市消費生活センター 給湯器の点検商法、相談急増 前年同期比 20倍に〈八王子市〉
八王子市内で給湯器の点検に関する相談が急増している。電話や訪問で突然、給湯器の点検を持ちかけ、「古いと故障の恐れがある」などと不安をあおり高額な給湯器の交換を迫る手口で、全国的にも増加傾向。市消費生活センターやLPガス協会八王子支部などが、注意を呼びかけている。
市消費生活センターによると、市内での給湯器の点検に関する相談件数は、2022年度が年間2件だったのに対し、2023年度は今年1月末時点で49件にも上る。昨年6月頃から増え始め、10月には16件が寄せられた。年度末まで2カ月を残しているにも関わらず、前年度の20倍以上の相談が寄せられている。
市内で起きた事例としては、八王子市の指定業者を名乗り、「地域一帯を給湯器の点検で回っている」と訪問。屋外に設置されている設備の年式をあらかじめ確認し、「10年以上前のものは交換しなければならない」と迫り、高額な商品を契約させるというもの。実際は、市が給湯器の訪問点検を特定の事業者へ依頼することはない。
相場より高額
今年度の相談49件のうち、29件の契約当事者が70歳以上の高齢者で、回答があった22件の契約金額は平均約40万円。最大95万円の契約書もあったという。
(一社)東京都LPガス協会八王子支部で支部長を務める草間剛さんによると、通常の給湯器交換は本体のみの場合と給水配管工事を含める場合があるが、両方行ったとしても95万円は高すぎるという。また、給湯器の交換時期に法的な定めはなく、メーカーに交換部品のストックがある7年が耐用年数の目安となるが、壊れるまで使う人もいるのが現状だという。
「高齢だと、強引な口調が怖くてハンコを押してしまったという方もいた。身の危険を感じたら警察に通報すべき。少しでも怪しいと思ったらすぐに相談してほしい」と草間支部長。同支部では独自の啓発チラシを作成し、会員を通じ顧客へ配布するなどして注意を呼びかけている。
対策は
市消費生活センターでは対策として、焦って即決しないことや複数社からの見積りを取ることなどを勧めている。また、クーリング・オフは契約書面を受け取ってから8日以内とされているが、契約書の不備や事実と異なる契約などを検証することで期日が過ぎていても適用できる場合があるという。同センターの橋本光太郎所長は「お困りの場合は、消費生活センターに相談してください」と話している。相談は同センター【電話】042・631・5455。