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高圧急速冷凍の処理技術によってオマールの“常識”が変わる

料理王国

高圧急速冷凍の処理技術によってオマールの“常識”が変わる

クリスマスディナーのほか、さまざまな場面でテーブルを彩るオマール。高圧処理後に急速冷凍する高圧急速冷凍技術により、この高級食材のおいしさをフレッシュなまま各国へと届けている企業に、フランスの「サンク・デー・オー(5DO)」がある。社長のアレクシ・トージェ氏は日本における販路拡大のため3月に来日。取引先の「アルカン」にて講習会&試食会を開催した。7月には実力派シェフが率いる日本のレストランで、冷凍のオマールを使ったフェアも開催予定だ。

「サンク・デー・オー」が扱うのは旬の時期にとれたオマールのみ。

高圧急速冷凍で処理されたオマールの風味や食感のよさは格別だ。

活オマール=新鮮とは限らない


日本への長時間輸送で瀕死の状態に

今回、来日したアレクシ・トージェ氏が「サンク・デー・オー」を立ち上げたのは2010年のことだが、氏はカキの養殖を手掛ける家に生まれ育ったため、いかにしておいしく安全な海鮮品を提供するか――ということには学生時代から関心を寄せていたという。
「現在、オマールなどに用いている高圧急速冷凍技術はカキを処理する上で使われていた技術です」

カキの場合、高圧処理することで、殻から身が外しやすくなり、それを急速冷凍すれば、美味しさを一気に閉じ込めて新鮮さをキープできるというわけだ。
「こうした技術は野菜や果物のジュース作りにも応用されていますが、私はこれをオマールに使えないかと考えました」

「素材そのもののおいしさを損なわないためには、オマールにストレスをかけないように加工することが大切で、それには当社の技術が最適なんです」と語るトージェ氏。

商品は料理人が手間なくゴミも出さずに使えるような形に工夫されている。

技術として完全に確立するには8年ほどかかったが、結果、「サンク・デー・オー」は、フランスで唯一、ハイプレッシャー(高圧)を施した急速冷凍海鮮品を提供するメーカーとして知られるようになった。
「オマールに高圧処理を行うと、貝類と同じように簡単に殻が外せます。また、急速冷凍技術を生かすという点では、たとえばオマールブルーでいうと旬の7月から10月にとれたものだけを冷凍しているので、一年中、高品質なものを一定の価格で供給することができます」

水揚げされたオマールは、約2500㎡の生産アトリエ内にある生け簀で保管。それを短時間で処理するのも、おいしさをキープするポイントだという。
「生きたオマールをそのまま高圧処理するので、一切ストレスを与えずに済むという点が大切なんです。ストレスがかかると頭から酵素が分泌されて見崩れしやすくなり、味も食感も悪くなってしまうんです。
日本人シェフの中には、冷凍ものより活オマールを選ぶ人が少なくありませんが、輸送に長時間かかって届くオマールは強いストレスによって瀕死の状態です。
それに約3割が輸送の途中で息絶えてしまう。とくにオマールブルーなどは漁獲高が少ないので、こうしたロスも非常に気になるところです」

冷凍オマールについて、通訳を介して熱心に語るトージェ氏。日本では言葉の壁を感じてしまうが、「一度使ってもらえれば、そのよさは必ず伝わるはず」と確信している。

それでも活オマールにこだわるシェフが多いのはなぜか――。
「日本に限らず、特にガストロノミーのシェフにその傾向が強いようです。
生きている素材が一番新鮮という考えが“常識”としてありますから、高級レストランで冷凍ものを使うのは印象がよくないと思うんでしょう。
しかし、すでに話題にしているように、活オマール=新鮮とは限りません。
シェフの熟練の技を生かすには、弱った活オマールより、鮮度をキープした冷凍もののほうがふさわしいということを理解していただきたいですね」

ただし、活オマールのほうが新鮮と思っていた料理人でも、一度「サンク・デー・オー」の商品を使ったら考えが変わるとトージェ氏。
「実際にミシュランの星付き店のオーナーなどに使っていただくと、みなさん、『なるほど』と納得して、取引が始まるケースも少なくありません」

おいしさだけじゃない


手間なく調理ができてゴミも出ない

「サンク・デー・オー」では、オマールブルーのほか、オマール・カナディアン、ラングスティーヌなども取り扱っていて、生を冷凍したものと加熱後に冷凍したもの、オマールの爪だけを冷凍したもの、あるいは殻付きと殻なしなど、いろいろなタイプの商品を揃えている。

今回の試食会では、これらを「アルカン」の専属シェフが調理。シェフによれば、たとえばオマールの場合、冷凍パックから取り出した後、軽く湯通ししてからソテーすると身の縮みが少なくてすむという。

一度軽く湯通ししてから冷水にさらし、串をさしてソテーすると美しい仕上がりに。

さっそく、オマール・カナディアンとオマールブルーを調理。
ソテーして食べ比べてみると、参加者からは「おいしい」という声とともに、こんな意見も聞こえてきた。
「どちらも食感はよいが、味の面ではオマールブルーの凝縮したうま味に対して、オマール・カナディアンのほうはやや淡白な味わいです。ただし、だからオマールブルーのほうがよいというのではなく、たとえばオリジナルソースを添えて提供する場合などは、淡白なほうがソースの味と融合してよいのではないでしょうか」
参加者の多くが、シェフへの提案やアドバイスなどを考えながら、丹念に味の分析を行っているという印象だ。

このほか、オマールの爪の身だけを加熱処理して冷凍した商品も紹介。こちらはリゾットやパンの具にアレンジしての提供となった。
下処理の手間がなく、リゾットの仕上げの際に加えるだけだったり、パンに挟んで焼くだけだったり、その手軽さも人手不足の飲食業界においては重宝されそうだ。

爪の身のみをパックにした商品はすでに加熱処理済みなので、リゾットやバゲットのほか、さまざまな料理に使えそうだ。

試食を終えた後、トージェ氏はこう締めくくった。
「オマール、特にブルーなどの仕入れ値は決して安くはありませんが、いちばんおいしい時期のものをフレッシュなまま安定供給している点を考慮すれば、高価格ではないと思っています。
それに、このほか手間なく使えてリーズナブルな商品も用意しているので、ぜひ日本のシェフには上手に使い分けていただきたいと思います」

納得のいく一品を完成させるためによりよい食材を求めるシェフは多いが、果たして本当によい食材とは何か――。それに出会うにはどうすべきか――。
加工や保存の技術が進む中、料理の世界でも、“常識”は変わるもの。
古い常識は捨てて、新しい情報を柔軟に受け入れる姿勢も時には必要だ。

オマールブルー等の問い合わせはアルカン業務食材営業部へ
TEL 03-3664-5114

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