【掛川・小笠山&六枚屏風】まさに秘境! 高さ10mの天然の切り通しは圧巻
今回の低山登山は、静岡・掛川市の小笠山にチャレンジしてきました。丘のように低い山ですが、複雑な地形と多様な植物群を有することから、「静岡の百山」にも選ばれています。さらに、頂上の先には知る人ぞ知る絶景が待ち受けているんです!
小笠山ってどんな山?
今回訪れた小笠山は掛川市にある標高264.8mの山です。袋井市と隣接しており、北西には小笠山総合運動公園「エコパ」があります。
小笠山は1991年に刊行された「静岡の百山」(静岡百山研究会編)にも紹介されており、山域はハイキングスポットとして地元の人たちに親しまれています。
掛川市の富士見台霊園からスタートする周回コースや、小笠山の南側にある小笠池を周回して小笠山山頂を目指すコースなどがありますが、今回は、小笠神社の駐車場から出発する、もっとも所要時間が短いコースを選びました。
●今回の低山登山DATA
登った山:小笠山
標高:264.8m
タイム:約1時間50分
距離:約2.6km
702年創建の古社・小笠神社を参拝
ではさっそく、低山登山のスタートです! 小笠神社の駐車場を出発して一つ目の鳥居をくぐります。
案内板があったのでチェックします。
今回はまず小笠神社に向かい、多聞天神社、小笠山山頂を通って小笠山山頂の北東にある六枚屏風を目指します。
神社までのルートはほぼ石段です。がんばって登りましょう。
約10分で小笠神社に、着きました。小笠神社は文武天皇の命で702年に創建されたとされています。
事解男尊(ことさかおのみこと)、伊弉册尊(いざなぎのみこと)、速玉男尊(はやたまおのみこと)の3柱の神様をお祭りしています(神様は「柱」と数えます)。
毎年11月第1日曜日に行われる矢矧祭(やはぎさい)は創建時にはじまったと伝えられる神事で、神主が桑でつくられた弓で破魔矢を放ち、それを氏子たちが競って取り合うそうです。一度見てみたいですね!
家康公ゆかりの史跡を経て小笠山山頂へ
小笠神社の社殿向かって左手は展望広場になっていて、トイレもあります。
景色を見ながら水分補給し、再び歩きはじめます。
なだらかな登山道を進むと「小笠山砦」と書かれた標識がありました。「徳川家康が掛川城と高天神城とを攻めた時につくった砦である」とあります。
別の看板によると、徳川家康が掛川城の今川氏真を攻めたときに陣を置いたそうです。
「笹峰御殿跡」という案内板もありました。掛川城と高天神城を攻めたときに、家康の陣屋がここにあったそうです。
どうやら小笠山は歴史好き、城好きにもたまらないスポットのようです。
さらに進むと再び神社が。こちらは多聞神社です(案内板では「多聞天神社」となっていました)。
小笠神社の矢矧祭で氏子たちが競って取った矢は、こちらに奉納されるのだとか。
小笠神社の北西側の鳥居を抜けて山頂方面へ向かう途中、両側が崖で切れ落ちた細い道がありました。慎重に進みます。
平らな場所に行き着きました。小笠神社の駐車場から約30分、小笠神社から約20分、頂上に到着です!
国土地理院の三角点と頂上であることを示す標識があるのみで、ベンチなどはありません。眺望もありません。
でも安心してください。先にお伝えすると、このあと、ものすごい絶景が待ち受けています!
絶句! 六枚屏風の奇観はまるで異世界
小笠山山頂で小休止したら、いざ、今回の真の目的地・六枚屏風へ!
頂上から登山道に戻り、西に少し進みます。六枚屏風方面の道標があるので、右に折れてずっと下っていきます。細い道が続き崖もあるので注意しましょう。
ところどころ木々にロープがわたされていました。ありがたいですね。ロープに手をかけ、足もとに気を配りながら歩きます。
「六枚屏風」の案内板がありました。「この先転落事故が発生」の注意書きを読み気を引き締め、張り出している木の下をくぐって慎重に斜面を下りていきます。斜面を下りきると、右手から涼しい風が吹きました。その方向に目を向けると。
なにこれ、すごっ!
あまりの奇観に言葉を失いました。
低山登山の前にはかならず、インターネットや登山アプリでルートを調べています。この六枚屏風も事前に写真で見てはいたのです。でも、写真で見るのと実際に目にするのとでは、迫力がぜんぜん違います。
六枚屏風のスケール感をお伝えしたいため、たて長の画像も撮影。
高さ10mほどの岩の壁に、人が一人ようやく通れるほどの裂け目。この天然の切り通しは、雨に浸食されてできたそうです。
きっと気が遠くなるほどの月日がかかってこの景観になったのでしょう。ファンタジーの世界に迷い込んでしまったような気持ちになりました。
なお、裂け目は数十mほど続いているそうですが、この先に登山道はありません。また落石の恐れなどもあるので、あまり進まず戻りましょう。
裂け目の表面には石が無数に飛び出していました。これは赤石山地から運ばれてきた礫岩(れきがん)からなる「小笠層群」という地層だそうです。
一見の価値あり ただし万全の装備で
六枚屏風の迫力をじっくり堪能したところで、来た道を戻ります。
小笠山山頂からここまで、ずっと下りでした。つまり、六枚屏風から小笠山山頂まではずっと上りということです。
すれ違いが難しい箇所も多いので慎重に足を運びます。
六枚屏風から約30分、小笠神社展望広場に戻って来ました。筆者は写真を撮りながら進んでいるため30分ほどかかっていますが、写真をあまり撮らない人であれば、もう少し短い時間で戻ってこられそうです。
今回の低山登山では、小笠山と六枚屏風を紹介しました。小笠山は標高は低いものの自然豊かで徳川家康ゆかりの史跡もあり、見応え十分です。
そしてなんといっても、六枚屏風は一見の価値があります。ただ、両足の幅ほどしかない細い道や、傾斜がきつくすべりやすい場所もあります。登山に適した服装と装備で、くれぐれも無理なく、安全にチャレンジしてください。熱中症対策もお忘れなく!
!CAUTION!
◎各所に案内看板がありますが、道迷いの可能性がまったくないわけではありません。特に分岐では、地図や登山アプリなどでルートを確認するのを忘れないようにしてください。
◎低山とはいえ、山は山です。適切な服装と装備で楽しんでください。
◎時期や天候によってコースの状況が変わっている可能性があります。インターネットなどでできるだけ最新の状況を確認するようにしてください。
◎静岡県内でもクマが目撃されています。低山でも油断せず、クマ鈴、クマ撃退スプレーを携帯しましょう。