グラングリーン大阪南館がグランドオープン。 ”うめきたエリア”のさらなる活性化に期待
3月21日(金)グラングリーン大阪南館がグランドオープン
2025年3月21日(金)、グラングリーン大阪南館がグランドオープンを迎えた。
南館は55店舗のショップ&レストラン、2つのホテルや最新のオフィス、ウェルネス施設、国際会議に対応するMICE施設など、多彩な機能で構成されている。
グラングリーン大阪の計画コンセプトは、「Osaka MIDORI LIFEの創造」~「みどり」と「イノベーション」の融合~。まちでの出会いが、様々な価値を創造し、社会全体を持続的に良くしていくことを目指している。
南館の開業により、街全体の機能が整備されたので、今後はこのビジョンを具現化するために、5つのアプローチを似て、本格的に推進されていくことになる。
グラングリーン大阪は、約4万5,000m2の大型都市公園「うめきた広場」を中心に、北街区と南街区の3つのエリアで構成されている。都心の駅前にこれほどの規模の都市公園を設ける再開発は、日本国内では極めて希少な取り組みであり、大阪駅周辺の都市価値向上に寄与することが期待されている。
グランフロント大阪やグラングリーン大阪をはじめとする「うめきたプロジェクト開発」は、数多くの人を呼び込み、大阪駅周辺の不動産価値向上に大きく貢献してきた。グラングリーン大阪も、国内外のさまざまな人々をひきつける国際交流拠点としての機能を担い、さらなる地域価値の向上が見込まれる。
実際、地上46階、総484戸のタワーマンション「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE」は、関西の新築分譲マンションの平均坪単価としては最高水準の高単価であったにもかかわらず、2024年2月の販売開始からわずか4ヶ月で完売し、平均倍率約19倍という高い人気を誇った。このことからも、当該エリアのポテンシャルの高さが明確に示されている。
今回は、うめきたプロジェクトのこれまでを振り返りながら、グラングリーン大阪の将来展望について考察する。
大阪北エリア開発の先駆けとなったグランフロント大阪
グランフロント大阪は、「うめきた」エリアの先行開発区域(うめきた1期エリア)として、2013年4月に開業した。
かつては、広大な空地であった、JR貨物・ 梅田貨物駅 跡地が、最先端のオフィスや商業施設へと再生したことで、大阪駅周辺の都市構造が大きく変容した。
グランフロント大阪は、JR大阪駅直結という利便性に加え、さまざまなイベントを通じて多様な来訪者を誘致する施策を展開してきた。例えば、グランフロント広場に白い砂を敷き詰めたビーチバレーボール大会や、冬季のアイススケートリンク「ウメダ★アイスリンクつるんつるん」、大相撲三月場所に合わせた「うめきた場所」など、誰もがワクワクする多彩なイベントを定期的に実施してきた。その結果、開業5年目で延べ来館者数2億5,000万人を突破し、年間5,000万人が訪れる場所になっている。
グランフロント大阪が誕生した2013年は、アベノミクスによる経済成長戦略が進み、株価上昇や公共事業の増加、さらに東京五輪・東京パラ五輪の開催決定など、日本都市開発の動きが活発化した年でもある。グランフロント大阪は、その後の大規模再開発ラッシュを予感させる象徴的な存在であった。
こうした背景のもと、グランフロント大阪南館の公示地価は、2013年の847万円から、2020年には2,500万円と、約3倍に上昇。関西で一番高い公示地価の場所となり、大阪駅周辺の不動産価値向上を牽引した。
その後、コロナ禍によるインバウンド需要の低迷で一時的に下落したものの、現在は回復基調にあり、2025年には2,430万円と、ピーク時にほぼ匹敵する水準へと回復している。
大阪駅前の景色を一変させた、グラングリーン大阪先行まちびらき
2024年9月、グラングリーン大阪の先行まちびらきは、大きな話題を呼んだ。大屋根イベントスペースを擁するサウスパークやノースパークの一部、さらに、キャノピーbyヒルトン大阪梅田や商業施設等が入居する「ノースタワー」が開業し、大阪駅前の景色が一変。西日本最大のターミナル駅、JR大阪駅前に誕生した広大な「うめきた広場」は、多くの市民や観光客に驚きをもって迎えられた。
都心のオアシスのような魅力的な空間であるが、この開発の真価は、単なる公園整備にとどまらず、街全体の美観と機能を統合する点にある。(一社)うめきたMMOが公園の指定管理者として、パークマネジメントとまち全体のエリアマネジメントを一体的に進めることで、人々の交流の場としての活用が推進されている。
サウスパークでは、音楽イベントや水盤を利用したファッションショー、冬のイルミネーションなど、半年間で約50件以上の多彩なイベントが実施された。平日・休日を問わず、幅広い世代が訪れ、先行まちびらきからの来場者はすでに1,000万人を突破。都市の新たなシンボルとして、確実に根付いてきている。
