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OSK日本歌劇団 華月奏と翼和希が抱く「トップスター像」、7月『レビュー in Kyoto』でも大切にしたい「歌い継ぎ」への思い

SPICE

左から翼和希、華月奏 撮影=ハヤシマコ

7月13日(土)より京都・南座で幕を開けるOSK日本歌劇団『レビュー in Kyoto』。2021年4月よりトップスターとして劇団をけん引してきた楊琳と、京都市出身の娘役トップスター舞美りらの関西の大劇場ラストステージとなる本公演は、今年4月に大阪松竹座『レビュー 春のおどり』で、荻田浩一構成・演出のレビューで、スペイン語で「踊れ! 踊れ! 踊れ!」を意味する「BAILA BAILA BAILA」を再構築して上演。『レビュー in Kyoto』に向けて、卓越したダンス力を遺憾なく発揮する男役スターの華月奏と、『ブギウギ』で橘アオイ役を好演した翼和希が対談。大阪松竹座での「BAILA BAILA BAILA」を振り返ってもらったほか、楊と舞美への思い、それぞれが思う「トップスター像」を語ってもらった。

華月奏

――華月さんはインタビューとしてはSPICE初登場ですね。まずは簡単なプロフィールを教えてください。

華月奏(以下、華月):幼稚園時代に、引っ込み思案を改善するべくダンスを習い始めました。そこでダンスに目覚めて、とにかく踊り続けていた子どもでした。歌劇は全然知らなくて、どちらかというとヒップホップやストリート系のダンスが好きでした。そんな中、たまたま大阪松竹座で『春のおどり』を観て、型の美しさや男役の黒燕尾に憧れ、歌劇を目指すことになりました。もともとはアイドルになりたかったんです。みんなとは育ってきた環境は違うかもしれませんが、ダンスを活かしたことをしたいと思っていた中でOSKに巡り合い、気づけば長いこと劇団にいます。

――アイドルは誰に憧れていたのですか?

華月:安室奈美恵さんやBoAさんのような、歌って踊れる方に憧れていました。ダンスをやってきて、とにかく踊りを仕事にしたいという思いは強かったかな。

――今、「アイドルになりたかった」という華月さんのご発言に、翼さんがびっくりした顔をされていましたね。

華月:最近、やっと人に言うようになって(笑)。その度にOSKのみんながネタにしてくれるのですが、みんなのように小さい頃から歌劇を観ていたとか、このスターさんに憧れていたとかではないので、教えてもらうことが多いですね。でも、だからこそ少し違う視点から切り込んでいけたという思いは持ち続けています。

昔の夢を語る華月と、アイドルっぽいポーズを取る翼

――7月に南座で行われる『レビュー in Kyoto』は、楊さんと舞美さんの関西の大劇場ではラスト公演になります。OSKの活動を通して、お二人が楊さんと舞美さんから受け継いだもの、もらったものは何でしょうか?

華月:楊さんからは、心でぶつかることと踊りの大切さです。ご卒業を発表されて以降、楊さんとご一緒させていただく度に、お話しさせていただくようになりました。楊さんはおっしゃることに裏がない。ある意味、歯に衣着せず、ストレート。だからこそ常に太陽みたいで、稽古場や楽屋では笑い声が轟いています。でも踊ると繊細で。お稽古場で基礎的なアドバイスをもらえたのは本当に貴重だったなと思います。舞美は1期下ですが、ストレートにぶつかってくる子なので、意見交換がケンカにはならないようにしないと(笑)。

翼和希(以下、翼)​:いや、華月さんとお話してケンカになる人いないですよ。常に「ベイマックス」のように……。

華月:懐広めに?

翼:(ゆっくりうなずきながら)常に「どうぞ」と促してくれます。

翼和希

華月:舞美は先生からもらったものをちゃんと守っていきたいという思いが強いんです。私もそうです。ただ、同じものを見ていても視点が違うと、捉え方が異なる時があって。そうなったら、2人ともこんなに折れないか!? というくらい議論することも(笑)。もちろん、最終的には先生に聞きますし、周りのみんなにも「どうかな」と問いかけたりしますが、本当に、いい意味で最後までブレることがない。そうやって作品作りができる人だからこそ、一緒にやっていて楽しいですね。違うところは「違ったよ」とちゃんと言ってくれる。お互い、舞台袖では、「あそこはああだったよね。こうだったよね」と毎回のように反省して、「次はああしよう、こうしよう」と話して。そんな会話ができるということは、本当にいい関係性なんじゃないかなと思います。

翼:私は、楊さんからは礼儀を教えてもらいました。「感謝の気持ち」「一人じゃ舞台ができない」と毎回、言ってくださって、それは年々実感します。スタッフの皆さんに対しての礼儀や感謝の気持ちももちろんですが、劇団内の上下関係の礼儀をわきまえることで舞台が締まるという大切さも教えていただきました。また、楊さんの背中からも学んだように思います。上級生の方に失礼ですが、楊さんは2番手になる前は野性の勘というか、ピコッとひらめいたものに突き進んでいらっしゃるイメージがありました。でも、トップになられてからは、いろんな責任があるからこそ礼儀とか感謝の気持ちを以前にも増して大切にされているように思います。言葉の重みを感じますし、説得力があります。舞美さんは、ご自分でもおっしゃっていましたけど、妥協しないことの大切さをすごく教えてくださいました。自分の意思を舞台で発揮できる方はまれだと思うし、そういう舞台人はカッコ良い。芯を通すことができるから、舞美さんという一つの個性がガツン! と出るんだなと客観的に見ていて思います。だからこそ楊さんと舞美さんのデュエットには信頼が見えますし、それがまたOSKらしいなと思います。

