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専門医連携で、患者の心身を丸ごと診る。育む患者の「安心感」と医療インフラ<医療法人社団こころみ 理事長 大澤亮太さん>【神奈川県川崎市】

ローカリティ!

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医療現場が今、変革の岐路に立たされています。利益優先のビジネスモデルを採用する医療機関もあるなか、地域に根ざし、患者さん一人ひとりの健康と安心を追求している医療法人があります。
神奈川・東京に拠点を置く「こころみクリニック」(医療法人社団こころみ)ーー。内科・耳鼻科・心療内科など幅広い診療科を備え、患者をトータルに診察・サポートしているのが特徴で、提携院も合わせて計11院を展開しています。本院の理事長・大澤 亮太(おおさわ りょうた)さんは、地域医療の第一線で日々の診療に取り組んでおり、「安心感」を核とした本来の医療の在り方を追求しています。
今回は、大澤さんが歩んできた軌跡と、現在取り組んでいる事業、そして将来のビジョンに迫ります。

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「患者さんが心から安心できる環境こそが価値」。研修医時代に痛感した公平な医療の重要性

研修医時代はおもに、高齢者医療の現場で働いていた大澤さん。そんななかで、患者個人の経済力格差によって提供される医療にばらつきが発生してしまう高齢者医療の現実を知り、限られた財源の適切な使い方とは何かを考えさせられました。この経験から、より直接的に患者の課題と向き合う方法として、産業医の道に関心を持つようになります。

「医療とは、単なる医療行為の積み重ねではなく、患者さんと真摯に向き合い、心から安心できる環境を作り出すことだ」

そういった考えにたどり着いた大澤さんは、産業医としての視点を取り入れ、「心と体をトータルで支える医療」に意識を向けていきました。

「診療効率主義」ではなく、誠実に患者さんと向き合い信頼関係を築く

そんな大澤さんは、神奈川県内のメンタルクリニックでの勤務を経て、2017年4月に「元住吉こころみクリニック」を県内川崎市でスタート。心療内科だけでなく、内科、耳鼻科、産婦人科など複数の診療科を備えるこころみクリニックでは、専門医が適切に連携することで、患者のスムーズな心身の回復を目指しています。

特に、こころみクリニックが追求しているのは、必要な治療をしっかりと行い、不要な検査や過剰な医療行為を排除することで、患者一人ひとりに寄り添い「安心」と「信頼」を提供する医療です。医師・スタッフ全員が日々、患者との対話を大切にし、本当に必要な治療を見極める姿勢を持っているのです。

また「患者さんが定期的に来院して『元気です』と報告してくれる関係性こそ、我々が目指すべき本当の医療だと考えています」と、大澤さん。診療数や効率などで評価される医療制度のもと、時間通りに終わることだけを重視する診療では、患者さんの真のニーズに応えることはできないと主張します。

「良い医療とは、家族や友人に紹介したくなるような医療。そのためには、私たち自身が患者さんにとって『安心』を感じられる存在であり続けることが大切です」と語ります。

機関連携の力で作る地域全体の医療インフラ

大澤さんは理想の医療体制の実現を見据え、こころみクリニック単体での医療提供に留まらず、同じ志を持つ医療機関とのネットワーク構築にも積極的に取り組んでいます。医療機関同士で住民の健康データを共有できれば、患者が検査や治療をスムーズに受けられたり、予防医療に役立てられたりするからです。

こころみクリニックは、医療が単なるサービスとして商品化されるのではなく、真に「社会インフラ」として根付く未来を目指しています。

安心感ある医療を社会全体へ。こころみ主軸で作る医療ネットワーク

「医療とは、人が人のために行うものであり、真摯に向き合うことで初めて『安心感』が生まれます。私たちの目標は、誰もが信頼できる医療ネットワークを作ることです」と、大澤さん。

産業医としての経験を生かし、企業向けのメンタルヘルスケアやリワーク(職場復帰に向けたリハビリテーション)支援にも取り組むなかで、地域社会全体の健康推進と生産性向上に寄与する医療体制の確立を目指しています。

また、これからの時代、医療も効率化が求められます。仕組み化が可能な部分もありますが、「人が人を診る安心感」は絶対的に必要です。こころみクリニックは、この両立を目指していくべく、試行錯誤の上で、スタッフや地域の医療関係者とともに、今後の医療の新たなあり方を切り拓いていきます。

聞き手、執筆:木場晏門

木場晏門

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