夏アニメ『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』第3期 加藤 渉さんインタビュー|第25話(3期1話)は「俺たちにも想像できないぞ!」 第3期はアニメファンも原作ファンも未知の体験に
ついに第3期の放送がスタートしたTVアニメ『君のことが大大大大大好きな100人の彼女(以下、100カノ)』。神様から「高校で出会う運命の人は100人いる」と告げられた愛城恋太郎。しかし運命の相手と愛し合って幸せになれなければ死んでしまうという……。果たして、恋太郎は運命の人全員を幸せにできるのか!?そんな“DEAD OR LOVE”な新感覚ラブコメの本作、TVアニメ『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』について語ってもらうインタビュー連載がスタート。
第1回は、この作品を3シーズンにわたって深い愛情と熱量を持って演じている愛城恋太郎役の加藤 渉さんが登場!
【写真】『100カノ』第3期まで演じ続けた恋太郎役だから語れる作品の魅力|加藤 渉さんインタビュー
第25話(3期1話)のサプライズ! このあとも予想がつかない第3期
──先日行われた第3期先行上映会でも第25話(3期1話)は上映されました。ファンの熱気がすごかったですね。
愛城恋太郎役 加藤 渉さん(以下、加藤):上映会の会場が、第1期、第2期、第3期とどんどん大きくなっているんですよね。しかもすぐに完売したというお話を聞いて、それがすごく嬉しかったです。クールを重ねるごとに応援してくださる方の母数が増えて、熱量も増していっているので、作品を押し上げてくださる力を感じますね。
──私もその場にいましたが作品の盛り上がりをとても強く感じました。
加藤:昨年10月に開催された「スペシャルイベント~ありがと、大好きになってくれて~」で第3期の制作決定が発表されたんですけど、その時の熱気が凄まじくて、その熱量を持った方々が、今回もたくさん応募してくださったんだろうなと感じているんです。そういう積み重ねがあるからこそ、この作品には第25話のような度肝を抜く構成も受け入れる土壌ができているといいますか。
第1期からアニメオリジナルの要素だったり、原作にひと味加えた演出はあったんですけど、佐藤 光監督とシリーズ構成のあおしまたかしさんとプロデューサーの方々が、バランスを見ながら原作サイドと相談をし、アニオリ要素を増やしていったんじゃないかなと個人的には思っているんですよね。
これは僕が5時間かけて書いたnoteのほうも是非読んでいただきたいんですけど、第1期は基本的に原作に忠実なアニメ化で、第2期は新ヒロインを登場させるにあたって、全員のバランスを取るために、どうしても省略せざるを得ないエピソードが発生してしまうけど、その上で構成として美しく見えるようアレンジをしていて。具体的には、原作ではもう少し手前にあった “愛の演説”のエピソードを最終回に持ってきて、原作ではまだ彼女になっていなかった美々美先輩と愛々ちゃんの要素が足されていたり。それが第3期になり、第25話Aパートからこういうことをするわけですよ(笑)。
──まだ出てきてもいないキャラクターがいきなり彼女として登場する。ちょっと後のエピソードを先に見せてしまう構成ですね。
加藤:これを見せられて、このあとどうなっていくんだろうみたいな。第2期の感じで、それがより進化するとなったら、もう俺たちにも想像できないぞ!って、原作を読んでいて第2期も観られていたファンの方は感じたと思うんです。その面白みが第3期にあると思うので、アニメだけを観ている方も、原作から応援してくださっている方も、未知の体験ができるのではないかなと思っています。
──恋太郎が彼女の魅力を早口で語るセリフもありましたね。第2期最終回の“愛の演説”を思い出しました。
加藤:台本を見て、ここは早回しになるのかなと思ったのですが、事前にリハーサルビデオを見て無理矢理セリフを早口で読んでみたら、ぎりぎり尺に収まったんですよ。でも、ほんとにぎりぎりだったので、これは早回し想定のセリフなのか、そうじゃないのか、どっちなんだ?となっていたんです。ただ、早回しなしの想定なら僕もそれに備えなければならないので、めちゃめちゃ準備をして収録に臨んだんです。そしたらテストで全部早口で言えちゃったんですよ。でも本番では演出方針が変わり、結局ひとセリフずつ区切って収録し、編集で繋げることになったという、少し苦い思い出になりました。
