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古田新太×阿部サダヲ対談、25年前の出逢いからYellow⚡新感線『月影花之丞大逆転』までを洗いざらい語る

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阿部サダヲ、古田新太(『月影花之丞大逆転』) 撮影=福家信哉

「密にならない、短い上演時間で、新感線らしい、見たお客様が元気になる作品」を創るために、コロナ禍で劇団☆新感線が発進させた企画、Yellow⚡新感線。同企画として、1996年と2003年に上演した『花の紅天狗』のスピンオフ作品『月影花之丞大逆転』が東京で2月26日(金)から4月4日(日)まで上演された。続く大阪公演はオリックス劇場にて4月14日(水)から5月10日(月)まで上演中だ。出演する劇団の看板俳優、古田新太と5度目の出演となる阿部サダヲが初めて会った25年前の話や互いの印象から、今回の舞台裏話、そして、共演する木野花、浜中文一、西野七瀬の事まで、じっくり話を訊いた。このような御時世ではあるが、インタビューを読み、是非とも劇場に出掛けて欲しい。

古田新太

ーーおふたりが初めて会われた時の事を教えてもらえますか?

古田:映画『トキワ荘の青春』(96年公開)が初めてで、その後、ナイロン100℃の『下北沢ビートニクス』(96年公演)で一緒になって、それで大人計画の『母を逃がす』(99年公演)を観に行ったのかな。ナイロンの時は、そんなに絡みが無くて、大人計画を観て、凄いなと思った。歳は5歳しか変わらないけど、このルックスだから若く見えて、それにしては達者だなと。お洒落な格好をして、カフェでダラダラ喋ってるだけのシーンでも狂気を感じた。

阿部:僕は古田さんを最初、深夜テレビでヘビメタな格好をしてMCをやってる番組で観ましたね。その時は劇団員だと知らなかったし、金髪の長髪で見た目は怖いけど面白いイメージでした。それで『トキワ荘』で会って、普段は全く怖くないのでビックリして、ナイロンの時に「こんなに面白いんだ!」と驚きましたね。楽屋での清水宏さんの扱い方が凄くて、泣くほど笑ったのは初めてでした(笑)。

古田:木野花さん、清水宏、橋本じゅんみたいなタイプを扱うのは得意だから(笑)。

阿部:延々と観てられたんですよ! その頃、他の劇団に出ることは多く無かったので、軽いショックを受けましたね。

古田:あの時は、もう5分で本番が始まる時に清水さんが粉を持って準備してたから。劇中劇で「ウサギちゃんピョン! 蟻地獄!」という彼のネタがあったので、それを言ったら、粉を持ったまま、その動きをして、頭から粉を被っちゃった(笑)。別にわざわざやらなくても「うっせーな!」とかで済ませられるのに、わざわざやるから(笑)。

阿部:思い出しました! わざわざ、やらなきゃいいのに(笑)。

阿部サダヲ

ーーハハハ(笑)。以前、古田さんが阿部さんの事を、演劇の世界で名演技の意味として使われるショーストッパーと褒められていたのも印象的でした。

古田:ナイロンの時に「(阿部は)面白いね!」とケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)に言ったら、「可愛いけど、ショーストッパーだから、みんなが(阿部だけを)観ちゃうんだよ」と言ってて。その後、いのうえひでのりさんに阿部の事を聞かれた時に同じ事を言いましたね。

阿部:そんな事を意識した事が無いですし、言われてるのも知らなくて。

古田:ショーストッパーは、ミュージカルの世界だと上手すぎて、拍手が鳴り止まず次のシーンへいけないという最上級の褒め言葉だから。プロレスラーでいうと、技決めて見栄を切ってるだけで勝てるみたいな事だしね。

阿部:勿体ない言葉ですね……。普段は、そんな事なんて喋らないですから。

古田:本人に向かって「ショーストッパーだよね!」と言うのは、褒め言葉とはいえ、頭どうかしてるから(笑)。

ーーこういう何でも無い事を喋れる場が稽古や本番の後の打ち上げだと思いますが、今は全く出来ない状態ですよね。

阿部:古田さんといるのに、呑みに行く姿を見ないのは初めてですね。打ち上げが無いと、ほとんど(共演者と)喋らないですから。浜中君は直系の後輩なんですよね。

古田:そうそう、大阪芸術大学舞台芸術学科ミュージカルコース。本番直前に言われて「直系じゃねぇか!」と。でも、同じOBの橋本じゅんも橋本さとしも今回はいないから、他のみんなに言っても、たいして盛り上がらなくて(笑)。サダヲは、後輩の面倒も先輩の面倒も見ないよね?! 野球部なのにね!?

