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能登半島地震“47億円は少ない”は印象操作 補正予算ではなく予備費で行う岸田首相の計算

文化放送

1月16日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、能登半島地震で来年度予算の予備費を1兆円に倍増について意見を交わした。

岸田首相は意外と有事に強い!

岸田文雄首相は、能登半島地震の復旧・復興などに要する措置に備え、次期通常国会に提出する来年度予算案の予備費を、現状の5000億円から1兆円に倍増させる方針を明らかにした。

政府は先週、今年度予算案の予備費から47億4000万円の支出を閣議決定し、1000億円を支出する発言も出ている。

「47億4000万円のときは、“少なすぎる”という声も出ていましたが、今回は来年度予算の予備費を1兆円に倍増ということです。これは田中さん、どう受け止めていますか?」(寺島アナ)

「まず、47億4000万円のときの“少なすぎる”という批判は、勘違いした人たちの批判ですよね。後から本格的な災害支援の予算がついてくるので、とりあえず災害の復旧や救援活動に要するお金としてプッシュ型として予備費から47億4000万円を出したってことです」(田中氏)

田中氏は来年度の予算について指摘する。

「また見過ごしてはならないのは今年度の3月の終わりまで使える予備費が4000億円以上残ってますが、今回の話は来年度予算の話で、それを5000億円増やすということは、政府としては今年度の予備費の残額とさらに来年度の5000億円を合わせた約1兆円を当面の能登半島地震の対策費として考えてるんじゃないでしょうか?」(田中氏)

「残った5000億円は、他に何かがあった時のために、ってことですよね?」(寺島アナ)

「そうです。例えばコロナ禍が新しい変種で大規模拡大したり、起こってほしくないですが自然災害が起こったりした時の予備として取っておくわけです。“47億円少なすぎ!”っていうマスコミの印象操作に負けないように。予備費は今年度予算のすぐ使えるものがかなり残ってますし、まだ被害の全貌が正確に把握されていませんが、多くの合意として“1兆円いかないんじゃないか”という見方があります。ただ、東日本大震災のときも原発関係以外の見積もりした金額がありますが外れています。それ以上の高規格の震災対策をするため、後に補正予算や復興財源を設けた経緯もありますので、まだまだ予算面も含めて予断を許さないでしょうね」(田中氏)

また岸田首相は今年度予算の予備費から1000億円を上回る支出を月内に決定する方針も示している。野党からは“予備費増額ではなく補正予算案で対応するべき”という意見も出ているようだが、岸田首相はこの主張に対し“国会に提出する前の予算案を変更して予備費を積み増すのが最もスピード感がある対応だ”と語っている。

「この考えは、田中さんどうですか?」(寺島アナ)

「岸田さん、個人的には経済政策に関して厳しい評価をしてきましたが、今回の震災対応に関しては予算面のやり方も含めてそんなに違和感はないです。補正予算で審議すると野党とか政治的な材料にしかねないですよね? それを避けるために予備費でやった方が、予算措置の点でもやりやすいという計算が岸田さんのなかにあると思います。また今年度予算が4600億円余っていて、そのうち1000億円を使ってもまだ3600億円が残ります。まだ2月、3月に使うときに対応できるので、岸田さんは意外と有事に強い印象を個人的に持っています」(田中氏)

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