日本のため、シーンのため、そして自分自身のために…彼らが下した大きな決断とは?REXY=DEXYインタビュー #3
華やかかりしベースミュージック、その未来は安泰かと思いきや……。
REXY=DEXYインタビュー第三弾は“未来”についてトーク。
現状に危機感を覚える彼らが下した決断とは?
そして、REXY=DEXYにとっての成功とは?
「ベースミュージックという音楽を日本でもっと…」
「もっと日本の素晴らしさをちゃんと理解して発信するべき…」
大いなる夢に向かって疾走するREXY=DEXYにぜひ注目を!
インタビュー#1&2はこちら!
https://floormag.net/rexydexy001
https://floormag.net/rexydexy002
◆日本のシーンのために…海外挑戦
――次のステージに向け、今、何を企んでいるんですか?
高橋:実は、一度日本から出ようと思っています。最終的にはアメリカに行きたいんですがその前に、まずアジアを背負ってアメリカに行かないと勝てないと思うので、アジアでもっと活動範囲を広げる予定です。
――それはいつから?
高橋:この秋から。すぐにでも挑戦しようかなと。失敗するかもしれませんが、ひとまず色々と経験したいんですよ。こうしたことは戦略が必要なのは十分理解してますが、ノリと勢いも大事なんで。
それこそ大学生の時のDJ-1 PROJECTも何も考えずに勢いで参加したことでその後のビジョンが開けたので、あの勢いが今、次のステージに向かうためには必要なのかなと思ったんですよね。まだまだ日本でできることもあると思いますが、それ以上に海外でもやることに意味がある。今、海外でやらないと日本のシーンは変えられないので。
――日本のシーンのためにも海外に行くべきだと。
高橋:日本でももちろんベースミュージックの布教は今まで通り欠かさずやっていきたいんですが、それと同時に僕らが海外にむけて新しい道を作ることで後世にも新たな可能性が見出せる。特に日本のベースミュージックシーンではまだまだ前例が数少ないですが、それは同時に色々な可能性があるということだと思うし。僕は今のシーンにはもっと出来ることがあると思っていて、僕らがそこを補えるように開拓したい、そのための海外挑戦なんです。
前田:新しい可能性を見出すためには周りと同じことをしていても意味がないし、ひとまず海外に行って、できることをやってみたいですね。
――2人は日本のベースミュージックシーンの現状をどう捉えていますか?プレイヤーの人口は増えている?
高橋:僕らより若い世代のアーティストもちょくちょく出てきてますし、深いところではまだ発掘されていないけどすごい曲を作る人は周りに結構いるのでワクワクしています。ただ「もっとベースミュージックを作るプロデューサーの数自体が増えたらいいな」と思う時が多々あるので、そこは課題かなと思います。
――シーン自体は。お客さんも若い人が多く活気があるように見えますが。
高橋:めちゃくちゃ活気はありますし、濃い熱量があるシーンだと感じます。みんなベースミュージックを本気で愛しているし、平和に楽しむ方法を知っている(笑)。特にZero Hertz Clubを始めてから若いヘッズを目にすることが多くなって個人的にはそれがすごく嬉しいし、今後もさらにイベントをデカくしていきたいと思いました。一方でハードテクノやUKのイベントシーンも東京では勢いのある印象です。それはプレイヤーであるDJが世界に出て活躍している人がいるのと、ファッションの一部にもなっている思っていて、例えば“ハードテクノが好き=かっこいい”みたいなイメージがある。シーンとして根付かせるにはそういう要素もすごく大事だと思っていて、ベースミュージックはそこがまだ足りないと感じます。だから僕たちでそこももっと啓蒙していきたいと思います。
――先ほど海外に出るという話をされていましたが、日本での活動はどうなるんですか?
高橋:日本でやっているイベントは継続しつつ、海外で学んだことを還元しようと思ってます。そして、最終的には国内のDJ を海外でフックアップできる環境を作りたい。そのためにも僕らが海外で売れて世界とのハブ的な存在になるのが最初のステップですね。
前田:まずはアジアで活動を広げ、最終的にはアメリカに進出します。
――ベースミュージックのメッカとなると、やはりアメリカ?
