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TANKANESS 短歌の良さを 伝えたい 編集長に インタビュー

さくマガ

さくマガ

「短歌のすみっこを伝えるWebマガジン」
このコンセプトで運営されているのが「TANKANESS」です。運営しているのは、なべとびすこさん。会社員として働きながら、Webマガジンの運営をされています。そんななべとびすこさんにTANKANESSをはじめた理由や短歌についてうかがいました。
TANKANESSは、さくらインターネットのサーバーをご利用いただいています。ぜひ、ご覧ください。

なべとびすこさん プロフィール
歌人。短歌の魅力を伝えるために幅広く活動中。
「短歌の『すみっこ』を伝えるwebマガジン TANKANESS」編集長。
「短歌カードゲーム ミソヒトサジ〈定食〉」制作者。
その他、留学生や日本語教師、求職者など、様々な方を対象に短歌のワークショップを行っている。最近はオンラインでの短歌ワークショップも精力的に開催中。

Webを使って多くの人の短歌を届ける

ーーはじめに、なべとびすこさんが運営している「TANKANESS」がどのようなサイトか教えてください。
TANKANESSは短歌の情報を発信するwebマガジンです。コンセプトは短歌の「すみっこ」を伝えるwebマガジンとなります。
短歌の世界は広いので、どこかを中心と考えるのではなく「自分の立ち位置から見えにくい場所=すみっこ」として、それぞれが自分の立ち位置から書ける情報を発信しています。
メインターゲットは「これから短歌を始めたい人」「短歌をはじめたばかりの人」です。
* 短歌に興味がない→少し興味がある
* 短歌に興味があるけど作ったことがない→ひとつ作ってみる
* 短歌を作っているけど発表したことがない→発表してみる
など、短歌の階段をひとつ上がるきっかけになるサイトを目指しています。
具体的なコンテンツは、読者が短歌を投稿できる投稿欄、歌人の紹介コラム、短歌のイベントのレポート、短歌に関する思い出エッセイ、短歌に関するおもしろ系の記事など、短歌に関する情報ならなんでも発信しています。
ライターは短歌を詠んでいる方が半数、短歌初心者のライターさんが半数です。

ーーありがとうございます。なぜ「TANKANESS」を作ろうと思ったのでしょうか?
もともとwebメディアを見るのが好きでした。TANKANESSをはじめる1年くらい前に、朝日新聞社さんが運営しているwebメディア「withnews」に取り上げていただきました。
この記事をきっかけに私の活動を知ってくれる方が増えたので、webで発信することで多くの人に情報を届けられるのでは? と思いました。
それまでの私の活動は、学校や就労支援施設、書店やボードゲームショップなど、いろいろなリアルの場で短歌のワークショップやイベントをおこなうことでした。しかしほとんどは、私が住んでいる関西での開催になるため、それ以外の地方の方にお会いすることはできません。
さらに活動していくうちに気づいたことがあります。育児や介護で外出の時間が取れない方や、病気や障害で外出が難しい方など、いろいろな理由で対面の場に来れない方がたくさんいるんです。
私も過去にメンタル的に落ち込んでいたり、土日にも仕事があったりしたときは、そういった対面の場に行く気力はありませんでした。それでもスキマの時間でなんとなくスマホを見ることはある。というか、スマホしか見られないような体力、気力のときがあります。
webマガジンという形であれば、そんな人にもインターネットを通して短歌の魅力を届けられると思いました。いまコロナ禍で、これまで外出していた方も以前より外出しにくい時代になってきたので、より多くの方に届くとうれしいです。
ーー会社員をしながら、TANKANESSの運営をされていますが、いわゆるパラレルワークをしてみてメリットに感じたことはなんでしょうか?
趣味の延長ではじめたことなので、パラレルワークという意識はなかったですね。でも、本業に良い影響がありました。会社の社内報作成やホームページの文章作成をすることがあるのですが、TANKANESSの運営経験やライター経験が非常に役立っています。
本業にもいままで以上に本気で取り組めるようになったので、とても良かったです。

ーーオリジナルのアナログゲームを作られているのも、短歌の魅力を届ける方法なのでしょうか?