──でも、あれをテストだけでも言えていたというのはすごいです。そのあとの怒る恋太郎も素敵でした。
加藤:第1期と第2期にも同じような恋太郎のシーンがあったんですけど、恋太郎であの怒声を出すのが好きなので、今回もあって嬉しかったです。
──『100カノ』は、“愛の演説”のギネス世界記録(※「日本語アニメで最も長いセリフ」としてギネス世界記録に認定された)などが象徴的ですけど、「すごくぶっ飛んだアニメがあるらしい」という噂が広がり、輪も大きくなっている気がします(笑)。
加藤:なんか懐かしい熱量を持った作品のような気がしますよね。2000年代後半から2010年代前半のノリというか。
中村力斗先生がそういうのが好きでやられているのかなと思っていて、先程お話ししたように、そこにアニメも先生にご監修いただいた上でアレンジを加えているんですよね。なのでここまでのことができているのかなと思っています。
しかもクリエイターさんも凄い方が多くて、例えばEDアニメーションを第1期、第2期に続き、いもむしさんが担当してくださっています。楽曲も、複数のクリエイターさんの合作になっていたりするんです。これが某動画サイトの文化を通ってきた世代のひとりである自分のようなオタクには精神的な親和性が高くて。その他にも第26話Aパートの育と羽々里さんの尻太鼓とかも、音に映像をはめて遊んでいる感じがするし。だから、平成を取り戻せ!みたいな感じがあるのかなと思っちゃうんです。いつかそういう視点で『100カノ』を批評してほしい気持ちもあります。
これまでに登場したヒロインの魅力を加藤さんならではの視点で語る!
──この凄まじい勢いの作品を、主人公の愛城恋太郎役として、ド真ん中で支えてきたのが加藤さんだと思いますが、改めて、恋太郎を演じてきた感想をお願いします。
加藤:オーディションを受けたときに、そのときの原作の最新エピソードまで読んでいたんですけど、第3期となると、僕が当時アニメで演じることを想定していなかったエピソードにまで辿り着いた感じがするので、ここまで来たのかという感慨があります。ちなみにそれが先程話した、第25話Aパートのところになります…。
──ついに第3期まで来ましたからね。
加藤:第2期の後半に登場したヒロインたちって、どうしても出番が少なくなってしまうんですけど、僕はそれを惜しいなと思っていたんです。でも、第3期が決まったことで、その後半に登場したヒロインたちが活躍できることになったので、それが嬉しいです。第26話のBパートは、それこそ美々美先輩と愛々ちゃんが活躍していたので、すごく熱かったですね。
少し話が飛ぶのですが、第3期は先程話した通り、昨年のスペシャルイベントで発表されたのですが、そのとき、お客さんから声援というか轟音のような歓声が上がったんです。そのあとの登壇者コメントで、Lynnさんが「こんなにもこの作品を愛してくださる方々がいることを、実際に受け止めることができて本当に嬉しい」というようなことをおっしゃられていたんです。それで、その熱量みたいなものが第3期の収録のモチベーションにもなっていたのではないかと個人的に感じています。つまり、第2期以上に、第2期から登場した方々が伸び伸びとされている。特にそれを美々美先輩に関しては、強く感じたんです。
──演技にも影響する体験だったんですね。
加藤:美々美先輩は「ビシッ」とか「ふふーんですわ」といったセリフの伸びが増していて、よりきれいで美しくなっているんですよね。あと、進藤あまねさんが演じている胡桃にもそういったところを感じていたりします。
で、この話をすると第3期から登場するヒロインたちの出番はどうなのかとなると思うのですが、もちろん後半に登場したら出番は限られてくる部分はあるけれど、インパクトはむしろ強くなっていく印象がありました。これに関しては土呂瀞騎士華先輩がとにかくすごいので楽しみにしていてください。
──ちなみにどのあたりがすごかったのですか?