高橋:そうですね。もちろんヨーロッパもシーンとして大きい印象はありますが、僕たちのやっているジャンルでいうとアメリカですかね。例えばフランスはDJ SNAKEやHabstraktなどが出身としていますけど、現地のプロデューサーから聞いた話では、フランスではベースミュージックよりテクノが強いみたいで。なのでわかりやすく海外で結果を残すためにはアメリカでの活躍は必須だと思っています。
前田:僕らはベースミュージックという音楽を日本でもっともっと広めて、誰もが一度はどこかで聴くような世界を作りたいんですよ。そのためには海外で活躍して注目を集めて、今はできないこともできるようにしたい。やり方次第で日本でもベースミュージックは絶対に流行ると思うので。そのためにも自分たちがもっと力をつけていかないといけないと思ってます。
――それは例えばCM曲にベースミュージックが使われるとか?
前田:そうですね。人気ゲームの音楽に使われるとか。今はだいぶ近づいていると思うんですが、ここからのあとちょっとが遠いんですよね。
――海外挑戦以外に目標・やりたいことはありますか?
前田:将来的にはレーベル/事務所を作りたいと思ってます。日本の若いベースミュージックのアーティストをフックアップ、サポートするために。そして現状、DJ・プロデューサーだけで生活をするのはまだまだ困難なので、それが可能な環境を作っていきたいんですよね。
高橋:そのためにはまずは自分たちがアーティストとして成功して、お金を稼ぐ、知名度を上げることが第一段階だと思っていて、そこで得た知見やリソースをシーンに還元していきたい。日本のベースミュージックはまだその段階に達したことがないので、まずは自分たちがそれをやらないといけないと思ってます。
活動を始めた当初は海外のフェスに出ることが最終目標でしたけど、今となってはそれもあくまで過程、手段で、そこから日本のベースミュージック・ダンスミュージックマーケットの拡大、さらにはアジア人のDJ価値の向上とか、今は色々な目標があります。
ただ、目標を達成するためにはやっぱり僕ら2人では限界があるので、今はチーム作りに力を入れています。ありがたいことに協力してくれる方々がいて徐々に形が見えつつあるんですが、今後は特にクリエイティブを強化したいと思っています。
◆和との融合…REXY=DEXYの挑戦
――音楽以外に趣味とかありますか?
高橋:僕は本当につまらない人間で、趣味がないんですよ(苦笑)。しいていうなら都市伝説かお笑いのYouTubeを見るか神社巡りか……。
前田:僕はゲームですね。昔から好きなので。あとは少し前に携帯をなくしたんですけど、携帯なしで街を歩いていると自然と周りの景色を見るようになって、それがめちゃくちゃ楽しいことに気づいたんですよ。今まで見えてなかった景色が見えるというか、イヤホンなしで歩いていると聴いたことのない色々な音が聴こえてきて、世界って実は面白い、素晴らしいんだなと改めて思いました。
――それは制作に還元されそうですか?
前田:まだ最近のことなので今のところ全くですけど、もしかしたらあるかもですね。
高橋:でもそういうのはとても大事で、多分きっと何かに役立つと思う。僕も切ない曲を作った時は雨が降っていたんですよ。そういう景色から受ける影響も絶対にあるので。
――日常生活から得られるものも多い。
高橋:多いと思います。僕の場合、例えば神社に行ってそこの起源や歴史、神様について知ることも全て活動に繋がっている。
――神社は一見ベースミュージックとは全く関係なさそうですけどね。
高橋:ベースミュージックというより、仕事や生きること全てに繋がっていると僕は思います。そもそも日本という国は神様を重んじ、様々な哲学や考えがある。僕はそうしたことも音楽にもやんわりと組み込めたら面白いかなと思っていて。
――歴史や伝統とか。
高橋:そうですね。簡単に言ってしまえば僕は日本が好きなので、日本を表現する音楽ももっと作っていきたいんですよ。
前田:日本が好きという部分では僕も同じで、日本をモチーフにした日本を感じる曲を作りたいし、最近は例えば日本語とか、日本の要素を楽曲に取り入れていきたいですね。
――海外にも多いですよね。それこそSkrillexが“Kyoto”という曲を作っていたり。
高橋:そうなんですよね。僕も最近思ったんですよ、もっと日本の素晴らしさをちゃんと理解して発信するべきだなって。僕自身、思春期の頃は“洋楽の方がイケてる”と思って洋楽ばかり聴いてましたけど、そうじゃないなと。
前田:僕も今さらながら日本の魅力がわかるようになってきたというか、それこそ邦楽にしても歌詞をより意識するようになってからは見方・聴き方が変わりましたね。
――今は歌詞にも注目しているんですね。ベースミュージックとなるとあまり重視しないような気がしますが。
前田:僕らのジャンルだと感情的な表現もメロディーで引っ張っていったりしますが、そこを歌詞でというか、歌詞をメロディーのように使ってうまく音にできないかなと思っていて。
あとは、いつかボーカルを交えて曲を作る時に、やっぱりどんな歌詞が聴き手に響くかは大事だと思うので、今のうちから歌詞も注目して音楽を聴くようにしています。
高橋:僕の場合は歌詞、言葉というよりも日本の伝統的な音を使っていきたいですね。以前“般若心経”をサンプリングした曲をリリースしたんですけど、その他にも和太鼓や和楽器、民謡などを使った曲がもっとあってもいいかなと。
――“和”をベースミュージックと融合させるのは大変じゃないですか?