また、環境面でも注目すべき成果を挙げている。グラングリーン大阪は生態系ネットワークの形成も目標に掲げているが、2025年3月現在、鳥類7種類、昆虫類7種類の生息が確認されている。加えて、オフィスリーシングも好調で、総貸付面積約11万1,000㎡のうち、約9万5,000㎡(約85%)が内定見込みとなっている。こうした動向から、グラングリーン大阪のプロジェクトが順調な滑り出しをしているのは明らかだ。
2024年7月にオープンしたKITTE大阪やバルチカ03などの影響もあり、大阪駅西側の商業エリアは活況を呈している。うめきた広場では、家族連れや会社員、学生、観光客が思い思いに過ごす風景が生まれつつある。先行まちびらきによって人々の動きや街との関わり方が大きく変化してしているのを実感する。
国際交流拠点となるグラングリーン大阪南館
先日オープンしたグラングリーン大阪南館は、「パークタワー(地上39階・地下3階)」、「ゲートタワー(地上18階・地下3階)」、「サウスタワー(地上28階・地下3階)」の3棟から成り、独創的なキューブ型の建築デザインが都市の景観に新たなアクセントを加えている。
この南館の最大の魅力は、JR大阪駅とうめきた広場に直結する利便性と、世界とつながる国際都市機能を備えている点だ。
商業施設には、関西初出店の店舗を含む55のショップ&レストランが集結し、多彩なショッピングやグルメ体験が楽しめる。さらに、アジア初進出の大規模フードマーケット「タイムアウトマーケット大阪」では、7店舗と2つのバーが、関西の食文化を発信する。日本初出店となる最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪(252室)」や「ホテル阪急グランレスパイア大阪(482室)もオープンし、都市型MICE施設「コングレスクエア グラングリーン大阪」とともに、国際的なビジネス・交流拠点としての機能が強化された。
南館には、最先端オフィスが整備され、国内外のクリエイティブワーカーが集う場所として注目されている。充実したワークプレイスも特筆すべき点で、「カフェラウンジ」「ワークスペース」「ダイニングラウンジ」「子育て支援施設」など、柔軟な働き方を支援する環境が整えられている。また、うめきた公園では、ウェルビーイングに配慮したワークプレイスやイベント空間・憩いの場が整備されるなど、グラングリーンならではのワークライフが実現するだろう。
さらに、都市型スパ「うめきた温泉 蓮」では、天然温泉や公園を望むインフィニティプール、本格的なジムが整備され、健康・美容・リラクゼーションのウェルネス拠点として機能する。
このように、南館は、国内外の観光客のみならず、大阪で暮らし、働く人にとっても魅力的な場所となっているのだ。
グラングリーン大阪が、大阪を国際都市へと進化させる
南館のオープンから3日間で、グラングリーン大阪全体の来場者は70万人を超え、街のにぎわいは一層加速している。これにより、グラングリーン大阪全体の約70%が完成したことになり、2027年春の全面オープンに向けて期待が高まる。
うめきたエリアの都市開発が国際交流拠点として成功するかは、経済活性化や周辺不動産価値の向上といった側面にかかっているが、追い風となる要素は多い。
まず、2025年4月に大阪で開幕する国際博覧会だ。大阪府はニューヨーク・タイムズの「2025年に行くべき52カ所」に選ばれ、さらに「グラングリーン大阪」が「Game changing project(都市の在り方を変える革新的なプロジェクト)」として取り上げられているため、開催期間中に世界から訪れる観光客が「グラングリーン大阪」に足を運ぶと考えられる。観光客がSNSなどで世界に魅力を発信することで、さらに注目が高まりそうだ。
また、大阪市は、スーパーシティ型国家戦略特別区域に指定されており、「うめきたエリア」は、先端的サービスの導入と規制改革を通じて、未来都市としての機能を高めていく方針だ。
加えて、2031年に「なにわ筋線」が開通(予定)すれば、関西国際空港から大阪駅が直結するので、インバウンドのアクセス利便性が飛躍的に向上する。
さらに、大阪駅周辺では、「大阪丸ビル」の建て替え工事(40階建ての複合商業ビル、2030年完成予定)や新阪急ホテルと梅田駅直結の阪急三番街、阪急ターミナルビルを一体開発する「芝田1丁目計画」(2035年頃完成予定)など、大規模再開発が進行中で、これらが相乗効果を生み出し、大阪の都市力をさらに押し上げることが期待される。
グラングリーン大阪をはじめとした「うめきたエリア」の再開発が成功すれば、都心のターミナル駅前に広大な公園を有する都市開発のモデルケースとして全国に波及する可能性がある。その未来を見据えつつ、この街のさらなる進化に注目していきたい。