【ダルバート行脚】店で煮出した “ネパールミルクティー” がしみじみ美味い / 素朴&実直な料理で人気急上昇中! 大久保南口の新店「チヤガル」
「ミルクティーってこんなに美味しかったんだ」──酒飲みの筆者にしみじみとそう思わせてくれるネパール料理店に出合ってしまった。
JR大久保駅と新大久保駅周辺にはK-POPや韓流スター関連のショップや韓国料理店がひしめいているのに加え、中国料理、ベトナム料理、ミャンマー料理などなど……エスニック料理店や食材店の激戦区で土日ともなれば多くの若者で賑わっている。
ただ、それは主に大久保通沿い周辺のこと。JR大久保駅で言うと北口エリアのことで南口は人通りも多くはなく、なんなら閑散としている。
しかしながら南口エリアにも老舗系の韓国料理店や中国料理店、そしてネパール料理店もあって決して見逃せない。
・外観も内装も可愛らしい大久保の新たなネパール料理店
というわけで今回訪れたのは大久保駅南口から徒歩5分ほどのネパール料理店「CHIYA GHAR(チヤガル)」。オープンからまだ3か月ほどの新店だ。
失礼ながら「これがネパール料理店なの?」と思ってしまうような何ともお洒落で可愛らしい外観。店内もアートにあふれていてテーブルが5卓ほどと本当にカフェのような雰囲気。
ランチメニューはすべて英語表記。こういった細かなところからも異国気分を味わえる。
グランドメニューには日本語の記載もあり。さっそくダルバートを注文していこう。
ダルバートはダル(ひき割り豆のスープ)とバート(米飯)というワードの組み合わせ。ここにカレーやスパイスで味や香りづけをした野菜などのおかず(タルカリ)やピクルスのような漬物(アチャール)がついてくるネパールの国民食だ。
このメニューだと「カナセット」がダルバートと呼ばれるもの。今回は「マトンカナセット(850円)」をいだたくことにする。
カトラリーケースは蕎麦屋や居酒屋風だ。
・ダイコンの漬物はマスタードがビシッと効いた「大人仕様」
9月に入ったとはいえ、まだまだ暑くてジメジメとした日々が続いている。というわけで、まずは生ビール(480円)で乾杯。よく冷えている。
アルコールについてくるダイコンの漬物はマスタードがしっかりと効いている大人仕様。これがビールにピッタリでかなりのハイペースで飲み進めてしまった。
・素朴ながらしっかり美味いダルバート
ダルバート(マトンカナセット)が到着。料理のラインナップも器も今までで一番素朴で温かみを感じる。
左上からマトンカレー、ダルスープ、ダイコンの漬物、青菜炒め、唐辛子ベースのペースト、ライスという堅実な定食スタイル。ライスは短粒種と長粒種をミックスしているようだ。
まずは味噌汁の如くダルスープで喉を潤していく。
複数種の豆を使用していて豆の甘みが強め。スパイス感は抑え目でありながら塩気が効き、ねっとりとした食感でライスに絶対合うことをこの時点で確信してしまった。
というわけで、ダルスープをライスにかけて「ネパール式ねこまんま」を堪能していく。塩気の効いたダルスープでライスが進む。
・気になる唐辛子ペーストのお味は……
気になるのはこの唐辛子ペースト。スプーンの先に少量取って舌に乗せてみると……辛い! そしてやっぱりそうだ。巣鴨「プルジャダイニング」のダルバートにも添えられていた唐辛子ペーストとそっくりだ。
毛穴が一気に開いて汗がじんわりと出てくる。カレーがマイルドなのでこのペーストで辛さを調整するのがいいだろう。
マトンカレーは骨付き&皮付きでうま味といい意味での臭みを放っている。しっかりとした噛み応えで羊肉って改めて滋味深い味わいなんだなということを実感させてくれる。
それにカルダモンがビシビシと効いていてカレー全体が香り高い。
ダルスープ、カレー、周辺のおかずをライスに重ねて食べ進めていく。
唐辛子ペーストに加え、ビールのツマミにもついてきたダイコンの漬物がここで存在感を発揮してくれる。ダイコンがまとっていたマスタードが全体をしっかりとまとめ、味もピリッと引き締まった。
ライスとダルスープはおかわりOKとのことだったのでダルスープをおかわりして一気にかき込んでいく。ビールも飲み干して腹パン。
・店名にもなっている「チヤ」がしみじみ美味い
しかし、今回はこれでは終わらない。というか終われない。「チヤ」と呼ばれるネパールミルクティーを頼まないわけにはいかないだろう(インドで言うところのチャイ)。
ドリンクメニューにも「Chiyaはネパールのミルクティーでお店で煮出しておりオススメのおりオススメのドリンクです」と、誤植だろうが2度も念を押してオススメしてくれているのだから。
それに店名の「チヤガル」の「チヤ」はネパール語で「お茶(主にミルクティー)」、「ガル」は「家」のこと。「お茶の家」のお茶は是非とも飲んでおきたい。300円のネパールミルクティーを注文する。
数分後に店員さんが “これ” でチヤを運んできてくれた。インドで見たアレだ!
これなんて言うんだろう……と思って調べたらインドでは「チャイダーン」と呼ばれるアイテムのようだ。可愛らしくてちょっとほしくなるけど家では使わないだろうな……。
ガラスのコップは持つと熱いがそれもまた現地っぽい。異国気分を高めてくれる。
そしてチヤの味は……オススメだけあって美味い。ほんのりとした甘さとマイルドな舌触り、スパイスの香りが相まって「ミルクティーってこんなに美味しかったんだ」としみじみと思ってしまった。
カレーと同様にカルダモンがしっかり効いていて、心がリラックスするような温かみと甘さと香りが感じられたぞ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 CHIYA GHAR(チヤガル)
住所 東京都新宿区百人町1-14-7
営業時間 11:00〜22:00
定休日 月曜
執筆:ダルバート研究家・田中ケッチャム
Photo:RocketNews24
▼店の内壁には日本在住のネパール人アーティストの絵が描かれており、料理を待つ間、それらを眺めているだけでも楽しい。チヤを楽しむネパールの人々の姿も確認できる。
▼オープンからまだ3か月ほどだというが、筆者が入店してから続々とお客さんが来店してすぐに満席に。エスニック激戦区・大久保の人気店になっていきそうだ。