高橋:昔、トラップでも和物が流行っていた時期があるんですよ。ただ、その時のデリバリーをそのままやるというよりは、もっと情景が思い浮かべられるようにしたいですね。
例えば妖怪やダークなイメージからイカつい曲が作れると思いますし、ジブリのような世界観で爽やかな曲もできる。デリバリーの方法はたくさんあるので、色々と挑戦してみたいです。
前田:僕は個人的にメッセージ性のある曲を作っていきたいですね。かっこいい曲やエモい曲はいくらでもあるので、その中でよりメッセージ性があるものが作れたら、より多くの人に僕らの音楽が伝わると思うので。
――どんなメッセージを伝えたいですか?
前田:それは楽曲によりますけど、例えば気持ちを奮い立たせたり、感動させたり、感情的な部分に訴えるものですね。ただかっこいいだけでは終わりたくないので、そこも意識してやっていきたいです。
◆REXY=DEXYにとっての成功とは?
――この秋、海外挑戦が始まるわけですが、最初にやることはなんでしょう?
高橋:まずはローカル枠からの脱却ですね。海外で存在感を示した上で日本でその結果・成長を証明して、またさらに海外に出て活躍する。そうやって自分たちの価値やイベントの価値を高め、お客さんには最大限ワクワクした状態で見にきてもらう存在になりたいです。
海外に行くのも日本のシーンを捨てたわけじゃなく、むしろ日本を成長させるため、日本に貢献するためで、日本でのイベントZero Hertz Clubも大きくしていきたいですし、先々にはヤバいイベントの企画も控えています。なので、それらを通して国内でもより認知度を高めていきたいと思っています。
――アジアのどこに行くんですか?
高橋:タイに行こうと思っています。世界的なフェスがたくさんある場所ですし、そこで横の繋がりを作っていき、アジア諸国全体での可能性も模索したいと思っています。また、その周辺国で言うとミャンマーもすごくベースミュージックが盛んで、若者はヒップホップよりベースミュージックを聴いてるらしいです。なので、ミャンマーも出演してみたい国のひとつです!
前田:ミャンマーは、クラブも大きいし、みんな踊ってるよね。
高橋:政治、経済など色々な要素が絡んでそうした環境ができていると思うんですけど、どんな環境でも結果が出せるように、まずはしっかりとチームを作ってプロダクションを高め、ゆくゆくはプラットフォームを作って日本のベースミュージックシーンの規模をデカくする。そしてアーティストがその活動だけで食べていけるようにする。それが目標です。
前田:そこまでできたら、やっとREXY=DEXYとしてのプロジェクトも成功だと思っています。
REXY=DEXY
高橋遼平と前田大輝、2人のDJ・プロデューサーからなるベースミュージック/トラップデュオ。2021年に活動を開始し、国内外のクラブでプレイすると同時に近年はGMO SONICやULTRA JAPANといった大型フェスにも出演。また、2024年にはYellow Clawが主宰するBarong Familyから楽曲をリリース。海外アーティストからの信頼も厚く、Yellow ClawやFlosstradamusなど様々なアーティストとコラボ。2026年のCoachellaでは、DJ Snake x RL Grime x Flosstradamusが彼らの楽曲を3曲もプレイしたことが話題に。
https://www.patreon.com/cw/REXYDEXY?l=ja-JP
https://www.instagram.com/rexy_dexy_official/