2025年7月にエンジニアtypeで読まれた記事は? エンジニアの雇用縮小、“気持ちいい”レビューなど注目ワードが並ぶ結果に【ランキング】
AIの進歩が留まることを知らない昨今、日々の開発業務における「コードレビュー」の質が問われる一方で、遠くアメリカから聞こえるエンジニア受難の報はAI時代における私たちのキャリアに大きな変化が迫っていることを示唆する。また、国内に目を向けると業界を揺るがす大型買収の実態にも関心が寄せられているーー
個人のスキルから業界全体の動向まで、多角的にエンジニアの「今」を捉えた記事を公開してきた2025年7月。1カ月間に公開した記事の中から、特に読者の関心を集めた5本の記事をランキング形式で紹介する。
目次
【1位】コードレビューは「間違い探し」でも「テスト」でもない。“気持ちいいレビュー文化”が育つチームに共通すること【2位】アメリカで続くエンジニア受難。税制がもたらす影響と“AI以降”のエンジニア像を考える【西田宗千佳】【3位】「水と油でもいい」買収合意で話題のアクセンチュアとゆめみを直撃【4位】プロジェクトが止まるPMO、動かすPMO。違いは「要件定義」に出る!実例つきで徹底解説【5位】「成長の近道は、他人のPRを読むこと」米マイクロソフト・牛尾 剛が考える、バイブコーディング時代の必須スキルとは?姉妹サイト「Woman type」の7月人気記事ランキング
【1位】コードレビューは「間違い探し」でも「テスト」でもない。“気持ちいいレビュー文化”が育つチームに共通すること
コードレビューは「間違い探し」でも「テスト」でもない。“気持ちいいレビュー文化”が育つチームに共通することhttps://type.jp/et/feature/28843/
コードレビューが「怖い」「面白くない」と感じる若手エンジニアは少なくない。だが、レビューとは本来、仲間とプロダクトを育てていくためのポジティブなプロセスである――
そんな原点に立ち返らせてくれるような対談が、2025年7月の1位となった。
インタビューに応えてくれたのは、“納品のない受託開発”を掲げ、プロダクトと10年単位で向き合い続けるソニックガーデンのプログラマー・伊藤淳一さんと石崎海渡(ざっきー)さん。チームでより良いプロダクトを育むための“気持ちいいレビュー文化”の醸成に迫った。
伊藤:コードはコードにしか過ぎず、「自分が書いたコード=自分自身」ではありません。
でもエンジニアを始めたばかりの人は、「コメントが何もつかなければ百点」「何か言われたら減点」といった風に、コードレビューを学校のテストのようなものだと感じやすい。そうやって“減点方式”で捉えてしまうと、仮に指摘を受けた際、「自分は間違っていたんだ」「ダメ出しされた、自分はダメだ」とネガティブな気持ちになってしまいます。
なので、先輩が「そうじゃないんだよ」とちゃんと伝えてあげることが大事なんです。コードレビューはあくまでも「コードを良くするためのやり取り」であって、コーディングテストとは違います。
ざっきー:パッと見て少し変に見えるコードがあっても、「何か理由があるはずだ」という前提で「どうしてそうしたの?」と聞くことが大事ですよね。コードレビューを行う際には、まず「正しいか/間違っているか」という意識を切り離した方がいいと思います。
【2位】アメリカで続くエンジニア受難。税制がもたらす影響と“AI以降”のエンジニア像を考える【西田宗千佳】
アメリカで続くエンジニア受難。税制がもたらす影響と“AI以降”のエンジニア像を考える【西田宗千佳】https://type.jp/et/feature/28819/
アメリカで続くソフトウェアエンジニアの雇用縮小やレイオフについて、その要因を深掘りした本記事。
AIによる代替だけでなく、税制改正「セクション174」がもたらす影響にも焦点を当て冷静に分析。エンジニアの役割が再定義されつつある現状と、日本への影響についても考察されている。筆者はITジャーナリスト・西田 宗千佳さんだ。
アメリカの労働力に関する調査を専門とするRevelio Labsの調べによれば、2023年第1四半期から2025年第1四半期にかけて、アメリカでのソフトウェア開発者の求人件数は70%以上減少したという。
だが、全ての原因をセクション174に帰結させるには、証拠もロジックも足りない。むしろ現在は、AIの急速な進化との兼ね合いで、ソフトウエアエンジニアの仕事や役割自体が再定義されつつあるという、特より複合的な現象が起きているのではないか……とも考えられるのだ。
AIはその一部を補完してくれるが、プロセス全体をこなしてはくれない。たとえ開発効率が上がっていくとしても、根底で必要とされるスキルがあることに変わりはないわけだ。
そう考えれば、これから起きるのは「AIによってエンジニアが不要になる未来」ではなく、むしろ「ソフトウエアを作るために必要な、本質的スキルを持つ人材の重要性が増していく未来」ではないか。
【3位】「水と油でもいい」買収合意で話題のアクセンチュアとゆめみを直撃
「水と油でもいい」買収合意で話題のアクセンチュアとゆめみを直撃https://type.jp/et/feature/28771/
