襟立製帽所倉敷本町店 ~ 旅の思い出にこだわりの帽子を/倉敷市
倉敷美観地区の本町通りには、季節折々の帽子を年間400種類取り扱う「襟立製帽所(えりたてせいぼうしょ)倉敷本町店」があります。
岡山県内の工場で作る帽子はどれもオリジナル製品。デザインと被り心地を追求して生まれた帽子は、1960年から続く帽子作りの技術に支えられています。
帽子作りへの思いを取材しました。
本町通りにある襟立製帽所倉敷本町店
倉敷美観地区といえば、倉敷川沿いに柳が並び、白壁の通りが続く。
そのような景色が思い浮かびますが、その倉敷川から一本北に入ると、昔ながらの町並みが残る本町通りに出ます。
町家をリノベーションした倉敷帆布のかばん屋やJAZZ喫茶を眺めながら歩いていると、ガラス戸越しに帽子が並ぶ店が見えてきます。ここが襟立製帽所倉敷本町店です。
襟立製帽所は1960年に麦わら帽子の生産を始め、現在は自社オリジナルの帽子を製造・販売しています。
帽子だらけの店内
中に入るとどこを見ても帽子、帽子、帽子……。
技術スタッフがミシンを走らせて作った帽子が、ところ狭しと並ぶ店内です。年間400種類以上の帽子が並ぶと聞き、種類の多さに驚きます。
じっくり見ると他のお店では見ないデザインの帽子が目に留まります。
襟立製帽所は、デザインが技術を進歩させるという考えのもと、まずデザイナーが案を作り、その次にどう作るのかを考えるのだそうです。一見普通の帽子に見えても、つばが波打っていたり、ひだがあったりと細部にこだわりが感じられます。
ここでしか出会えない特別な帽子が見つかりそうです。
こだわりの帽子を紹介
多くの帽子が並ぶ襟立製帽所。ラインナップの一部を紹介します。
かばんにもしまえるブレード帽子
まずは定番商品のブレード帽子。
ブレードとは麻などの繊維を組みひも状に編んだ材料のことです。テープ状のブレードを帽子型に縫い合わせたものがブレード帽子と呼ばれます。
ブレードに麦わらを用いたものが麦わら帽子であり、かつて岡山県は麦わら帽子の産地でした。そうめんやうどんの産地である鴨方(現在の岡山県浅口市鴨方町)では昔から麦を作っており、その麦を使って帽子も生産していました。
「かばんにもしまえるブレード帽子」が特徴的なのは、頭部分に布地の切り替えが入っていることです。帽子に布を貼るのではなく、縫い合わせて製帽しています。この製法は技術が必要で、手仕事で帽子を作る襟立製帽所ならではだそう。
また本体部分も従来の麦よりも柔らかい紙素材のものを使っているため、折りたたむこともできます。室内で帽子を外した後にかばんにしまえるのは便利ですね。
つばの裏までおしゃれなブレード帽子
つばの内側に布を縫い合わせた帽子です。
内側に布があるタイプはあまり見かけません。
つばの先を折り曲げてちらっと柄をのぞかせる被り方がおすすめです。また、布があることで日差しをさえぎるので日焼け対策にもなるのだとか。ナチュラルな雰囲気が軽やかなワンピースに似合いそうです。
メンズの帽子も充実
襟立製帽所ではレディースだけでなく、メンズの帽子も充実しています。
男性用の帽子で驚くのは、生地の多様さです。同じバケットハット型でも、生地が違うと印象がガラッと変わります。
レディース、メンズ共に種類が豊富なため、夫婦で来店し購入する人もいるようです。
男性に人気のバケットハット型の帽子はROUBOU(ろうぼう)というシリーズ。
岡山では昔、麦わら帽子のことを労働者の帽子から「ろうぼう」と呼んでいたそうです。その呼び方から名付けられたのがROUBOUシリーズ。井原市のデニム生地のものなど、長く使い続けられる帽子がそろっています。
旅の思い出に、ここだけの帽子を買うのもすてきです。
こだわりの帽子が並ぶ襟立製帽所。
帽子作りの裏には、代表取締役・襟立重樹(えりたて しげき)さんの並々ならぬ思いがこもっています。その思いをインタビューしました。
帽子作りへのこだわりをインタビュー
細部に工夫を凝らした帽子が並ぶ襟立製帽所倉敷本町店。
帽子を作り、お客さんに届けるまでの思いを代表取締役の襟立重樹(えりたて しげき)さんに取材しました。
デザインと機能性を備えた帽子作りへのこだわり
──帽子を作る上でのこだわりを教えてください。
襟立(敬称略):
デザインと機能性を備えた帽子を作ることです。
頭の大きさって人それぞれで、頭の高さにも個人差があるんです。
例えば、ブレード帽子は硬いから、サイズが合わない帽子を被っていると耳が痛くなってしまいます。でも、頭の部分の途中に布を差し込んだ帽子なら、その人の頭の高さに合わせてサイズが調整されるので、被り心地が良いんですね。
そして、素材の間に布を差し込んで縫うというのは、うちの技術の一つです。
──技術についての考えもお聞きしたいです。
襟立:
アイデアが思いついたら、デザイナーがデザインして、実際に鴨方の工場で作ります。一般的にはできることからデザインを考えますが、うちは逆です。やはり作ることで技術は上がっていくので、思いついたものは全部作りますね。
うちの帽子は一見普通の帽子に見えるものもありますが、よく見ると縫い方に工夫があるなど、あえて手間のかかることをやっています。デザインが技術を進化させるという考えで作っています。
接客時に心がけていること
──これだけ帽子があると、迷うお客さんも多いですか?
襟立:
迷う人は多いですね。そもそもどういった帽子を選べば良いのか悩んでいるお客さんもいらっしゃいます。
お客さんにおすすめする時に大切にしていることは、デザイン以外のことも伝えることです。ここではお客さんと話をしながら、どういう時にどういう服装に合わせるのか、そういったことを伺いながら、実際に被ってもらえる帽子を提案しています。それぞれの帽子のこだわりや岡山県内で作っていることを伝えて納得いただくと、購入する人も多いです。
──店内にもミシンがあるんですね
襟立:
そうですね。店内には鴨方の工場で使っていたミシンや帽子の木型を持ち込み、棚ももともとはミシン台だったものを使っています。ただ商品を売るだけのショップではなく、空間や帽子製造の雰囲気も味わってほしいです。
実際にお客さんにも、道具を見せながら説明した方が伝わりやすい、というのもありますね。お客さんには良いものを買ってほしい。私たちは自社で作っている帽子を良いものだと思っている。
倉敷まで来て、良い帽子に出会ったならぜひ買ってほしい。そのような思いでお客さんと話しています。帽子はどんどん新しいものを作りますが、接客はこのやり方を変えずに続けたいです。
おわりに
オリジナルの帽子を自社製造し続ける襟立製帽所。
どの帽子にも細やかな工夫がされており、実物を見ながら説明を聞くと、新しい発見をしたようなうれしさがあります。
ここでしか買えない帽子もたくさんあるので、美観地区に来たらぜひ立ち寄ってください。