電力を複数回かけた。その結果、全てのアジフィレの中にいるアニサキスが全部殺虫できることが分かりました。パルスパワーを使うと、魚の身の中に隠れているアニサキスでさえ殺虫することができて、その魚にはほとんどダメージを与えない、この方法であれば、生の食感や生の味を楽しめることがわかりました。

1億ワットの電力というのは、電気自動車をアクセル全開に踏んだ状態の自動車600台分で、
この電力を瞬間的に、100万分の1秒、それを300回~400回、かけます。
これでアニサキスが死滅することがわかったということなんです。

将来は自宅で気軽にアニサキス対策!?

福岡市の水産加工会社から依頼を受けて、4年間かけて研究・開発し、2021年にこの技術を確立させたということです。現在は、この福岡市の会社のみで使われている技術ということで、今後目指すところについても再び浪平准教授に伺いました。

熊本大学 浪平隆男准教授

今例えば、小売業や飲食業の方々は、魚をさばいた後、よく見てアニサキスを探して、いたら取り除くということをしています。それでも、表面にいなかったアニサキスが刺身の中にいたまま、食べた方が食中毒になってしまう。この装置がお店に置かれるようになれば、魚をさばいたあと機械の中にフィレを並べて、ボタンを押して処理すると、中にアニサキスがいたとしても、もう死んでいますので、アニサキス症になることはない。小売業の方々が安心して生の刺身を提供できる状況になるのかなと。今は水産加工場のような、まとめて処理するところの装置開発を進めていますが、最終的にはこの装置が電子レンジのような存在で、一家に一台装置があって、釣ってきた魚をこれに入れれば、誰もが安心して食べられる、そこを目指して頑張りたいと思っています。

今はアジだけですが、今後はサバやサンマ、鮭など、この技術を使える魚の種類を増やす、アニサキス以外の寄生虫にもこの技術が活用できることを証明して、魚介類全般が、食中毒の心配なく食べられるような世の中にしたいと話していました。
消費者にもお店側にとっても安全は大事なので、どんどん広まるといいですね。

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