加藤:騎士華先輩はまだキャストが発表されていないのですが、とにかくキャストの方の発声が素晴らしくて。それは僕だけでなく羽香里役の本渡 楓さんもずーっと言っていました。それくらい本当に素敵だったんですよね。本人に直接伝えられたかどうかは定かではないんですけど、こんなインパクトを感じたのは、羽々里さん以来でした(笑)。
──話を聞いていると、どんどん現場が育っていっているような感じもしますね。ファンの熱量を受けて、それがアフレコにも反映されて、その演技を見た新たなキャストが、そこを超えようとインパクトを残していくような。
加藤:そうですね。だから石原夏織さんも先行上映会でおっしゃられていましたけど、最初は戸惑いも大きいんです。第1期から登場した我々は、原作をアニメにするにあたって、どうアニメ独自の魅力を出していけばいいのかみたいなことを手探りで積み重ねてきました。それは監督の中でもそうだと思うんですけど、その方向性みたいなものが、どんどんどんどん固まっていってるというか。方向性がはっきりしたからこそ、それまで登場してきた人は、よりマッシブになっていく。で、第3期から登場する方は、マッシブなものに対して参加するから、最初は不安や戸惑いが大きいのかもしれないなって思います。
──でも、その戸惑いを抜けると、自分もここまでやっていいんだとマッシブになっていくという、良い循環が生まれている気がします。
加藤:しかもみんな別に飄々と演じているわけではなく、試行錯誤して苦労して演じていることがわかる現場なので、戦っているのは自分だけじゃないと思えるというか(笑)。一緒に頑張ろうと思える現場なんですよね。
──では、第3期から『100カノ』を観始めた方に向けて、加藤さんならではの視点で第2期までに登場したヒロインの魅力を教えてください。
加藤:まず『100カノ』って名は体を表していることがほとんどなんですけど、花園羽香里は、「むふっ」なことに興味があって、謀(はかりごと)=完璧な計画によって意中の相手に対し好意を効率的に伝えようとします。でも、その計画は大抵失敗するところがかわいらしいです。個人的に、慮(おもんぱか)るという意味もあると思っていて、彼女は高校1年生だけど、年齢関係なく母性を備えている人なのかなと思っています。……ちょっと長くなり過ぎてしまったので、先行上映会のチャレンジ企画のために考えてきたメモから答えていってもいいですか?(笑)。
──第2期までに登場した11人のヒロインの魅力を合計100秒以内に答える企画でしたね。では、加藤さんが考えるそれぞれの彼女のかわいいところをひと言ずつお願いします。
加藤:院田唐音は、恥ずかしくなると意外にもあわあわしちゃうところが本当にかわいいです。好本 静ちゃんは、ナチュラルにハイセンスなユーモアを持っているところがかわいいです。栄逢凪乃は、ひとりごちるようなセリフに醸される、どこか儚げな一面がすごくいいなと思っています。薬膳楠莉先輩は、喜怒哀楽が全身に表れるところが魅力的です。花園羽々里さんは、誰かのためだけに尽くしてきた時間が長かったぶん、今ありのままに過ごせていることを思うと嬉しい気持ちになります。原賀胡桃は、実は一番常識人な上に、みんなからかわいがられているところがかわいいです。銘戸芽衣さんは、照れたときも仕草がおしとやかでかわいらしいところがかわいいです。須藤 育は、元気なだけじゃなく、相手を思いやるときは静かに寄り添えるところが魅力です。美杉美々美先輩は、人の美徳にいち早く気付けるところがかわいいです。華暮愛々ちゃんは、人の感情を伝えるのに重要なパーツである目が隠れた状態でも、笑顔が本当に素敵なんです。
愛々ちゃんに関しては少し長くなっちゃうんですけど、先行上映会で高尾奏音さんがおっしゃっていましたが、第3期は、第2期よりファミリーと打ち解けている感じがするんです。本当にみんなといるときにニコニコしていて、閉じ口でなく開き口で笑っていることが多いんです。それは新聞部も美人だと思って気になるよなと思いました。だから開き口の笑顔が魅力です!
──せっかくなので、登場したばかりの伊院知与についても聞いていいですか?
加藤:知与ちゃんは、共感する人が多いヒロインな気もしていて、自分がしっかりしなきゃと思う家庭環境とかを体験されている方もいると思ったんですよね。で、魅力というと、年齢以上にしっかりしようとしているところと、年相応の幼さが共存しているところがかわいいです。
第3期から登場するヒロインの魅力と『100カノ』に期待してほしいこと
──伊院知与とのやり取りで印象に残っているところはありますか?
