共働きなのに私ばかり…家事をしない夫が絶句した妻からの「ある請求書」とは
6歳の子どもを育てるエニママライターの紫木かなえです。
我が家は子どもを9時から17時まで保育園に預け、共働きをしています。
今回は、長年抱えてきた家事負担の偏りに対するモヤモヤを解消する第一歩となった出来事をお話しします。
▶「しなきゃ」を手放す! 共働き夫婦のための【やめ家事リスト】〈アンケート結果〉結婚7年目、夫が内緒で自分のためのアクセサリーを購入していることが発覚しました。金額は約4万円。
夫にしてみれば「自分の小遣いの範囲内」のつもりだったようですが、妻である私のほうは割り切れる話ではありませんでした。
「今月も家計がカツカツなのに」
夫に購入履歴の画面を突きつけて激昂しながら、ふと気づきました。私がこんなに腹を立てているのは、4万円という金額のせいだけではありません。もっと長く、もっと深く積もってきた「なぜ私ばかりが我慢しているのか」という理不尽さへのイライラが、そこで一気に噴き出したのだと感じました。
夫が購入していたアクセサリー。「これは何のための出費? ないと命に関わる?」当時の私にはまだ、戦闘モードで問い詰めるしか術がありませんでした。
「固定費は夫、生活費は私」ざっくり家計管理のひずみ
現在の家計の管理方法を取り入れたのは、結婚前の同棲開始時。夫が家賃や光熱費などの「固定費」を口座引き落としで支払い、私が食費や日用品などの「生活費」をその都度負担するスタイルです。当時はお互いにフルタイム勤務で収入も同等だったため、これでなんとなく「負担は半々くらいだろう」と思い込んでいました。
ところが息子を出産して、私の働き方の変化とともに、家計の状況はじわじわと変わったのです。私の収入はフルタイム時代の3分の1程度に下がったのに、担当する生活費の支出は増える一方。食費、日用品、子どものならいごと代、給食代……気がつけば、月の手取りのほとんどが家族の生活費として消えていきました。気がつけば、個人の貯金にまで手を出さなければならない月もあるほどです。
それでも「しょうがない」と思っていました。夫は朝が早く帰りも遅いため、「家のことは私がやるほうが楽」と家事のほとんどを担当し、暗黙の了解として子どもの急病時に休むのは私でした。
収入が3分の1になっているのに、生活費の負担も、家事の負担も増えています。「なんかむかつく」という感覚はずっとあったけれど、何が問題なのかを言語化できずにいました。
そんな中で起きた「アクセサリー事件」だったのです。
名もなき家事をアプリで時給換算! 妻が抱える見えない負担を数値化
個人的に一番イラっとする名もなき家事、片方だけ裏返しになったズボンを干すこと。
大げんかのあと、夫婦の間にしばらくぎこちない空気が続きました。しかし、責め合っていても何も変わらない……。そう気づいたとき、私がとった行動は「負担を書き出すこと」でした。
まず試したのが、家事の「時間コスト」を数値にする方法です。「ペアワーク」という家事分担管理アプリに、日々こなしている家事と所要時間を登録しました。料理、洗濯、掃除といったいわゆる「ザ・家事」だけでなく、保育園の連絡帳記入、子どもの爪切り、ならいごとの振り替え調整、シャンプーの補充、衣替え……いわゆる「名もなき家事」も含めて、ひとつひとつ書き出しました。
1ヵ月後、アプリが弾き出した数字に、自分自身でも驚愕したのです。
妻が担っていた家事の月間総額は約20万円(時給換算)
夫が担っていた家事の月間総額は「約2万円」。
月間総額で「10倍」という圧倒的な差が出た理由。それは、日々の細かなタスクが家庭内でまったく「可視化されていなかった」からにほかならなかったのです。
例えば、私が料理をしたことは、夫も認識しています。しかし、料理前の「献立を考える」「買い物リストをつくる」「買い出し」「食材を冷蔵庫にしまう」という工程はどうでしょうか。
保育園の「明日は料理実習だからエプロンの用意」といった準備も含め、こうした細かな作業は夫から頼まれたわけではありません。私自身も「やるのが当たり前」と思い込んでいた、夫婦のどちらにとっても可視化されていない「透明な労働」になっていたのです。
夫に請求書を渡した日
写真:Adobe Stock
家事の数字が出そろったところで、次はお金の話です。
私は家計の収支をざっくりとまとめました。夫の手取り、私の手取り、それぞれが負担している固定費と変動費、そして先ほどの家事の時給換算額です。
すべての情報を数字で並べると、以下の通りでした。
夫の手取りに対する生活コスト負担率:約50%/私の手取りに対する生活コスト負担率:約200%
感情的になると「私ばかりが大変!」という言い方になってしまい、いつも「俺だって働いてる」という反論で終わってしまいます。でも数字で示すと、話は違いました。
夫は黙り込みました。しばらく経ってから、「ママがいなかったら何もできません」とぽつり。責め立てたわけでも、泣き落としたわけでもありません。ただ、事実を見せただけです。それだけで夫の表情が変わりました。
そこから私たちの話し合いは、ようやく「感情のぶつけ合い」から「どうすれば公平になるか」へとシフトしたのです。
まず夫が自らやると言ったのは、週末の見える家事と平日のゴミ出しです。小さな変化ではありましたが、夫が自分から家事を引き受けると言ってくれました。その事実が、私にとってはとても大きかったのです。
その後、数週間かけて少しずつ分担を見直しました。当初「約2万円分」だった夫の担当は「約4万円分」に増え、私のワンオペ状態だった平日の名もなき家事も、夫が担当するルーティンとして少しずつ定着していきました。
私が個人の貯金を取り崩して補うことの多かった生活費については、夫が食費の一部を固定で出す形に変更しました。月末の「また赤字だ」という不安がなくなり、気持ちはずいぶん軽くなりました。
数字で見える化したことで、夫も家事や家計の偏りを理解してくれました。そのため、以前のように「どうせ言っても否定される」と身構えることが減りました。
これまでは「言葉にしても伝わらない」という諦めが先に立っていましたが、今は不満をため込む前に、「排水溝のネット交換、皿洗いのついでにやって」など、具体的に口に出せるようになりました。意見を言えるようになったことは、私にとって非常に大きな変化です。
家事とお金の可視化は夫婦で歩み寄るためのスタートライン
ざっくり書いても50近い名もなき家事。もっと細かく書いたら100は書ける。
正直に言えば、今回の家事の見える化で解決できたのは、夫婦で向き合うべき課題全体から見ればまだ20%ほどです。子どもの教育資金や老後のお金の話も、まだきちんとできていません。夫がたまに「これ程度でいいか」と家事の手を抜いていることも知っています。
それでも、家事の可視化をする前と後では、夫婦の会話の質がはっきり変わりました。以前は「私ばかりやっている」「それは無理」という水掛け論でしたが、今は「そのタスクならできる」という前向きな話ができるようになりました。
数字や記録は、言葉にしにくかった「モヤモヤ」に輪郭を与えてくれます。「なんかおかしい」は、見える化することで初めて「ここが問題だった」と特定できるのです。
夫婦のお金と家事の話は、気まずくて後回しにしがちです。けれど、我が家の場合は「数字で話す」ことが、話し合いの入り口になりました。これからは建設的に、納得感のある家庭の在り方について会話していきたいです。
※注釈のない写真はすべて撮影:紫木かなえ