(短歌カードゲーム ミソヒトサジ<定食>)
そうです。ゲームにすれば、短歌のことが楽しく伝わるのではないかと思いました。このゲームは5文字と7文字のカードを組み合わせることで、誰でも短歌を作れます。
このゲームを通じて、短歌に馴染みがなかった方でも、短歌に興味を持ってもらえたらうれしいです。

短歌を学ぶ方法

ーー短歌をはじめたいけど、どう学んだらいいのかわからない人も多いと思います。短歌を学ぶにはどのような方法がありますか?
いろいろな方法があります。短歌教室もたくさんありますし、本を読んで独学で学ぶ方もいらっしゃいます。インターネット上で短歌を発表したり、コメントをもらえる場も増えてきました。Twitterで発信して短歌をしている人同士で交流しながら学ぶ、という方も増えていると思います。
ほかには「短歌結社」というものもあるんです。
ーー短歌結社!? はじめて聞きました。どんなことをするのでしょうか?
結社では毎月会誌を発行しています。そこに自分の作品を載せ、会員同士で批評しあいます。ベテランの歌人に指導を受けたり、会員の歌会(お互いの短歌にコメントしあう会)に参加したりすることで、短歌の技術を磨いていきます。
いろいろな結社があります。たとえば『サラダ記念日』で有名な俵万智さんは「心の花」という短歌結社に所属されています。好きな歌人が所属している結社に入りたいと思う方は多いのではないでしょうか。
とくに入会試験などはないので、会費を払えば誰でも入れます。最近ではインターネットで短歌を始めた人が結社に所属するケースも増えています。

短歌の作り方について

ーー短歌の作り方は学校の授業で習った記憶はあるのですが、長い間作っていない方も多いと思います。あらためて短歌の作り方について教えてほしいです。
短歌は基本的には五・七・五・七・七の31文字からなります。俳句と違って季語は必要ありません。
初心者向けワークショップの講師もつとめているのですが、短歌の授業では「基本的に短歌は降ってこない」とよく言っています。伝えたいことがあって、それを削ぎ落として短歌にするイメージですね。
短歌が降ってくるということは「カレー食べたいな」と思ったら、頼んでないのにカレーが勝手に目の前に現れるくらいのことです。
カレーが食べたいなと思ったら、自分で作る場合には
1. レシピを見て必要な食材をメモする
2. 買い物に行く
3. 調理する
4. 皿に盛りつける
この流れが必要ですよね。
短歌の流れで言えば
1. こんなものが書きたいなと考える
2. 素材を集める(書きたいことにまつわるキーワードなどを揃える)
3. 言葉を並べたり、入れ替えたりしながら五・七・五・七・七の形にする
4. 音や表記にこだわったり、表現の精度を上げるなどさまざまな工夫をする
くらいの工程があります。慣れていると脳内で3くらいまでは済ませられることも多いです。慣れないうちは1〜4まですべてノートなどに書き出すと良いと思います。
いきなり3から書き始めようとする方が多いです。
31文字を書くのに31文字しか素材がないとできることが限られます。とりあえず300文字くらいの文章を作ってみて、そこから大事なキーワードを見つけて、それを軸に構築しなおすほうが最初の頃は、やりやすいと思います。

なべとびすこさんがインターネットを通じて実現できたこと

ーーなべとびすこさんがインターネットを通じて実現できたことはなんでしょうか?
TANKANESSを通して、自分の行動範囲では届かない方に短歌の情報を届けられたことです。私は人生で沈んでいたときに短歌に出会って救われたので、同じような状況の人に届けばいいなと思っています。
TANKANESSの投稿欄に応募してくださる方には「はじめて短歌を作った」「投稿するのははじめて」という方もいらっしゃいます。また、短歌のイベントに行った際に「短歌は作ってないけど、TANKANESSの記事を見て来ました」という方とお会いしたこともあります。
このサイトが誰かの「はじめて」の思い出を作っていると知るとうれしいです。

なべとびすこさんオススメの短歌

ーーなべとびすこさんオススメの短歌を教えてほしいです。なべとびすこさんの作品とほかの方の作品をひとつずつ紹介してください。
宇野なずきさんの作品と私の作品を紹介します。
深海に住めばあいつは光るだろう僕は両目がなくなるだろう/宇野なずき
咲く前もさくらだったよ背景になって暮らせる才能もある/なべとびすこ

なべとびすこさんの「やりたいこと」

ーーさくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいと思っていることはなんでしょうか。それをできるに変えるために努力していることを教えてください。
TANKANESSの運営をはじめて約二年がたちました。記事数はようやく100記事弱まで増えてきました。webメディアは100記事超えてからがスタートともいわれますから、ようやくスタートラインに立てたのかなと思います。
短歌の良さを広めるためにも、アクセス数をもっと増やしてたくさんの方に読んでもらいたいですね。SNSでのバズも起こしたいです。そうすれば、これまでTANKANESSを知らなかった人にも読んでもらえますし。
そのために、おもしろい記事を増やしたいと思っています。
執筆

川崎 博則
1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子
さくらインターネット社員。1児の母。主に「さくらのユーザ通信」(メルマガ)を担当しつつ、さくマガの記事執筆や編集に関わっている。

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