阿部:アドバイスも何も聞かれないですし、聞かれても「こうした方が良い」とか答えないですし。僕の頃の野球部は怖い時代だったので、そういう事を無くそうと、先輩に言われてとかでは無く、自分で勝手に練習することにしたんですよ。

古田:なるほどね。

阿部:今回も西野さんは勘が良いし、何でも出来るから、ほとんど話さないんですよ。「何で太らないの?」と聞いたら、「胃下垂なんです」と言ってましたね。

古田新太

古田:それだけ?!

阿部:はい。で、「いいね」と答えて終わりです。浜中君とも、ほとんど喋らないです。

古田:(阿部と浜中との)3人楽屋だけど、誰も喋らないからシーンとしてる。まぁ、いつも、ひとり楽屋だから、普段から楽屋で喋る事も無いし。他の楽屋は凄い賑やかだけど。

阿部:電気髭剃りが僕だけなんで、うるさくないかなと思ってました(笑)。

古田:大丈夫。俺はうがいをするとエヅくから、気分が悪くなってないかなと思ってた。

阿部:全然気にならないです(笑)。「大丈夫ですか?」とこちらも聞かないですし(笑)。木野さんの声は聞こえますよね?!

古田:アドリブの練習をしてるから(笑)

阿部:あれはアドリブでは無くて、予告ですよね(笑)

古田:でっかい声でアドリブを練習している! でも、舞台上で噛む(笑)。「もう1回やらせて」とか言うし!

阿部:(笑)。大先輩で、ああいう人は初めてです! 何が起きても、最後に楽屋ですれ違ったら、「お疲れ様」と言われるので、「あっ、この人は大女優なんだ!」と思わされます。かっこいいですよね!

古田:何が起きても「ありがとう」と言ってくるから! 普通は「ごめんね」だろうが(笑)。今回はオープニングから、木野さんに立ち位置を教えるのに手がかかる(笑)。

阿部サダヲ

阿部:他の古田さんとの絡みのシーンでも、キッカケのシーンで木野さんが動かなくて(出演者が)ドーンと背中を押して教えていて、それを僕は観てます(笑)。

古田:話が転がらないと、自分が転がしてないのに、「頑張りなさい」みたいな顔してるから!

阿部:逆に面白いですよ! でも、そういう事があると、木野さんのテンションも高くなっていくから、結果良い感じですよね(笑)。

古田:この芝居って意味の無い説得力があって。良い事を言っているようで、何も良い事を言ってない。老人の戯言だから(笑)。迫力とテンションで持っていくから、観に来た女優さんで泣いている人もいる!

阿部:街の公園で言ってるだけのシーンとかですけどね(笑)。

ーー55歳の古田さんと50歳の阿部さんが殺陣などで、まだまだ体を張ってるのも凄いと思うんです。

古田:しんどいですよ。

阿部:稽古場で楽しくなって、やったのがいけない(笑)。浜中君、西野さんにもっと動くシーンがあるのかなと思っていたら、意外と無くて。でも、73歳の人(木野)がいますから、僕らも頑張らないと。木野さんは過去に足を怪我されているのに、凄く元気で声も枯れないですから。

阿部サダヲ、古田新太(『月影花之丞大逆転』)

古田:俺なんてヘルニアの成れの果てだから! 医者に言われてるから!

阿部:ヘルニアの成れの果てなのに、それでも動けてるのが凄くないですか(笑)?!

ーー後、観客がペンライトを振れるシーンがあるのも、今から凄く楽しみにしています。

古田:(ペンライトの値段は)2500円だけど! でも、記念になると思って買ってほしい。ディズニーやUSJでグッズを買うみたいな感じでさ。東京で飲み屋の常連たちも観に来てくれて、ペンライトを買ってくれたけど、みんなボトルキープのとこに置いて帰ってた! まぁ、2500円もあればパチンコに行けるけど(笑)、当日楽しんでもらえるから買って欲しいな。

阿部:演者も振りますから、一緒に振ってもらえたら嬉しいですね! 去年、大阪に公演で来た時、大変な状況でも、みなさん来て下さり、役者たちが感動していて。今回も劇場に来られたら、別世界を楽しめますので、是非とも来ていただきたいです。

阿部サダヲ、古田新太(『月影花之丞大逆転』)

取材・文=鈴木淳史 撮影=福家信哉

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