猫の『家出』を招く危険な住環境3つ 今すぐ見直すべきポイントや改善策を解説
1.戸締りがルーズ
まず、猫の家出の原因で多いのは、戸締りがルーズな点です。
具体的には、玄関や雨戸、ベランダなどの開けっ放しが挙げられます。
外暮らし経験のある猫ほど、アウトドアの魅力を知っていて、普段から外に出たい、と思っているフシがあります。
ウズウズしているときに、たとえば、洗濯物を取り込むため、飼い主さんが網戸を開けたままにしていたら、ここぞとばかりに、愛猫は「シャバの世界」へと繰り出していきます。
いったん外に出たら、いつ戻って来るかは愛猫次第です。帰宅を待つ間、飼い主さんは心配になって、不安に襲われることでしょう。そして、不幸なことに、交通事故や他の猫とのケンカに巻き込まれれば、最悪の場合、もう二度と帰って来ないかもしれません。
たった一回の不注意、油断が、一生の後悔になることもあります。
愛猫の家出を防ぐためにも、玄関には「脱走防止用の扉」、網戸には「イタズラ防止効果もあるフェンス」、ベランダには「脱走と転落事故を防ぐネット」といった方法で対策してみてください。
飼い主さんは上記の取り組みのほかに、常日頃から入念な戸締りに気を配るようにしましょう。
2.庭先に刺激が多い(外猫の侵入、野鳥の出没など)
猫は縄張り意識の強い動物で、野生下では、自分のテリトリーを守るために、身体を張って相手と戦うこともあります。おうちに暮らす猫も、その本能的な部分は変わりません。
一例を挙げると、戸建ての場合、庭先によその猫が頻繁に出没するようになると、愛猫は自分の縄張りを荒らされたように感じます。
「ヌォワーン」と剣呑な調子で鳴いたり、「シャーッ!」と感情むき出しで威嚇したり、と抗議の意思を示しますが、正直に言えば、外に出て今すぐにでも追い払いたいところです。
鳩やスズメ、ムクドリなどの野鳥の登場には、生まれつきの狩猟本能をかき立てられます。窓越しに「ケケケケ」、「カカカカ」と愛猫が鳴いていたら、ハンター・モードに切り替わったサインです。「狩りに出かけたくてたまらねぇ!」と内心の声が漏れ出ています。
上記の2つの例は、愛猫にとって、野生本能を刺激されるパターンです。結果的に、愛猫の外出志向を高める遠因となります。
対策としては、よその猫や野鳥などが現れる庭先の窓に、目隠し用のすりガラス調フィルムを貼ることが有効です(猫の視線を意識して、窓の下半分に)。すりガラス調になっているので、大事な日向ぼっこの日差しも確保しつつ、外部からの刺激防止も兼ねてくれます。
また、100均などで売っている猫侵入防止用のトゲトゲマットの活用、もし他にも日当たりのいい窓辺があるなら、庭先の窓を遮光カーテンで覆うことも検討してみてください。
3.ストレス過多なおうち環境
3つ目は、ストレスの多い生活環境です。
猫が心身ともに健康で暮らすためには、飼い主さんとのスキンシップ、キャットタワーなどの上下運動、安全に過ごせる場所、毎日のおもちゃ遊びが不可欠です。
ところが、十分に運動できる設備がなく、安心して隠れられるスポットもないと、猫の多くはストレスを溜め込みます。さらに、毎日多忙なために、飼い主さんに放ったらかしにされれば、「愛情不足」も深刻です。
愛猫の精神的な不満は、過剰な毛づくろいや家具などへの爪研ぎ、粗相などにも表れますが、家出につながるケースもあります。
おうち環境の改善には、飼い主さんのスキンシップを前提に、「キャットタワー(ウォーク)の導入」、「秘密基地的な隠れ家の設置」、「おもちゃ遊びの習慣化」が最も効果的です。あわせて、複数の飲水スポット、清潔なトイレ環境も欠かせません。
上下運動、安全と安心の確保、ハンターとしての適度な刺激は、猫の健康に必須の条件です。飼い主さんは、その点を踏まえ、愛猫にとってストレス・フリーな環境をしっかり整えてあげてください。
まとめ
愛猫の家出は悲劇以外の何ものでもありません。取り返しのつかない事態を避けるためにも、飼い主さんはおうち環境の見直しが必要です。
今回は、愛猫が家出しやすい環境として、「戸締りが不十分」、「おうちまわりに刺激がたくさん」、「ストレスの多い空間づくり」、3つを取り上げました。
本文でも紹介した通り、家出を防ぐには、愛猫のためにより過ごしやすい環境を用意してあげることが大切です。十分な対策を講じて脱走リスクを減らし、末永く一緒に暮らせるように、飼い主さんは日々取り組んでみてください。