加藤:恋太郎は、ヒロ叔父さんの思惑があっての告白を一度断ってるんですよね。そのとき「知与ちゃんの気持ちに関わらず、周りの人間の誘導でさせられた恋なんて……。恋は他人やしがらみに左右されず、どこまでも自由で、本人の気持ちのままにあるものだからこそ、“本物”で美しく尊く“大切なもの”だと思うんです」と言うんです。
恋太郎って、目が合ってビビーンときた時点で運命の人だと分かっているのに、断るんですよね。それは恋太郎なりの倫理感からくるものなんですが、ルールというか価値観の押し付けでもあると思うんです。神様から「付き合わなかった場合は、相手が不幸な運命に遭う」と知らされている上で、一度拒絶の対応を取るのは、彼にとって心苦しいしリスキーなものでもあるのにそれをやるというのが、とても印象的でしたね。
──それだけ彼の中で大切なことなんでしょうね。
加藤:僕、自分が大事だなと思ったセリフは、一度台本の余白に“写経”するんです。なのでここはしっかり伝えたいなと思いました。しかもそのあと知与ちゃんが同じセリフを復唱するので、知与ちゃんにちゃんと響いていなければいけないだろうなというところまで、アフレコでは考えていました。
──そこから彼女になって、第26話のAパートで、彼女たちに知与を紹介するシーンはいかがでしたか。個性的な彼女たちの中で知与を立たせなければいけない大変なシーンでもあったと思うのですが。
加藤:石原さんも大変そうでしたね。台詞が被ってしまうから、個別に録らないといけないので「ゔ―っ!」という知与ちゃんの代名詞を何回もテイクを重ねて模索していて。しかも25話のBパートと26話全部を1日で録ったので1.5話分を一気に収録しているんです。初登場は演技としてキャラを固めていく作業がありますので、そこで監督とのすり合わせがあるから、当たり前に時間がかかるんですよね。それもあっての、みんなとの収録だったから実際、大変だったと思います。
第25話Bパートは、主な掛け合いが恋太郎と知与ちゃんとヒロ叔父さんだけなので、そこでバランスは取れるしキャラも立つんだけど、恋太郎ファミリーに入るときは、その個性を持ったままファミリーに加わらなければいけないんですよね。原作だと絵とセリフでそれは伝わるけど、アニメとなると声でも変化がつかなければならない。でも声質って、彼女が増えれば増えるほど限られてくるんですよ。序盤に登場していたら使えたところが使えなくなっていくから、その子独自の声を探さなければならなくて、時間がかかるんです。
だから第3期から加わるキャストの方々は、よりハードルが高くなっているはずなんです。黒ひげ危機一発とかジェンガみたいな感じで、だんだん限られていくという(笑)。
──では、今後登場するヒロインたちの見どころも聞いていきたいと思います。まず、ナディーですが。
加藤:ナディー語を聞き取ろうという努力をしてみるのも楽しいかもしれません。本編に目を通して脳に伝達される情報を取り入れるだけで『100カノ』はカロリーを使うんですけど、それじゃ飽き足りないよというドーパミン中毒の紳士淑女の方々は、その上でナディー語を理解するというハードモードにチャレンジしてほしいです(笑)。
──次は優敷山女ですね。
加藤:山女ちゃんの回の収録のとき、あるカットに僕はえらく感動したんです。作画もそうなんですけど、シーンとして素敵で。山女ちゃんの振る舞いというか、人としての魅力みたいなものの尊さを感じてしまって、さらに山女ちゃんを好きになったんですよね。なので原作ファンの方には、より期待してほしいなと思います。
──山女と言えば、第25話Aパートで、山女の後ろに付いて行く須藤 育が面白すぎました(笑)。
加藤:山女が倒れるのを待っているというネタなのに、謎のRPGみたいなアニオリの動きを入れてくるという(笑)。
──そういう小ネタに爆笑してしまうんですよね。そして、茂見紅葉です。
加藤:紅葉ちゃんはそもそものエピソードが強すぎるんですよ。そこはネタバレをしたくないから触れないですけど、紅葉ちゃんってロートーンのしゃべり方なんですよね。あれって、彼女が増えていくと、声質のパイが限られてくるところだと思うんです。他にないポイントを探して、なおかつ紅葉ちゃんでなければならないという塩梅を探る時間が当然あったんですけど、完璧な紅葉ちゃんになっているんですよね。すごく絶妙なラインだったんですけど、そこを攻略した古賀 葵さんの紅葉ちゃんは最強なので、期待してほしいです。
──まだ本編では登場していないですが、土呂瀞騎士華についても魅力を聞かせてください
加藤:最初からいたのかな、というくらいキャラが立っていました。後半からの登場にも関わらず、羽々里さん並のインパクトを感じました。騎士華も他のヒロインに負けず劣らず、一面的でない個性を持っているので、その個性の表現も楽しみにしていてください。
──最後に『100カノ』のファンの方にメッセージをお願いします。
加藤:もちろん第3期も期待してほしいんですけど、その先も『100カノ』が続くことを期待してほしいです。続くかどうかは僕は知らないです。でも第3期まで来たという事実があるんですよ。じゃあその先を期待することって、当然のことですよね。なので、それを期待してください!
[文&撮影・塚越淳一]