以前エンジニアtypeでも取り上げて、大きな反響を呼んだゆめみの「原則出社」宣言に関する代表・片岡俊行さんへのインタビュー。7月には「ゆめみ、アクセンチュアによる買収に合意」というニュースの裏側を探るべく、再び片岡さんを直撃。しかも今回は、アクセンチュア ソングのマネジング・ディレクターである番所浩平さんとの対談だ。
自由で自律的なエンジニアファースト企業として知られるゆめみが、巨大コンサルティング企業であるアクセンチュアの傘下に入ることで、「ゆめみらしさ」が失われるのではないかーーSNSを中心に飛び交ったそんな懸念も飛び交うが、買収に至った背景、文化の融合、そして今後の展望について、両者の本音を聞いた。
片岡:ゆめみのビジョンとソングが掲げるビジョンはかなり近いです。先ほど話に出た「世界中で使われるサービスを作っていきたい」というのも、もともとゆめみとして持っていたビジョン。そこが一致していることがまず大きいです。
われわれも過去、グローバルなサービス・デジタルプロダクトを作ってきましたが、本当の意味で革新的に顧客体験を変えるためには、プロダクトを作るだけではダメだと痛感してきました。
(中略)
ですから、かねてからパートナーの必要性を感じていて、パートナーシップを検討していました。ビジョンが一緒で、かつそうした機能を保有するアクセンチュアと一緒にやっていこうとなったのには、そういう背景があります。
番所:社風が違う、カルチャーが違うということがXでも言われているので、おそらく気にされている部分だと思うのですが、僕からすると「そんなの当たり前でしょ」というのが受け止め方で。違うことのどこに問題があるのかが全く分からない。というのも、ソングはこれまでにも、いろいろな企業のV&Aをやってきていますから。
【4位】プロジェクトが止まるPMO、動かすPMO。違いは「要件定義」に出る!実例つきで徹底解説
プロジェクトが止まるPMO、動かすPMO。違いは「要件定義」に出る!実例つきで徹底解説https://type.jp/et/feature/28828/
『DX時代の最強PMOになる方法』の著者である甲州 潤さんによる人気連載が、7月もランクイン。
今回はプロジェクトの停滞を招くためには「要件定義」と「管理」の混同を避けるべきと強調。ワンランク上を目指すPMOにとって、プロジェクトのリーディングを担うエンジニアにとって、示唆に富む内容となっている。
管理を行う際に重要なのは「とにかくプロジェクトを前進させること」です。例えばPMOによっては、「作業終了 → 報告 → 有識者のレビュー → レビュー結果反映 →正式な完了」と流れを決めると、「この流れを完璧に守らねば」と思ってしまう人もいます。
しかしそれだと、もし有識者が一人しかいない場合、レビューが集中して流れが滞ることもありますよね。その場合、プロジェクトを停滞させないため臨機応変に流れやルールを「あえて変える」選択をするのも、管理の一部なのです。
ちなみに私なら、有識者レビューは当初のフローには含めず「作業完了」まで行い、その後、有識者レビュー、指摘修正を行うというタスクの組み換えを検討すると思います。
【5位】「成長の近道は、他人のPRを読むこと」米マイクロソフト・牛尾 剛が考える、バイブコーディング時代の必須スキルとは?
「成長の近道は、他人のPRを読むこと」米マイクロソフト・牛尾 剛が考える、バイブコーディング時代の必須スキルとは?https://type.jp/et/feature/28864/
GitHub CopilotをはじめとするAIツールによるコーディングが広く浸透し、開発生産性が急速に高まりつつある。そんな中、「AIに頼るばかりで、本当に実力が身に付いているのだろうか?」と、漠然とした不安を感じているエンジニアもいるのではないだろうか。
米Microsoftのエンジニア・牛尾 剛さんもまた、自身の生産性に深く悩み、「開発スピードがくっそ遅い」と感じていたという。そんな彼のモヤモヤを取り払った、コードを書くよりもまず他人のPRを徹底的に読む学習法「ディープコードリーディング」に関する記事が、2025年7月のベスト5にランクインした。
バイブコーディング時代、エンジニアにとって「読む力」がなぜ重要となるのか。その理由を、牛尾さんに語ってもらった。
姉妹サイト「Woman type」の7月人気記事ランキング
【7月人気記事】SUPER EIGHT横山裕、来栖りん、三浦しをん、野呂佳代、ジコリカイ・阿部和也https://woman-type.jp/wt/feature/41310/
エンジニアtypeでは日々、技術やキャリアに関する情報をお届けしているが、時には全く異なる分野で活躍する人の価値観に触れることで、新たな気付きが得られることもある。
姉妹サイト「Woman type」では、さまざまなフィールドの著名人のインタビューを紹介している。その中には、エンジニアにも通じるような、仕事観やキャリアへの向き合い方が見えてくる記事も少なくない。
25年7月の人気記事ランキングが公開されているので、ぜひチェックしてほしい。
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