翼和希、華月奏

――ではお二人が考えるトップスターとは、どんな人物像か聞かせてください。

華月:トップスターは、背負うものもいっぱいあると思うんです。楊さんもいろんなお姿を見せてくださいましたけど、感謝の心を持ちつつも、ハツラツとしていらっしゃるところはずっと持ち合わせていらっしゃって。今まで私が見てきたトップスターさんそれぞれのカラーがあって、「みんな違って、みんないい」というのは本当にこういうことなんだなと思いました。どんな状況であっても、どんな形であっても、誰よりもOSKのことを考えると思いますし、OSKのトップになる人はそれぞれのカラーで一色一色、OSKを塗り替えていくのかなと思います。

翼:トップスターの方々は孤独だなと思って。それは周りと遮断しているという意味じゃなくて。もちろんみんながトップスターを支えはるし、自分も支えようと思うけどすごく孤独で、孤独にならないと、自分と向き合えないだろうなとも思います。楊さんもずっと忙しいから、一人になる時間がないと自分と向き合えないし、劇団のこととも向き合えない。ただでさえ、いろんな方とのコミュニケーションがある中で、自分の確固たる意思を貫こうと思った時にすごく迷われると思うんですよ。そうなった時に孤独という材料はすごく必要なんだろうなと思いました。

華月奏

――ありがとうございます。南座では、情熱的なラテンやデュエットダンス、笠置シヅ子の名曲や連続テレビ小説『ブギウギ』で放送されたショーの再現など『春のおどり』のプログラムに、南座で上演した『陰陽師 闇の貴公子⛤安倍晴明』を題材にした新たなシーンや、桐生麻耶さん、朝香櫻子さんも迎えてこれまでの南座公演の思い出を振り返るシーンも追加するとのことですが、お二人が「BAILA BAILA BAILA」で踊っていて楽しいと思われるシーンはどこでしょうか?

翼:……全部ですね。

華月:翼の歌から始まって、後半に私が歌う「Ringing Jiggy」は新しい形の黒燕尾のシーンだなと思ってすごく好きでした。

翼:私は「ラティンクス」が好きです。OSKは最近、ラテンが続いていますよね。OSKは熱いのが似合うのでラテンとは親和性があると思います。「ラティンクス」は足さばきがものすごく繊細で、一つ一つの振付がすごくおしゃれなのです。お衣装もみんなフリフリがついていてかわいくて好きですし、踊っていて背筋がピッと伸びます。オープニングもめちゃくちゃテンションが上がりました。総踊りの時、楊さん、舞美さん越しにお客様に向かって「ドヤッ! 今のOSKだぞ!」と思いながら踊っていました。南座でも私は絶対そう思うんだろうなと思います。

華月:「ラティンクス」は、翼が歌い始めて、桐生さんに歌い継いで、楊さんに繋がっていきます。常に120%で来てくれて、その歌でみんなが踊っているのがいいなと思います。南座バージョンはどうなるかまだわかりませんが、そんなところにも加わっていけたらいいなと思っています。レビューにおいてプロローグの歌い継ぎはすごく大切なものなので、「よろしく頼むよ」とずっと思っていました。

――歌い継ぎは、どういうところが大切だと思われますか?

華月:一曲の要所要所に歌い手らしさが現れるところですかね。同じ曲を歌っているのに、人によってカラーが違っていて、声色が違えば曲の雰囲気が変わっていき、踊りも変化します。桐生さんが歌われることで深みが増して、楊さんが加わるとカラッと明るくなって。そんな中で、翼が最初に歌うことで元気よく掴んでくれる。そういうことがすごく大事だなと思いますし、それでこそレビューだなと思っています。

翼:そうやって120%で挑んだ結果、振りを思いっきり間違えた日もありました……。その日は本当に皆様に多大なるご迷惑をおかけしました。

翼和希

――翼さんは第一声を担われましたが、大阪松竹座ではいかがでしたか。

翼:記憶が飛びそうなほど緊張していました。5分弱ほど、皆様が先に踊られていて。その間、私はずっとスッポン(花道の舞台機構)の下で待っているのですが、みんなが踊った後に出ることにものすごく緊張しました。でも、「緊張したってしゃーない!」と思って、その気持ちは一旦置いて、お客様へのエネルギーに変化させて、どんどん次の場面にバトンパスしていって。そうやって「BAILA BAILA BAILA」という作品が完成すると思うので、緊張をエネルギーに変えていくことを意識しようと思っています。桐生さんが「私が翼を見てるから、翼はお客様にエネルギーを出しな」とお稽古中に言ってくださって、すごく支えになりました。もちろん緊張もありますが、嬉しい、楽しい、おもしろいと、いろんな気持ちがある中で、「でもやらなあかん」という気持ちもあるから、あの歌い始める場面はすごく大事にしたいと思いました。そして、桐生さんにバトンパスした後は、「こちとら200%で踊ります!」と。

――120%から200%に出力アップして。

翼:はい。でも急に振りを間違えて、本来は右なのに左で踊り出すみたいな。びっくりしますよね。

華月:本当、こっちがびっくりする(笑)。

翼:なんかみんなと流れが違うなーと思ったら、逆を踊ってたみたいな。そういうこともありましたけれども、バトンパスの大事さや、エネルギーを変化させていくことを楽しめたらと思います。荻田先生の中で組み立てられたものを自分もちゃんと持っていきたいから、ちゃんと紐解いて、噛み砕いて丁寧にお届けしたいです。

取材・文=Iwamoto.K 撮影=ハヤシマコ

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