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コロナ禍で過密日程の2020年Jリーグは“ダッシュしないチーム”が上位を席巻

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横浜F・マリノスの前田大然Ⓒゲッティイメージズ

前田大然と森下龍矢が試合別スプリント王

2020年のトラッキングデータを分析し、移籍の動向や今季J1についても言及する企画。前回の走行距離に続き、今回はスプリント回数について探りたい。「選手(試合別)」「チーム(試合別)」「チーム(平均)」の3項目のランキングから何が見えてくるのか――。

Jリーグでは、時速24km以上で1秒以上走った場合に、スプリント回数がカウントされる。時速24㎞とは50mを7.5秒のタイムで走るスピードになり、わかりやすく言えばダッシュした本数=スプリント回数になる。そのため、タッチライン際で激しく上下動を繰り返すサイドのポジションの選手が、ランキング上位に顔を出す傾向が強い。

20年「選手(試合別)」で1位に輝いたのが、共にU-23日本代表候補のFW前田大然(横浜F・マリノス)と、DF森下龍矢(前サガン鳥栖)。快足FW前田は19年の松本山雅FC時代にも驚異の1試合53回を叩き出しており、同部門の連覇を達成した。

森下は明治大学から加入して1年目の昨季、右サイドバックの定位置を掴み、33試合に出場。爆発力あるスプリントをガンガン繰り返すオーバーラップに定評がある。また、同部門3位の中村帆高(FC東京)とは明大時代の同期。お互いSBを主戦場とするライバル関係にあるのが面白い。


上位陣は、冬の移籍市場も賑わせている。森下は、名古屋グランパスへの移籍が決定。カウンター主体のチームの中で、“走り屋”森下がどう個性を発揮するかが見ものだ。

3位の小兵アタッカー小川慶治朗はヴィッセル神戸を去り、横浜FCを新天地に選んだ。昨季リーグ15位だった横浜FCを牽引する走力が求められる。

浦和レッズに3年在籍した5位のマルティノスは、ベガルタ仙台への加入が内定。スピード自慢のウインガーは、昨季リーグ17位・ベガルタの攻撃力アップの鍵を握る。

スプリント力のある湘南ベルマーレがリーグ最下位

続いて「チーム(試合別)」は、1試合における出場選手全員のスプリント回数の合計を示す。1位の座に就いた湘南ベルマーレは、20年開幕時より身長160㎝台の小柄な選手たちが中心となって躍動し、5位にも2試合がランクイン。1シーズン34試合を通しての「チーム(平均)」でも、昨年と同じ3位に。

だが、残念ながら昨季はリーグ18位、一昨季はリーグ16位と結果が伴っていない…。


19年にスプリント回数「チーム(試合別)」「チーム(平均)」の2部門で1位だったF・マリノスは、昨季はどちらも一歩届かず2位。ただ、走行距離チーム(平均)では19年から2年連続1位に輝き、攻撃サッカーを展開すると共に“ハードワークのF・マリノス”の印象を植え付けている。


神奈川勢2チームを抑え、スプリント回数チーム(平均)で首位に立ち、「チーム(試合別)」でも3、4位に入ったのがFC東京。上記の中村をはじめ、「選手(試合別)」で共に7位だった永井謙佑や安部柊斗らと、クラブが標榜する攻守の切り替えが速いサッカーとの親和性が高い証拠だと言えるだろう。

横浜F・マリノスとFC東京の巻き返しなるか?

19年リーグ優勝のF・マリノスも同2位のFC東京も、昨季はコロナ禍とACLの影響による異常な過密日程が響き、それぞれリーグ9位、6位に沈んだ。しかし、昨年より連戦が減るはずの今季は、両チームが“スプリント王”を争いつつ、上位戦線に顔を出してくるのではないだろうか。

ただし、昨季上位陣の20年スプリント回数チーム(平均)の順位を見てみると、リーグ王者の川崎フロンターレが15位、2位のガンバ大阪が13位、3位の名古屋グランパスが16位、そして4位のセレッソ大阪が圧倒的に少ない128回で2年連続最下位(18位)だった。

走行距離データ同様に、一概にスプリント回数と成績がリンクしないことが分かる。今シーズンは一体どんな結末を迎えるだろうか。

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記事:小林智明

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