58歳の新人バス運転手の耳には補聴器…初採用の会社「はっきり言って救世主」
北海道苫小牧市のバス会社が、北海道内で初めて聴覚に障害がある男性を運転手として採用しました。
運転手になりたい男性と運転手を確保したいバス会社の思いがマッチし、デビューも間近です。
「ゆっくりでいいからね、ゆっくりで」
苫小牧市のバス会社「日軽北海道」に7月入社した大沢勇一さんに、指導教官が声をかけます。
大沢さんは58歳の新人運転手。教官の指導のもと路上教習を重ねています。
「道路は道なりにカーブね。十字路があるから、右折ね」
大沢さんは生まれつき聴覚に障害があります。2人であらかじめサインを決めて教習に臨んでいます。
「父親が大型車の運転手で自分も運転手になりたいと思っていた。お客様を乗せるのが楽しみ」
2016年の道路交通法の改正で、聴覚障害者でも補聴器を装着し、一定レベルの聴力があれば運転ができるようになりました。
別の仕事をしながらも運転手の夢を抱き続けた大沢さんは、6年前に「大型二種免許」を取得。
北海道内のバス会社に数多くエントリーしましたが、乗客や従業員とのコミュニケーションに不安が残るとして受け入れてくれる会社はありませんでした。
運転手確保に悩むバス会社にとっても…
一方、このバス会社は、企業の送迎バスに乗務する運転手の確保に悩んでいたとき、国の室蘭運輸支局を通じて大沢さんが運転手として就職を希望していることを知りました。
日軽北海道サービス事業部の松原浩二課長は「正直言って『救世主』です」とそのときの思いを語ります。
「会社でもリスクを負っても大丈夫なのかと議論はあったが、勇気を出して採用した」
北海道内で、聴覚障害者がバス運転手に採用されるのは初めてです。
大沢さんは「すごく喜んでうれしかった。自信を持って運転したいし遠距離の運転にも挑戦したい」と憧れの仕事に就き運転技術を磨いています。
早ければ9月下旬にも乗務に当たる予定です。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年8月19日)の情報に基づきます。